Case1.スタートライン
【Open The Eyes----】
薄暗い闇に囲まれた二人の男がそこに存在した。辺りは驚くほどの静寂に包まれており、一人の男からは興奮を抑えきれない感情が暴走したように息遣いが荒い。
男は肩で息をし、その黒く染まった身体からはギラギラとした視線が光線のように威圧する。
もう片方の呼吸も酷く乱れている。
前者と異なるのはその目を見れば分かる。
男の目からは泣きじゃくる子供のようにボロボロと大粒の涙が零れ落ちる。
己のこの先の短い人生で何が起こるのか全てを悟ったかのように。
少し、語弊があるかもしれないので、訂正する。
これから終わる己の人生を諦めきれず、醜く執着しているように。
涙でぐちゃぐちゃになった顔の男は全身を恐怖に支配され、ガクガクと身体を震わせている。
【ぐるり、と】
【観測者の興味はこれから殺される醜い男の心情へと向けられる】
――不味い、非常に不味いことになった。
眼前のアイツはまだ覚醒しきってない私に対して、明確な殺意を持っているようだ。
非情に明確である。
ピクリとしか動かぬ五体に対して機能しているのは情報源の視界、そして情報の行く先である脳。余分な情報を省いた結果、鮮明に思考を錯誤することが可能となる。とうに理性など壊れているというのに。
岩にも似たごつごつした拳に包まれた酒瓶を目にすれば当然のこと。
酒瓶には底が無く、無秩序に、そして残虐性を誇張している夥しい数のガラス片が目に映る。
一体どうしてしまったというのだ、此処は司法を存ぜぬスラム街?
その男の大きさに反比例し、本来の用途を著しく脱した鋭さをぎらつかせる酒瓶が私の喉に突き刺さる。
――こぽこぽ
皮膚を突き破りとめどなく溢れだす血液で酒瓶は満たされた、それは役目を果たしたようだ。
【視界は真っ暗闇に覆われ、観測が終了される】
私の物語はデッドエンドが運命づけられている。
それには特段の理由もなく、生きとし生けるもの全てには終わりが付き物だから、そう断言している。
これは私の大事にしている教訓でもあり、このような思考であるからこそ如何に最悪の事態であっても平静を保つことが出来る。
運命は決定づけられている、分岐点で枝分かれし、バタフライエフェクトが変化をもたらしたとしても決まって終わりは死である。
死は悲しいことかもしれないが起爆剤としては非常に、そして非情にも有効である。
人の感情を揺さぶる手段として喜怒哀楽どれを選ぶのが最も効果的か考えたことはあるだろうか?
私の持論はこうだ。
≪哀しみ≫の感情こそが人を動かす起爆剤として非常に優れている。
怒りにまみれた哀しみなど人間を180°変えてしまうのではないだろうか。
決してその瞬間を目撃するのが愉快で仕方がないというわけではない……と、口角を歪めながらでは隠すことは難しいかな。
B級映画の下劣な悪役にでもなった気分だが、これだけは伝えておかなければならない。
「安心したまえ、最後に残るのは善でも悪でも無い人々だ」
ページをめくる貴方は、いや画面をスライドさせている? どちらでも私には些細なことだが、鼻につく喋り方だとうんざりしているのかい?
大変申し訳ない……大半の方が気付いているだろうけど、この書き手は未熟も未熟、おしべとめしべに付着している粒程なのだ。 気にならない方は是非読み続けたまえ。
【それでは劇の始まりでございます】
好きな洋画はプライベートライアン、初めましてドクペ主食人間です
不定期更新、飽きっぽいのでいつ終わるかわかりません
期待せず何気なく見てもらえると幸いです
小説の書き方のルールとか教えてください
ばいばい