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『歴メシ!』 異世界飯チートは成立するのか?

ここ10週ほどはお堅いテーマの話が続いたので、久しぶりに気楽なネタを書きたいと思います。


テーマはズバリ!


”異世界転生モノによくある『飯チート』って、本当に通用するの?”


です。


ここ10週ほどはお堅いテーマの話が続いたので、久しぶりに気楽なネタを書きたいと思います。


テーマはズバリ!


”異世界転生モノによくある『飯チート』って、本当に通用するの?”


です。


『飯チート』とは、「知識チート」の一種で、異世界転生した主人公が現代料理の知識を利用して「スゲェ!」されることを指します。最も代表的な飯チートは「マヨネーズ」でしょう。(皆さん知ってると思うけど念のため……)


このテーマを思いつくきっかけになったのは、


”『歴メシ』世界の歴史料理をおいしく食べる 著 遠藤雅司”


という歴史料理本でした。


そんな訳で、今回は読書感想文&思考実験な内容でお送りしたいと思います。




□ 結論『飯チート』なんて簡単に成立する訳ないじゃないですかー!



いきなり結論を述べてしまうと、『飯チート』は(おそらく)簡単には成立しないでしょう。だって、考えてもみてください。人間は普段食べ慣れている食材や味に親しみを覚えるものです。そして料理は地域や時代によって千差万別です。


だから、たとえ美味しいものであっても、新しいものが受け入れられるまでには、相当な時間が必要なのです。


例えば”醤油”です。


今や世界中で食べられている日本食には欠かせない調味料です。キッコーマンが醤油をアメリカに輸出し始めたのが1957年(昭和32年)のことだったのですが、輸出し始めた当初は惨憺たる結果でした。


なかなか売れない醤油でしたが、少し風向きが変わってきたのは1980年頃からでした。切っ掛けはアメリカで起こった日本食ブームでした。


1970年代からアメリカでは、国民の肥満が深刻な健康問題を引き起こし始めていました。そこでアメリカ政府は1977年、低カロリー&低コレステロールな食生活を国民に推奨し始めます。そこで注目を集め始めたのが伝統的な日本食でした。


その後、1980年代後半から日本のハイテク製品やアニメが世界中に輸出されるようになり、それに伴って”Sushi(寿司)”以外の日本食も広く知られるようになっていきました。


でまぁ、2000年頃には醤油はアメリカのどのスーパーでも見つけることが出来る調味料となった訳ですが、ここに至るまで約50年の時間を要した訳です。


こうした事例から、異世界にいきなり「吉野家」の『牛丼』や「CoCo壱番屋」の『カレーライス』、「一蘭」の『ラーメン』を持ち込んでも、容易にはヒットしないことが予想されます。



では、どうすれば『飯チート』は成立するのでしょう?





□ 異世界人の食事に+α手を加える



『飯チート』を成立させる方法として一つ考えられるのが、我々の食生活を異世界にそのまま持ち込むのではなく、異世界人の食事に(現代料理知識を利用して)少しアレンジを加える方法です。これならば慣れ親しんだ味から大きく外れることはないので、容易に受け入れられるでしょう。


とはいえ、異世界の人間がどんな食生活を送っているかは分かりません。


そこで、異世界転生モノの元ネタによく使われている時代『中世ヨーロッパ(15世紀)』の食事と異世界の食事が同じものだと仮定して、当時の食事事情を紹介&当時の料理レシピを用いて、アレンジの具体例を挙げてみたいと思います。


(本当は『近世ヨーロッパ(17世紀前半 三十年戦争ころ)』も取り上げたかったのですが、良いアレンジが思い浮かばなかった……)




□ 中世ヨーロッパの食事事情(貴族・僧侶編)



中世ヨーロッパは”勇者召喚系”の物語の元ネタによく使われる時代です。(因みに、近世ヨーロッパ『三十年戦争』頃 は”冒険者系”の物語の元ネタによく使われる)


この時代の食事事情は、かなり悲惨です。


まず、特権階級(貴族・僧侶)と庶民で食べているものが全然違うのです。特権階級はとにかく、


”肉! ニク! にく!”


のオンパレードです。


貴族や僧侶のような特権階級の人々は、実に様々な動物の肉を食べました。牛や豚や鶏のような一般的なものから、猪や鹿、孔雀、白鳥、鷺などの現代ではあまり馴染みのない肉も食べました。あと、鯉や鱈、チョウザメなど色々な魚も食べられたようです。


その一方で、野菜はほとんど食べられることが無く、精々、アスパラガス、アーティチョーク、蕪、豆類などが料理に少々入っている程度でした。


要するに、たんぱく質と脂質が多く、食物繊維に乏しい食生活を送っていたのです。


しかも、香辛料を使いまくり!


