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1.始まり

他のサイトさまからの転載です。

ずいぶん昔に書いていたものです。

1、始まり

 紅い紅い鮮血がそこら中に散らばっている。

 動く事の出来なくなった人達が、無残にも紅い液体を流しながらただ地面に崩れ、ただの人形と化していた。魂のないただの肉片と・・・。

 遠くでは、人々の悲鳴や悲痛。せわしなく、凄絶な表情で、逃げ惑う人間達の声。それを追い立てるように重々しい鎧をまとった人間達が鋭い剣を持ち、嘲笑うかのようにして追い立てる。

 放たれた炎があたり一面に燃え上がり、広大で重厚なその繊細な歴史のある造りの城を焼き尽くして行く。

 この世界は女神ルイースが創世した。そして、女神とこの世界を守るために十人の自然神がそれぞれの国の守りを受け持ち常に世界の均衡を保っている。そしてこの空の国ティスリアも自然神によって守護されている。かつてはその城もこの空の国ティスリアの中心をにない、初代国王サルフェル・ラックワ・ベルが統治してその子々孫々達が守り抜いてきた。空と自然に囲まれた豊な風土と歴史あり華々しく輝いていたのだろうが石造りの重厚な城や、広大な敷地に存在していた庭園はその形を今は微塵も残していなかった。

 地獄絵図のような惨状と化していた。

 美しく咲いていた花々は紅い炎によって灰と化し、美しく装飾されていた城の内装は微塵もなく崩れ落ちていた。

 一人の女性が、小さな子供を胸に抱きながら、その戦火を逃れるようにして、燃え盛る炎の中を早足に、敵に見つからないように息を潜め、辺りを見回し進んでいた。

いつ、敵に見つかり、この手の中にいる子を足元に横たわる魂のない人形と化すことを恐れるかのように。

 大きな造りの神殿の地下にある隠し聖堂に、女性は子供とともに潜むように入っていった。

「敵側は王子を亡き者にしようとするでしょう。こちら側が運良く逃れる事が出来たとしても、魔道師を使って、呪いをかけ殺されます!!」

 真っ白な生地に崇高な模様の衣を、(まと)った人物が言った。

「では、どうすれば!!」

「この方だけは、守らなければなりません。この方を絶やす事は、この国の均衡が、女神よりいただいた平穏が、民の幸せが、崩れ去ってしまいます!」

「では、この子を・・・!」

 美しい女性が涙を流しながら、抱きしめる。

「母上様・・・!」

「いいですか?かわいい子、あなたは生き延びなければなりません、分かっていますね・・・」

 母上と呼ばれた女性は、言い聞かせるように、幼い子供の蒼天(そうてん)のように澄んだように青い瞳を見つめながら真剣に話した。

「はい・・・」

 外での悲鳴が近づいてくる。

「王妃!」

「あなただけは生き延びるのです!」

「母上!!」






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