視点
タイトル通り、ある視点から書いてみました。意味分かんないと思います。キイがココアを飲んでるときに思い付いた小説ですので、全てが思い付きです。
ここはとある、バー。普通の客と、変な客が集うところ。そしてここのマスターは、変だと思う。
からんからん
客だ。
「いらっしゃいませ」
カウンターにつく、客。
「マスター、いつもの」
嘘言うなよ、お前は常連じゃないだろ。
「はい」
ことん。そう差し出されたのは、水。…ってえぇ!?水!?そりゃあ、いつも水は出るけどさ!!
「ありがとう」
ありがとうー!?客は水を望んでたの!?一体どんな客だよ!?……ああそうだよ、ここは普通の客も来るけど、変な客も来るんだった。忘れてた忘れてた。
「マスター、濃厚なココアが飲みたいのだけど」
「はい、ちょっと待っててネ」
ネ、ってなんだよおい。しかも今からお湯沸かすのか…。
五分後。
「はい、飲んでちょ」
ちょ!?随分親しげだな。それより、濃厚なココアってどんなのだ?俺の位置からじゃ見えない…。
「あ、忘れてた。コレも使って飲んでちょ」
スプーン?普通に飲めるだろ。
「ありがとう」
ぐちゃ、びよーん ズズズッ……ごくっ
…何?今の音。しかも今なんか、伸びたよね。茶色かった……はっ!?まさかっ…!!!ココアの粉にお湯ちょびっと入れて、練りまくったみたいな!?お湯少な目なら濃厚だろってやつか!!
「うん、濃厚なココアだ。ありがとう、マスター。マスターはいつも望み通りの飲み物をくれるね」
いやだからお前は常連じゃないだろ。俺は毎日ここにいるからわかるんだぞ。それに“飲み物”じゃないだろ、それは。あえていうなら“練り物”だ。“食べ物”でもないからな。…なんだよ、普通の客は来ないのか?ツッコミ所満載で俺、熱くなって壊れそう。
相変わらずの変な音楽と、相変わらず怪しい雰囲気を漂わせる照明。どうにか出来ないか、マスター。
からんからん
お。客だ。今度こそ、普通の客だといいんだが。
「いらっしゃいませ…あら!まーちゃん!?」
なんだなんだ。マスターの顔がみるみるうちに輝くぞ?誰なんだ、まーちゃんという男は。
「マスター……覚えてるのね?」
男…だよな?なんか、女口調?もしかして…おかま?
「覚えてる…!覚えてるわよ…っ。一体今までどこに行ってたの…!?心配したじゃないっ!!」
心配?何故だ?
「ごめんね……あれ?ママは?」
「………」
お?おお?何で暗くなるんだ、マスター。
「それが……まーちゃんがいない間に別れたのよ…」
「う…そでしょ?ねぇ、うそでしょ、パパ!!」
…待て、待ってくれ、俺はついていけねえ。パパ…?つまり…まーちゃんはマスターの子供ってことか…?そんで母さんは出ていったと…、まーちゃんのいない間に。これであってるんだよな…?
「ごめん、まーちゃん…本当よ」
「そんな…ああ…ママ…」
なんか…かわいそうだな。でもツッコませてくれ、おかまの子供はおかまなのかい?いや、いいのだけど気になったからさ。
泣きくずれるまーちゃん。まーちゃんを抱き締めるマスター。まだ濃厚なココアを飲む客……ホント、どうなってるんだ、このバーは。
からんからん
こんな時にも客だ。そりゃあ客はくるよな。ここはバーだからな。
「いらっしゃいま、………!!」
なんだ?マスターが驚いてるぞ?
「久雄…」
マスターに向かって久雄と言った客は、女。まさか……この展開は…。
バッ
女の声に振り返るまーちゃん。まさか…まさか……
「ママ…っ!!」
うそーん!!!やっぱりそんな展開ー!?
「まーちゃん…っ」
「真紀……どうしてここに…お前はおかまが嫌いなんじゃ…」
「ごめんなさいっ!私が間違っていたわ…あなたはあなただもの!!」
「ママ…!」
「真紀…!」
なんだこの展開。なんだこの幸せオチ。客はまだ濃厚なココア飲んでるしよ。幸せなのはいいけど、この後どうなるんだよ。三人で抱き合いながら泣いてるけど…。俺、疲れて元気でないよ。ああ、どうすればいいの俺……てか俺は何も出来ないけどさ。
なんたって俺はこの店の、
ビーッ バチバチッ シューッ
「あ…壊れちゃったわよ、パパ」
「あら、ホント。あたしのお店のはすぐ壊れちゃうのよ。長持ちしてせいぜい三年」
「早く取り替えなきゃね、パパ」
「そうね」
俺…は…、この、店の…
監視カメラなんだ。