当時のヨーロッパは、香辛料のほとんどを輸入に頼っていました。それだけに、高価な香辛料をふんだんに使った料理は、自らの権力を見せつける道具となり得たのです。


そうした訳で、晩餐会ともなれば、これでもか!とばかりに香辛料を使いまくった極端な味付けの料理が大量に供されました。


(勿論、こんな偏った食生活が健康に良い訳はありませんでした)




□ 中世ヨーロッパの食事事情(庶民編)



庶民の食事も貴族・僧侶に負けず劣らず悲惨でした。とにかく野菜ばかりで、動物性タンパク質がかなり不足していました。それだけ庶民は貧しかったのです。結果として「野菜のスープ」とパンだけの寂しい食生活を送らざるを得なかったのです。


しかも、腹立たしいことに、この庶民の食生活を見て特権階級の人々は、


「野菜なんぞ、ド貧乏なド庶民の食い物じゃ~い!」


と馬鹿にして、肉ばっかりの偏った食生活を送っていたのです。(事実、特権階級は庶民のことを「野菜喰い」と呼んでいた)


それでですね、


庶民が毎日食べていた「野菜のスープ」ですが、実食してみると、豆や根菜が入っていて、野菜のうまみがしみ出していて、さして不味くはありませんでした。しかしながら、全体的に味が薄いのが難点でした。そこで、


「ベーコンとかソーセージを入れたら、もっと味わいが出るんじゃね?」


と思って、スープに炒めたベーコンを入れてみたら、ベーコンの塩味と肉の旨みが溶けて、味は格段に良くなりました。


しかし、考えてみれば庶民には肉が高級品だったからこそ、毎日「野菜のスープ」を啜っていたわけで、


「これじゃあ、現実的には不可能なアレンジだよな」


と思うに至った次第です。(庶民の味にチートをかけるのは難しいですね)




□ 料理名『マスタードの海を泳ぐタラ』をアレンジ



さて、本命である特権階級の料理に「飯チート」をかけていきましょう。


今回取り上げるのは『マスタードの海を泳ぐタラ』(正式名称不明)という料理です。15世紀のイングランド(「薔薇(ばら)戦争」の頃)で食べられていた料理です。



【材料】(4人分)


タラ=200g(切り身4切れ)

白ワイン=100ml

水=100ml

塩=大匙1/2

イタリアンパセリ=1枝

ソース 粒マスタード=200g

    バター=5g

    塩=小匙1/2

    白パン粉=1/2カップ


【つくり方】


1.鍋に水、白ワインを入れ、強火で沸騰させる。

2.1にタラと塩を入れ、弱火で15分煮る。

3.ボウルで粒マスタード、バター、塩、白パン粉を合わせソースを作る。

4.2の煮汁100mlをボウルに加える。

5.皿に4のソースを注ぎ、タラを盛り付ける。イタリアンパセリを飾り完成。



実食してみた感想としては、


「不味くはないんだけど、マスタードと塩味が突出しているなぁ」


でした。


何と言うか、味に調和が欠けている。マスタードの味と塩味がほぼ独立していて、味として一つに統合されていない。あと、ソースの味が極端なため、メインであるタラの旨みが生かされていないのが問題でした。



【アレンジ版ソースの材料&作り方】


1.鍋に白ワイン(適量)を入れて沸騰させる。(バターは好みでOK)

2.粒マスタード(適量)を鍋に入れて溶かす。

3.コンソメキューブを1つ入れて溶かす。

4.火を止める直前に生クリームを少量加えて混ぜる。(ソースの完成!)

5.皿にメインのタラを乗せ、完成したソースをかける。


(色どりを考えて、茹でたインゲンや人参を添えてもいいでしょう)



タラは、煮るよりも小麦粉を付けてバター焼き(ムニエル)にした方が美味しいだろうとは思ったのですが、オリジナルでもそれ程劣ることはなかったので、そのままとしました。


問題のソースですが、白パン粉(要するに普通のパン粉)はソースを嵩増しする為に入れられていたようで、味を良くする役割はなかったので省くことにしました。


実食してみると、予想した通りソースが調和し、味に奥行きが生まれました。また、マスタードと塩を少し減らしたことで、メインであるタラの味もより感じられるようになりました。


今回はコンソメキューブを使用しましたが、コンソメスープなら15世紀には(おそらく)存在しているので、再現は可能でしょう。(詳しい人がいたら教えてください)





■ ジャンクフードはあらゆる時代の人間を魅了する



さて、ここまで読まれて、


「うわっ、面倒くさっ。そんなゴチャゴチャ考えなくても異世界で通用する現代チート料理はないの?」


と思われた方もいたことでしょう。(私も思いました)


そこで思いついたのがあの料理です。


元メンタリストにしてニコ生主である DaiGo 氏 がご自身の動画で何度も取り上げていた、


”食べると脳がぶっ壊れる食べ物”


つまり、


”ジャンクフード”


です。


なぜジャンクフードを食べると”脳がぶっこれれて”食べ過ぎてしまうのかというと、このような食品には『塩分』『糖質』『脂質』が多く含まれているからです。


『塩分』『糖質』『脂質』は人間が生きていく上で必要な栄養素ではありますが、古来より容易には手に入れられない栄養素でもありました。


それ故に、人間はこれらの栄養素をついつい摂取し過ぎてしまうのです。


(因みに、これらの栄養素を大量に摂取できるようになったのは、人類史から見てごく最近の19世紀頃からです。)


この人類を支配する法則が異世界人にも当てはまるのなら、ジャンクフードはあらゆる地域、あらゆる時代を超えて受け入れられるはずです。


具体的には、『ポテトチップス』や『クッキー』なんかが良いでしょう。(どちらもシンプルな調理法&シンプルな味付けですしね)


問題は材料である「塩」や「砂糖」や「揚げ油」や「バター」が高級品であることです。それこそ”チート”か何かで解決しないとならないでしょうね。



(あー、誰か『異世界転生 ジャンクフード無双』みたいな物語を書いてくれないかなぁ?)





次回の更新は 2月14日午前1時 を予定しています。

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