崩壊
どれくらい立ち尽くしていたのかわからない。
5分なのか10分なのか、1時間なのか。
沈黙を断ち切るように悠里のお父さんが口を開いた。
悠里は帰り道の交差点で事後に巻き込まれたこと。
損傷が激しかったこと。
・・・悠里が亡くなったこと。
私は信じることができなかった。
ついさっきまで笑いあっていた悠里がもういない・・・?
そんなはずがない。
これはきっと悪い夢だ。
私は信じない。
悠里はこれから保育士になるために進学し、私達は変わらず笑い合っているはずなんだ。
こんなところで悠里の夢が終わるはずがない。
終わらせるわけにはいかない。
・・・しかし、その悠里はもういないのだ。
私は気づけば家に帰ってきていた。
どうやって歩いてきたのかすらわからない。
悠里が亡くなった事実だけが私に重くのしかかる。
悠里はもういない・・・
私はこれからどうしたらいい・・・?
悲しみ、不安、恐怖、様々な思いが私の中に渦巻いている。
私は大声を出して泣いた。
それから数日、私は外に出ることができなかった。
起きては泣き、疲れては眠る。
そんな生活が続いていた。
悠里との日々は、私の全てだった。
それが一瞬にして崩れ去った今、私はどうしたらいいのかわからなくなっていた。
私の世界は完全に壊れてしまった。