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アンチヒーローズ  作者: ドクぺ主食人間
序章  観測者達のプロジェクション
10/20

Case???.もう一つの邂逅


 激しいノイズが走る。


ERROR(エラー)



 目の前に光を放つ扉があった。辺りは何とも形容しがたい空間、朝なのか夜なのか。

 すべてが曖昧(あいまい)な空間には他にも無数の扉が溢れていた。きっとここは夢の中なのだろう。


 その空間には一人、ふわふわ柔らかそうな服を身に(まと)う中性的な顔立ちの人物がぼーっと立っている。


 開かれた扉の先には元の世界とは違い、日の光と降り注ぐ雪、道を行き交う人々が存在した。

 楽しそうな表情で扉へ飛び込む。


 一人の男の子が目に入った。その子は一人で泣いているようだ。


「ボク、どうしたの? 迷子?」


 優しさに溢れた声がまだ幼い男の子の身体を包み込む。その声に偽りなどなかった。


 あったかいこえ。


 男の子は涙を(こら)えて口を開く。


「ともだちがね、こまってるんだ」


「たすけてあげたいけど、なにもおしえてくれない」


「なにがあったかしりたいんだ、たすけてあげたいんだ」


 男の子は、必死に自分の思いを告げる。誰でもよかったのだろう、話を聞いてもらいたかったようだ。


 残念だけど、と声の主は優しさの中に哀しげな思いを込める。


「私には直接助けてあげることは出来ないよ」


「そんな……」

 男の子はまた泣き初めそうな顔をする。


「そのお友達はきっと正義の味方が助けてくれる。でも、君も助けるんだ。

今は何もできなくても。いつか、そういつか。

君はこれからの出来事を忘れてしまうけど、いつか助けなきゃいけない時に()()が役に立つかもしれないよ」


 そう言って、男の子の小さな頭にスッと手をかざす。


 フワフワと優しい光が二人を囲み、視認できなくなった。



***********************


 また、初めの曖昧模糊(あいまいもこ)な空間にただ一人。

「君はその目で真実を観測するんだ。これはとても残酷なことだけど、君がそう願ったんだから」


「お友達のこと、助けてあげてね」


 寂しそうに呟くその人は、またぽかーんと空を見つめる。


――キラキラ


 またどこかの扉が光りだす。


 開いた扉の方へ目を向けると扉の先は図書館なのか、壁一面に本棚が並べてある。


 こちらに気付かず熱心に本を読む少年。きっと将来は小説家にでもなるんじゃないかな。


 さて、次の子も面白いといいけどね。


 中性的でミステリアスなその人は扉の中へ飛び込んでいった。



ERROR(エラー)


 ノイズは収まったようだ。

目を通してくれてありがとう。コラボとか誘ってね

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