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第1話:突然の落とし穴

平和な街角に疾走する3人の少年の姿があった。


「この、馬鹿要!略してバカナメ!」


「わりぃわりぃ〜興奮して寝れなかったんだよ」


「ちょ・・・っとま・・って、僕は・・・君達みたいに・・・体力ないんだから・・・」


「急げ!間に合わないぞ!」



3人は何故ここまで急いでいるのだろうか?


時間を少し遡る前に3人の自己紹介をしよう。


まずは「バカナメ」と呼ばれていた少年。

名前は 羽柴はしば かなめ。馬鹿と呼ばれても全く問題ないほど頭が悪い。

しかし、その欠点を凌駕するほどの武術の腕前を誇る。羽柴僧院流槍術の後継者であり、向かう所敵無しの猛者なのだ。


次に一人称「僕」と言っていた少年。

名前は 醍醐だいご あき。物凄く強そうな名前なのだが実際は最弱と呼べるほど弱い。まさに名負けしている。

でも彼は"全てを見通す眼"通称「サード・アイ」という字がある程の天才少年なのだ。


最後に「バカナメ」と叫んでいた少年。

名前は 伏見ふしみ 大和やまと。彼について語ることといえば・・・実はない。まさに普通、平凡、一般人。先の2人に比べてとりわけ何かに秀でているわけもなく、可哀相なほど普通である。


しかし・・・彼がこの物語の主人公なのだ!いくら普通でも、いくら取り柄がなくても主人公なのだ。ちょっとくらいいい所があっても・・・・・・ないかも。


気を取り直し、時を遡り、事態の経過を見守るとしよう。




3人は私立高校に通う学生だ。今日は待ちに待った修学旅行。これから送る楽しい日々に胸を躍らせていたのだ。


ピンポーン、ピンポンピンポ〜ン。


「あれ?おっかしいなぁ・・・、お〜い要〜早く出てこいよ〜」


修学旅行の集合場所まで一緒に行こうと約束していた3人。要宅の前にはすでに大和、朗、両名が準備を万端にし要を待っていた。


ピンポ〜ン。


何度も鳴る呼び出し鈴。


「もしかして、まだ寝てるんじゃないの?」


まだ時間的に余裕があるため、冷静に分析している朗。

何度もチャイムを押しても出てこない所を見ると朗の分析が正解だということだろう。

まだ寝ていると予想されている要を起こすために一旦家に上がろうとした矢先


ガラガラガラと戸が開く音がした。


もちろん玄関の戸が開いたわけではない。要の部屋の窓が開いたのだ。


「やっべぇーーー、寝過ごした!ってか準備まだ何もしてねぇ!!」


「「な・・・なにーーー!?」」


2人の絶叫が木霊したのであった。





急いで準備をする要。大和、朗も床に出ている物を適当に旅行バッグに詰めて懸命に荷造りを手伝っていた。


「よっしゃぁ!終わった!大和、時間は!?」


時計をチラっと見て顔が青ざめる。


「やべぇ・・・間に合わんかも知れん・・・」


余裕を見て家を出てきたのだが、まさかこんな事態になるとは考えていなかったため、かなり際どい時間になっていた。


「と、とりあえず行こう。ダッシュで行けば間に合う!」


要の掛け声と共に立ち上がり玄関へと急ぐ3人。


外へ出る直前になって要が忘れ物の存在を思い出す。


「あ〜修学旅行のしおり、居間に置いといたままじゃん!」


取りに行こうとする要の腕を引き、制止させた。


「馬鹿!んなもんいらん!さっさと行くぞ!」


外に出て再度携帯で時間を確認する大和。


「くそっ、まじでやべぇ、急ぐぞ!朗!きつくなったら言え!」


体力が全くと言っていいほどない朗に一声掛ける。


「荷物はてめぇが全部持ってけ、この体力馬鹿!」


修学旅行の荷物3人分と言えばかなりの重さになるだろう。

しかし、要は平然とした顔で3人の荷物を持ち走り出した。


列車の発車時刻まであと僅か。楽しい日々を手に入れるため、3人は必死に走っていたのだ。


「はぁ・・・はぁ・・・もう・・・無理」


走る速度が衰えてくる朗。

やはり体力が持たなかったであろう、ギブアップした。


「要!」


最強の体力馬鹿、要に裏技を発動させる。


「あいよっ!」


勢いある掛け声と共にギブアップした朗を持ち上げた。・・・お姫様抱っこというヤツである。

3人分の荷物を抱えながら人をお姫様抱っこする要はまさに化け物に違いない。


「大和!こっちだ!究極のショートカットを見せてやる!」


普段使わない道を走り出し目の前には塀があった。


「おい!バカナメ!行き止まりじゃねぇか!」


「はん!こうするんだよ!」


言うが先か行動が先か、要は三角飛びの要領で塀を飛び越えたのだ。・・・・・・しつこいようだが要は3人分の荷物と朗をお姫様抱っこしているのだ。


「あいつはマジで人間か・・・?」


だが遅れるわけにはいかない。大和は塀に飛びかかってよじ登り、飛び降りたのだ。


だが、おかしい。いつまで経っても着地しないのである。それもそのはず、大和が着地すると思われた地点には大きな穴が開いていたのである。


「え〜〜〜〜〜〜??!??!あ〜〜〜〜れ〜〜〜〜」


意外と余裕のある大和なのであった。



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