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プロローグ
それは突然だった、前触れもない突然の出来事。
気付くのさえ遅れ、気が付けばそうなっていた。
僕の視界は突然がらりと入れ替わっていた。
入れ替わったと言っても振り返った訳でも、何かが飛び込んで来た訳でもない。
文字通り入れ替わったのだ。
今までの視界は自分の手とスマホを映していたが、がらりと入れ替わった視界は知らない手と背景に草原の地面を映していた。
そして気が付けばそこは、全く知らない異質な空間へと変わっていたのだ。
東京のとある喫茶店から見渡す限りの草原に。
異質。見たことのない見渡す限りの草原。東京なのにもかかわらず何にも遮られない青空。
「なんだよこれ……」
自分の声なのに少し違和感を覚える。
そして気付いたときには、いつの間にか同じようにしている人がちらほらと現れていた。
そして僕達は草原の上に放心状態でただただ立っていた。