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アンチヒーローズ  作者: ドクぺ主食人間
序章  観測者達のプロジェクション
4/20

Case4.仰々しさが鼻につく

夕飯の水晶鶏がとても美味しかったです。そんな時に書きました。うそです



【Open The Eyes----】


 ここまでこの世界に触れてきた観測者の皆様、語り部でございます。


 あなた方には頭が上がらない。

 まだ物語の世界観の把握が完璧でないというのに、未熟な脚本(きゃくほん)に付き合っていただき(まこと)にありがとうございます。


 ここらでこの世界を取り巻く環境について軽く説明させて頂きます。



 異なる点から説明した方が印象に残るでしょうか。

 この世界には≪アルファ≫と呼ばれる人種が存在しております。


 アルファは先天性、後天性と違いはありますが人類を凌駕(りょうが)した力を所有しており、彼らの中でも正義感に溢れたものはその能力を活かして“ヒーロー”という職業で収入を得ています。


 ヒーローの多くは何かしらの組織に属しており有名なものですと、所属ヒーロー数が最も多い

≪スクルド≫が現状最大の権力を持っている状況です。


 未来、だなんて随分(ずいぶん)自信があるようですね。しかし、決して名前負けせず”未来”へと善の心を拡げ、悪を決して許さない彼らだからこそ名乗れるようなものです。

 


 そんな彼らにも”汚点”というものがあります。スクルドには色々と黒い噂があるのです。


 その一つとして大量猟奇(りょうき)殺人犯≪グロ≫、彼はスクルドの前団体に所属していたとかなんとか……。


 真相は明らかではないですが、前団体を解体して現在のスクルドとなったのはある事件が起因(きいん)しており、その中心人物にグロが関与しているようです。


 その事件以降スクルドは所属しているヒーローの管理に、より一層熱を入れており良くも悪くも普通とは異なるアルファのストレス緩和(かんわ)などを目的にお世話係を雇っております。


 言わずもがな、一癖(ひとくせ)二癖(ふたくせ)もあるアルファの対応は難しくいつも人手不足に(おちい)っているそうです。



 少し話は()れますが、私の友人もスクルドと多少関係をもっています。

 私の友人、相馬ソウマはそのスクルドでお世話係のアルバイトをしていることはご存知でしょうか。


 彼から聞いた話ですが金銭面で少しでも親の負担を減らそうとしていたところを知人が紹介したのがこのスクルドであり、何かの(えん)か運よく話が通ったそうです。


 その(ゆかり)を詳しく知りませんが、彼は小さい頃に困ってるとこをヒーローに助けてもらって以来、ヒーローになりたいと(あこが)れていたようです。


 アルファでもない彼がヒーローになれる筈もなく、ごく普通の青年へと成長したというわけですが、興味のある人達に囲まれて自分のスキルを活かせる仕事ということで、しょっちゅう弱音を吐きながらも続けているのは楽しいからでしょうね。



 さて、話を戻しますがヒーロー活動の内容は困っている人を助けることから始まり、大きなものとなると自然災害時の市民の救助や人災への対応が多くの割合を占めています。


 ――人災(じんさい)

 アルファの中にはその力を悪用する≪ヴィラン≫と呼ばれる集団が存在します。そのヴィランの悪事を制圧(せいあつ)するのがヒーローの役目、といったところでしょう。





 軽い説明はこれくらいでいいか。


 今夜は先ほど話した同居人、食事担当である相馬ソウマがバイトの日であるため夕飯を買いに近くのコンビニへ行くところだ。


 まったく相馬のヤツ、作り置きでもしてくれたら助かるものを……。

 しかし、毎日飽きもせずメシを作ってくれていることを当たり前だと思ってはいけないな。


 近いうちに実家に帰ったら母さんに教えてもらうか。

 相馬でもいいが、どうせならサプライズで今度作ってやろう。


 それはそうと、ここら辺の裏路地(うらろじ)はいつもコンビニへの近道に使っているのだが、この時間となるとかなり視界が悪いな……。


 ん、何だこの匂いは?

 野良猫でも死んでいるのだろうか、鼻孔(びこう)を刺激する異臭がとても不快だ。

 食欲が失せる、無視してさっさと行こう。少し遠くなるが帰りは違う道で帰るかな。


 ――ガシャンッ! べちゃり


 突然、重い金属の(かたまり)が大きな音を立てる。

 びっくりした。頭に落ちてこなくてよかった。

 

 それはそうと、一体何事だ? ネジが(ゆる)くなってて外れた拍子(ひょうし)に落ちてきたのだろうか、欠陥(けっかん)工事というやつ?


 音のする方に目を向けると大きな赤黒い血だまりと金属片が。



 ――ぴちょん

 血だまりの中心に一粒。林檎飴(りんごあめ)のように光沢を(はな)ちながら、それは落ちていく。地面に一瞬だけ王冠のような形の波を立てる。血濡(ちぬ)れの王冠とは何ともセンスがない。




 ――ぴちょん

 粒は血だまりに波紋を生む、寄せては返す光景に目を奪われていた。世界が、運命が、始まりの合図を示し合わせたかのように鐘を鳴らす。警鐘(けいしょう)か、それとも神聖なものか、実はこれから半永久的に愛し合うことを誓った二人のために鳴らされた幸せのベルなのかもしれない。鐘の音は耳を伝って脳を振動させる。


 ゴーーン、ゴーーン、ゴーーン、ゴーーン、ゴーーン、ゴーーン、ゴーーン、ゴーーン、


 ゴーーン、ゴーーン、ゴーーン、ゴーーン、ゴーーン、ゴーーン、ゴーーン、ゴーーン、


 立体的に感じるこの世界が結局はただの平面上の出来事であり、リアルなんてものは存在しないのかもしれない。

 真実、因果、理、事実、証拠、真相、リアリティ、ファンタジー、善、悪


 過去と未来ありきの現在。無限に膨張する宇宙に対し、有限とは二つの針が示している。


 この選択が引き起こす

 最大の悲劇を引き起こす

 この世界を構成する時計の針は

 奥の奥の奥の奥の奥の奥の奥の奥に確かに存在する歯車に合わせて今日も廻っている。











 ――ぴちょん

 上を見上げると音と匂いの元凶が判明した。







 そこに羽をもぎ取られ、身体中に深い傷を負い、あまりにグロテスクな姿で息絶えているシルバーウィングがいた。




調子に乗ってすみませんでした

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