【余談】ハーレムモノから学ぶ物語の目的意識
先日他の作者様に感想として書かせて頂いた内容が、思いがけずに、ちょうど自分が余談のネタとして考察していたことだったので、これを踏まえつつ今回の余談を書かせて頂きたいと思います。
前回、小説を読もうのサイトで良く取り上げられている「異世界トリップ」という設定を余談のネタとして取り上げましたので、今回は同様に「ハーレムモノ」という良くある設定を余談のネタとして取り上げたいと思います。
主人公の周囲に美形の異性が寄ってくるという「ハーレムモノ」の作品ですが、
・活躍する主人公に惚れ、女性が自然と寄ってくる
・主人公がハーレムを作るために様々な手段を講じる
どちらの作品が「ハーレムモノ」の作品として良い設定だと感じますか?
「どちらでも同じだろう?」という意見も多いかもしれません。もちろん読者の方の好みはあるかと思いますが、私としては後者の設定を良い設定だと思います。これは、物語としての「目的意識」があるからです。
前者の場合、主人公は「多数の女性に惚れられたい」という意識がありません。読者としてこの主人公に感情移入した場合に、新たな女性が主人公に惚れても、「だから何?」と思ってしまいます。
一方で後者の主人公の場合、「多数の女性に惚れられたい」という意識があります。この主人公に感情移入した場合、新たな女性が主人公に惚れることによって、「ハーレムが増えた!やった!」という感情が沸きます。
これらは「ハーレム」という同じ設定を使った物語のように見えますが、後者の設定は「ハーレム」自体が物語の主題となりうるのに対して、前者の設定では「ハーレム」自体が物語の主題にはなり得ません。
こうなると、同じ「ハーレムモノ」の作品に見えても、前者の設定では「ハーレム」以外の主題が必要となり、「ハーレム」という設定が主題の邪魔になってしまうことすらあり得ます。
女性向けのいわゆる「逆ハーレム」と言われる設定では、「主人公は興味が無いけど、男が勝手に寄ってくる」という設定のものが多く感じます。私がこの「逆ハーレム」と言われる設定の物語を面白く感じないのは、こういった部分の感情移入ができない点からかもしれません。
ハーレムモノに限らず、
「異世界トリップ最強モノ」であれば、敵を圧倒的な力で倒した時の爽快感
「ミステリー」であれば、面白いトリックに納得した時に満たされる知的好奇心
「内政モノ」であれば、国内に新しい制度を作り、国民が幸せになった時の達成感
といったように、「物語の何を魅せるか」という部分には、様々なものが考えられます。必ずしも主人公が何らかの目的を持って動く必要はありませんが、主人公が何らかの目的を持っていると、その目的が「物語の目的」に繋がりやすいため、主人公を通じて「物語として魅せたいもの」が伝えやすくなるんだと思います。
考察の内容を文章にするのは簡単ですが、それを自分の物語の中で実践するのは難しいでしょう。これから物語のプロットを作っていきますが、こういった内容も踏まえて「どんなシーンを描くか」というものを考えていきたいです。