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1話

「何処だよここはぁぁぁぁぁ!!!!」


突然の怒号が響いた。

放心状態から明けた者が叫んだのだろう。

そしてその叫びは周りへと連鎖していった。


「どうなってんだよぉぉぉ!!」


「何なのこれ!!!!」


連鎖していく叫びでようやく僕も放心状態から明けた。


「どうなってんだ……これ」


頭を抱えて悶える。

そして気が付く。


「これ……」


自分の状態の変化に戸惑う。

僕の髪型は単髪でただ邪魔にならないように適当に切ってあるものだった。

しかし頭を抱えて気が付く。

長髪気味の髪型、女のように背中まで伸びる髪。

肩ぐらいで軽く結ばれている。

1つ気が付けばいろいろと気が付いていく。

服装、顔の形、背丈。

服装は、だぼったい黒のTシャツにジーパンだったのが黒いローブに変わっていた。

顔の形は、まるぽかった形がスリムになっている。

背丈は、160cmほどだったものが180cm 近くになっている。


自分なのに自分ではない。

違和感が拭いきれない。

まるで別人、自分ではない身体。

強烈な吐き気に襲われ四つん這いに倒れ混んでしまう。


「うぅ……がぁはぁ…………」


吐き気を抑え、見開く瞳には草原に出来る水溜まりが写す自分の姿が写し出された。

暗めの銀髪の長髪。銀髪と言うより灰色がかる髪色。

スリムになっている顔とかかる細長い形の眼鏡。


やはり自分の顔でない顔。

しかし写し出された顔は何処かで見覚えのある顔だった。

何処かで……つい最近見たような顔だった。

考えに耽っていると上から声がかかる。


「お前、大丈夫かよ?」


顔を上げて声の方へと振り向くと、そこには中世を思わせる鎧に身を包んだガタイの良さそうな青年がいた。


「大丈夫かよ?顔青いぜ」


「あ……いや大丈夫」


「そうか、しかしここはどこなんだか……おたくはなんか分かるか?」


「全く。悪いな参考にならなくて」


「いやいいさ。俺も同じようなもんだからさ。そうだ、俺は郷田大(ごうだまさる)。大きいって書いてまさるだ!よろしく」


「僕は、橙瀧(とうたき)よろしく」


郷田から突き出された手に答えるように手を出し握手する。

すると突然目の前に半透明の液晶が出現した。

そして液晶に文字が表示される。


《【餃子王(ぎょうざおう)】さんとフレンド登録されました》


これは…………


「餃子王?……えっ????」


キョトンとしていると郷田も同じようにキョトンとしていた。


「チェン?…………てか、なんだこれ?」


どうやら郷田にはチェンと表示されているのだろう。

しかし、チェンって……まさか。


「お前にも出てるのか?この画面?」


「うん。餃子王さんとフレンド登録されましたって書いてあるけど……」


「こっちはチェンさんとフレンド登録されましたって出てるんだが、餃子王って言ったか今!?」


目を見開いて驚く郷田。


「それって俺がやってるスマホゲームのアカ名だぞ!?何なんだよこれ??」


僕も覚えがある。チェン、それは僕がよく使うアカ名だ。しかし、スマホゲームでは、1つしか使っていない。


「あのさ、そのスマホゲームってもしかして……<Wheel of Fotune>」


「そう!それそれWheel of Fotune!WOF!!

ってことはお前も?」


「うん。チェンっての、僕のWOFで使ってるアカ名なんだ」


よくわからないことだらけの状態。でも、唯一分かったことがWOFが関係していることだけか……

それにしても…………


「何で餃子王なの?」


「ん?いやさぁー、俺って栃木に住んでるからさ。だから餃子王」


「栃木?それだけ?」


「それだけ。栃木=餃子。だから餃子王」


「…………くっくっ、くっはあははっ!!なにそれ、栃木=餃子って、あははははは」


「なんだよ!そんなに笑うか!?何だったら苺王でもかんぴょう王でもいいぞコラッ!!」


こんな状態でもしょうもないことで大笑いして何だか安心できた。

僕は大笑いして、郷田は笑い半分で怒鳴っていた。


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