私と彼女
「あつっ」
季節は7月に差し掛かっている。
しかし私はあの日から動かなくなっている。
忘れられもしない、あの日・・・。
私の親友がいなくなってしまった日。
私は現在高校3年生であり、進路選択に頭を抱えている。
周りが着々と進路を決めていく中、1人で悩む将来は不安ばかりが募っていく。
「大丈夫?」
机の上の一枚の紙きれを前に頭を抱える私に声をかけてくれたのは親友の悠里である。
「難しい顔してるよ、進路悩んでるんだ?」
悠里は頭がよく子どもが大好きなため保育士を目指し、進学を選択している。
「自分の将来なんて想像できないよー・・・」
進学か就職か・・・
それすらも決められない私は周囲に置いて行かれそうになる感覚を消すために思い切り頭を振った。
「もー進路どうしようー・・・」
私は悠里と帰り道をとぼとぼ歩いていた。
私は気分によって歩く速度が変わるらしく、いつも悠里がそれに合わせてくれる。
本当によくできた親友である。
私たちが出逢ったのは高校2年生になった直後のことで、仲の良い子とクラスが離れてしまい1人でいるところに声をかけてくれたのが悠里だった。
うるさい私とは対照的に落ち着いているのが悠里だ。
その振る舞いから男子からは高嶺の花扱いされているが、それを鼻にかけないところも悠里の良いところ。
「やりたいこととか、好きなことないの?」
「ゲームもアニメも好きだし、ショッピングも好き!でも将来のことは別だよー」
「やりたいことを仕事にできたらいいけど、難しいもんね」
私と悠里は進路について話しながら時々世間話をしてその日は別れた。
悠里の母から連絡がきたのは自宅に帰った3時間後だ。