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砂漠の鐘  作者:
第1部 砂漠の魔獣編
5/9

第3幕 沃地の魔獣

「ルナータ、そこは砂が深いから足をとられるなよ」

「うん」

親父の助言を気にしつつ、オレは親父と王子の背を必死で追った。体力差はもちろん、歩幅もまったく違うのだ。頑張らないと、おいていかれる。

 砂漠生まれの砂漠育ちだから、砂には慣れっこだ。…と、余裕があったのも、初めの2日間だけだった。体温をはるかに上回る気温と直射日光の照りつける昼間、氷点下にまで下がる夜間。その気温差も、知ったつもりでしかなかった。

 歩いているつもりなのに、ちっとも前に進まない。気づけば王子と親父はずっと前にいる。キメラに襲われても、戦うすべを持たないオレは隠れてみているだけ。…そんな自分に、腹が立つ。



 


◆第3幕 沃地の魔獣◆





「少し休憩しましょう、団長」

そう告げる王子に頷き、親父は手早く日よけを立てる。その間に王子は水筒から水を1杯くみ、

「ルナータ、飲みなさい」

オレを座らせそれを差し出した。大人しくカップを受け取り、オレはがっくりうなだれた。

「王子、少しあたりの様子を見てきます」

「お願いします。あ、オアシスが見えたら教えて下さい」

「かしこまりました」

王子と親父がそんな話をしている間も、息が切れてオレはずっと黙っていた。

 ふたりはまだまだ、余裕なんだ。明らかにオレが足を引っ張ってる。はぁ…とため息をつきかけたオレは、不意に伸びてきた手に思わずそれを止めた。

 ひた、と当てられたのは王子の右手だった。え? え? なに??

「ちょっと熱いな…」

呟き手を離すと、王子は口の中で小さく呪文を唱え、


『風よ』


日よけの中に、空気の流れができた。

「少しはマシになりましたか?」

「・・・」

こくん、と頷く。ぬるいけど、風が少しあるだけでこんなに違うなんて知らなかった。

「熱中症には気をつけねばなりませんよ。特に、ルナータの体はまだ小さい」

王子は空になったオレのカップを左手で受け取り、もう1杯水をそそいだ。それをまたオレに飲ませてくれた。

「おーじぃ」

フードの中に積もった砂を払っていた王子は、オレの呼びかけに振り向いた。

「どうしました?」

「何で王子は、そんなに強くなったんですか?」

たずねると、王子は目をぱちくりさせた。

 王子は、強い。炎を中心に大地や風、浄化の魔導でキメラと戦い、バッタバッタとキメラの集団をなぎ倒している。とても、一国の王子にできる芸当とは思えない。

 しかし王子は、自嘲気味に笑った。

「ルナータが思っているほど、私は強い人間ではありませんよ」

「だって、キメラとかいっぱい倒してるじゃん」

すると王子は困ったように微笑んで、外していたマントをまた肩に下げた。

「私はたまたま、人より魔力が多いだけです。…人どころか自分さえひとりでは守れない、弱い人間ですよ…」

そう呟く王子の目は、見たことあるものだった。

 初めて会ったあの時…砂嵐が来る直前、城のバルコニーで遠くを見つめていたのと同じ目だ。少しうつろで、現実ではない何かを見て、諦めにも似た憂いを含んだあの顔だ。

「王子…?」

不安になって呼びかけると、はっと我に返ったように王子はオレを見つめ、

「…ルナータだって、これからどんどん強くなりますよ。自分の力を信じなさい」

オレの頭に手を乗せた。

 今の話、もしかして王子にとっては触れて欲しくない話題なのかもしれない。何か言おうと口を開いたのだが、「オアシスが見えた」と親父が戻ってきて、オレは何も言えないままだった。




