Case???.もう一つの邂逅
激しいノイズが走る。
【ERROR】
目の前に光を放つ扉があった。辺りは何とも形容しがたい空間、朝なのか夜なのか。
すべてが曖昧な空間には他にも無数の扉が溢れていた。きっとここは夢の中なのだろう。
その空間には一人、ふわふわ柔らかそうな服を身に纏う中性的な顔立ちの人物がぼーっと立っている。
開かれた扉の先には元の世界とは違い、日の光と降り注ぐ雪、道を行き交う人々が存在した。
楽しそうな表情で扉へ飛び込む。
一人の男の子が目に入った。その子は一人で泣いているようだ。
「ボク、どうしたの? 迷子?」
優しさに溢れた声がまだ幼い男の子の身体を包み込む。その声に偽りなどなかった。
あったかいこえ。
男の子は涙を堪えて口を開く。
「ともだちがね、こまってるんだ」
「たすけてあげたいけど、なにもおしえてくれない」
「なにがあったかしりたいんだ、たすけてあげたいんだ」
男の子は、必死に自分の思いを告げる。誰でもよかったのだろう、話を聞いてもらいたかったようだ。
残念だけど、と声の主は優しさの中に哀しげな思いを込める。
「私には直接助けてあげることは出来ないよ」
「そんな……」
男の子はまた泣き初めそうな顔をする。
「そのお友達はきっと正義の味方が助けてくれる。でも、君も助けるんだ。
今は何もできなくても。いつか、そういつか。
君はこれからの出来事を忘れてしまうけど、いつか助けなきゃいけない時にコレが役に立つかもしれないよ」
そう言って、男の子の小さな頭にスッと手をかざす。
フワフワと優しい光が二人を囲み、視認できなくなった。
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また、初めの曖昧模糊な空間にただ一人。
「君はその目で真実を観測するんだ。これはとても残酷なことだけど、君がそう願ったんだから」
「お友達のこと、助けてあげてね」
寂しそうに呟くその人は、またぽかーんと空を見つめる。
――キラキラ
またどこかの扉が光りだす。
開いた扉の方へ目を向けると扉の先は図書館なのか、壁一面に本棚が並べてある。
こちらに気付かず熱心に本を読む少年。きっと将来は小説家にでもなるんじゃないかな。
さて、次の子も面白いといいけどね。
中性的でミステリアスなその人は扉の中へ飛び込んでいった。
【ERROR】
ノイズは収まったようだ。
目を通してくれてありがとう。コラボとか誘ってね