【薄紅の雨が舞う中で】
突然すいませんm(__)m
こちら新作『シロ×クロ』のプロローグとなります!!
―ここが俺の最期の場所
小高い丘の上に大きな桜の樹がある。
その根本で、散り行く桃色の花びらに包まれながら終わるのも悪くない。
ここから見渡す限りは血の海。
たくさんの血を浴び生きてきた。
薄紅の雨が降る。
胸には一太刀の深い傷。
頭からは紅い血が滴る。
全身に傷を負っているが、胸の傷が致命傷となっているのは間違いない。
「…」
空に向かって手を伸ばす。
ひらひらと花びらが手のひらに落ちてくる。
それらはするりと指先を通り抜ける。
掴むことも出来ない。
ゆっくりと目を閉じる。
傍らの赤く錆び付いた刀を握ろうとしても力は入らない。
最期の淡い景色を瞳に焼き付け終わりを待つ。
ふと、温かい何かが手に触れた。
「ここで終わるのか?」
優しくも切ない男の声が聴こえてきた。
もう胸の傷も痛みは感じない。
感覚は失われているはずなのに、触られた手の温もりだけが何故か身体中に染み渡る。
「この私のために生きると誓え。お前を生かしてやろう」
男の声が耳元で聴こえたが、返事をすることさえ出来ない。
だが、体は勝手に頭を下げた。
「全てを忘れ、生きるのだ」
男はそう言うと、俺の額に手を当てた。
ただ、温かく優しい何かに包まれた。
そこで、俺は一度人生を終えた。
新作『シロ×クロ』は近日中に更新予定です!!
どこかで見かけましたら、お立ち寄りください(^_^ゞ