「こちらの方角でしたが…」

「方位的にもあっていますし、蜃気楼ということはなさそうですね」

ザクザク砂丘を歩きながら、親父と王子は会話する。オレは、すぐ前の臙脂のマントを見上げてみた。時折フードの隙間から、金色の髪が太陽の光を反射しているのが見える。

「王子…オアシスにいる仲間とは?」

何だかんだで結局、協力者…王子の言う「仲間」がどんな人達なのか、何人いるのか、聞けていないままだった。ヘスペリデスの城下町から見て北に位置しているオアシスで合流する約束になっているという話だけだ。

 王子はなにも告げていないことに謝罪してから、親父の問いに答えた。

「ミラという名の女性です。白魔導にとても長けた者ですから、合流できれば非常に心強いですよ」

「女性!? 女嫌いで超有名な王子がですか!?」

「…彼女は特別です」

素っ頓狂な声を上げた親父に答える王子の表情が、オレにはちらりと見えた。

 照れくさそうなわけでも、恥ずかしそうなわけでも、嬉しそうなわけでもない。かといって面倒くさそうなわけでも、真顔でもない。なんとも不思議な顔をしていて、それを言葉で表現するには、オレに語彙力がなさすぎる。

 王子の女嫌いは、市民の間でも有名なくらいだから、よっぽどなんだろう。聞けば、社交界ではいつの間にかダンスになると姿を消し、近寄る貴族の令嬢や他国の王女からは、巧みな身のこなしでさりげなく距離をとっているそうだ。ま、キメラとの戦いぶりを見れば、あながち誇張でもないのだろう。そんな王子に親しい女性がいるなんて、そりゃあ親父もびっくりだ。

「そもそも彼女は私を男として見たことないでしょうし、正直なところ私も彼女を女性扱いしたことありませんからね」

「どんな人なの?」

尋ねると、王子はオレを見下ろして、話してくれた。

「先ほども申した通り、白魔導にとても長けた者です。防御・浄化・回復において、彼女の右に出る者はそうそういないでしょうね。実を言うと私が夜に抜け出していることが露呈しなかったのも、彼女が傷を癒してくれたおかげです」

彼女がいなかったらとっくに見つかっていましたね、と王子は苦笑する。

 白魔導は、魔導の中では他の地水火風とは違う位置におかれるものだ。呪文を媒体に魔力で引き出すとか、相性があるとか、そういった点では同じなのだが、攻撃や生活の利便性に関わるものではない。王子も述べたが、防御や浄化、結界、回復…主に神官や医者が使う魔導とされている。

「私のような人間でも遠慮なく物を言ってくれる、数少ない存在です。芯の通った強い女性ですよ。もっとも…一番、怒らせたくない相手でもありますが…」

何かを思い出したのか、王子の表情が珍しく曇った。オレは慌てて話題をそらそうと、

「そ、それじゃあ、他の仲間は?」

「ああ、彼はトゥバンといって―――…」

言いかけた王子に、オレは襟首を掴まれて、ぐいっと引き寄せられる。

「な、何?」

「ルナータ、団長。オアシスまで走って下さい」

は?

 王子の真意は、オレや親父が口を開くより先にすぐわかった。

「早く!!」

王子が叫ぶと同時に、砂に身を隠していたキメラたちが、いっせいに姿を現したんだ。









 今までのキメラたちは皆、一体一体が違った姿をしていた。けれどここで現れたキメラはどれも同じ姿をしていて、妙に統率がとれていた。みんな、針金のように体が細く、かろうじて五体満足を保っているように見えた。今まで見てきたキメラの中では一番、人型に近い。だけど、関節はおかしな方向に曲がり、立っているのもやっとといった感じにふらふらしている。

「お下がりください、王子! ここは私が!!」

親父は剣を抜き、走る。

「駄目だ、団長!」

王子の制止を聞かず、親父はキメラにむかっていく。

 王子は懐に左手を入れ、引き出すとそこには一振りのナイフ。王子はそれをためらいなく、親父の方へ投げ…ってちょっと!?


風の矢(ブレスト・アロー)!』


叫んだ王子の声に応え、速い一筋の風がオレと王子の後ろから通り抜け、飛ぶナイフの背を押した。しかし親父の一歩手前で失速し、さくりと砂に刺さった。

 届かなかった…?

 そう思ったのだが、これも王子の思惑通りだったのだ。

「くっ!?」

突然、親父の動きが止まった。

「ルナータ、オアシスへ!」

名を呼ばれ、はっと我に返ったが隣にはもう、王子の姿はない。

 王子はまっすぐ親父の方へ走っていた。親父はというと、どうしても動けないらしい。走る体勢のまま、固まっている。王子は動けない親父に迫っていたキメラを、炎の術でけん制する。親父を自分の背でかばうように立つと、


『眠れ!』


呪文を放つ。親父の後ろに群れていたキメラたちが一瞬、動きを止めて…

 それだけだった。

「やっぱりか…」

王子の呟きが聞こえる。どうやら、何かを試したようだ。

 王子はすぐに別の呪文を唱え、放つ。


『炎の雨よ!』


言葉に応え、キメラたちに炎の雨が降り注ぐ。王子は、借りますよ、と断って親父の剣を拾うと、

「…うらむなよ!」

キメラたちへ叫んだ。

 …「うらむな」?


魔力剣(ダーク・ブレイク)!』


剣が怪しく光り、キメラを真っ二つにする。その太刀筋をすぐ横に薙ぎ、

「弾けろ!」

剣に込められた魔力がはじけ、水平にぶっ飛んだ。その光は3匹のキメラを同時に上下ふたつに分けた。

 つ…、強ぇ。

 今まで魔導で戦う王子しか見てなかったけど、剣の扱いも相当だ。オレは親父の職業柄、剣術に関しての目だけは肥えている。それでも王子が、城の騎士団たちと引けをとらないくらいの腕を持っていることが分かるんだ。

 その王子が、ハッとオレを振り返った。え、何?

「ルナータ、逃げろ!」

オレに、影がかかる。後ろにはいつの間にかキメラが一体、そこにいた。



 親父は、動けない。王子は、間に合わない。


 そしてオレは、…自分を守るすべすらない。























『魔よ、あるべき姿に戻れ!』
















 ぎゅっと目を閉じたオレの耳に、凛とした女の声が響いた。

 目を開けるとそこにはもうキメラの姿はなく、足元に水を吸った砂の塊があるだけ。見ると、あれだけいたキメラの数も半分以下に減っている。

「こっちよ、早く!」

さっきの声がまた届き、その声で王子は親父のそばの砂に刺さっていたナイフを引き抜き、その腕をつかんでこちらへ走ってきた。急に動けるようになった親父は驚いているが、今は逃げるのが先決だ。

「ルナータ、走れ!」

かたまっているオレを抱え上げ、王子は走る。すぐ後ろまで迫っているキメラもいたが、


『聖なる光よ、散れ!』


女の声に応えた弾けた光によって、消された。

 すぐ目前まで来ていたオアシスは、淡い光に包まれていた。ぼんやり光っていて、もやがかかっているようにも見える。

「こっちよ、こっち!」

また聞こえた声に、王子はブレーキをかけ左に方向転換する。親父も何とかそのフットワークについてきている。

 光のもやの一部が、ある一ヶ所だけかかっていなかった。王子は親父を促し、その中へ駆け込んだ。

 オレたち3人がそこをくぐると、入り口はまた光のもやで覆われてしまった。抱えられていたオレはともかく、全力疾走した親父の息は完全にあがっている。しかし年の違いか、王子はオレをおろすと辺りを見回し、すぐに立ち上がる。言葉も出ない親父とは体力に差があるようだ。

「ありがとう、ミラ。助かった」

息を切らし、王子は奥にいる人影へ苦笑する。

「まったくもう、世話の焼ける連中ばっかりなんだから」

そこに立っていたのは、女性だった。

 すみれ色のストレートヘアはバレッタでまとめられているが、後れ毛が胸のあたりまでたれている。首にはクロスが下がっていて、服装はよく医者が着ている真っ白なローブの上に、クリーム色のマントをかぶったものだった。年は王子より少し上くらいに見える。切れ長の目が似合う大人の女ってかんじだ。

 王子は彼女を「ミラ」と呼んだ。この人が、王子が言ってた仲間のひとり?

「な…!」

けれどそんな中、まだ息の荒い親父が、声を上げた。

「ドクター・ウェイル! なぜ!?」

え! 知り合い!?



 


「城で…王族の主治医、ウェイル夫妻の娘さんだ。ご自身も医者で、両親の助手としても城へ出入りされていたが…」

親父が言う。お、お医者さん?

「近衛騎士団長のサテライトさんですよね。こんなところでお会いするなんて思いませんでしたけど。それと…」

ドクター・ウェイルはこちらへ向く。

「この子は?」

「ルナータ=サテライト、団長の息子だよ」

答えたのは王子だった。そう、とドクターは微笑み、オレの顔を覗き込んできた。うっ、近い…。

「はじめまして、ルナータくん。わたしはミラ=ウェイル。察したと思うけど、マルスの仲間よ。表の顔としては女医だけどね」

マルス。

 この人は今、王子のことをそう呼んだ。それは王子が、市井にいる仲間たちがつけてくれた自分の呼称だと、嬉しそうに語っていたものだ。だから、オレはすぐに納得したよ。

 このドクター・ミラ=ウェイルという人は間違いなく、王子の仲間だと。

「それでミラ、トゥバンは?」

王子の声にドクターは、オレに合わせてかがんでいた背を伸ばす。

「まだ来てないわ。どこまで行っちゃったのか…最悪、国の様子にまだ気づいてないかもしれないわね」

なにやらよく分からない会話を続け、まあとりあえず暫くここで待機ね、と結論付けたドクターと王子に、オレはあわてて声を上げる。

「で、でもさ。大丈夫なのか? オアシスって目立つんじゃ…」

オレが言いかけると、ドクターはひらひらと右手を振る。

「大丈夫よ、オアシス全体に結界を張っておいたから。キメラは入ってこられないわ」

さらっと簡単に言うけど、結界って…オレは辺りを見回した。

 広さはだいたい、城下町の1ブロックくらいはあるんじゃなかろうか。この光のもやが結界だろうけど、結界っていうのは相当高度な白魔術のはずだ。それをこんな広範囲にかけるなんて。

 王子が、白魔道で右に出る者はそうそういないって評価していたけど…合点がいったというか、予想以上というか。

「彼女ならこのくらい、お手の物でしょう」

対する王子も、あっさりしている。な、何て人たちだ。

「それよりマルス、ほらこれ」

ドクターはマントの内側、腰にぶら下げていた長い剣をベルトごと外すと、ぽいとそれを王子に放った。王子はあわててそれをキャッチすると、

「こらミラ、もっと大事に扱ってくれよ! 俺の相棒だぞっ」

「やかましいわね、ちゃんと手入れまでしてやったんだから感謝なさい」

「どうせ手入れしてくれたの、おまえじゃないだろ…」

ごん、と鈍い音が王子の頭に直撃する。

 ドクター! 一国の王子様にゲンコはないって!!

「いいのよ、このバカにはこれくらいで」

さらにバカ呼ばわり!?

 そこでドクターは、ふぅ、とひとつ息を吐き、

「とにかく、キメラ程度だったらこの結果には入ってこられませんから。安心して休んで下さいね…団長、ルナータくん、聞いてます?」

何だかいろいろ驚くことが多すぎて、オレと親父には、ぽかんとする以外の選択肢はなかった。

 オレの知る…というより世間が知っている王子は、ルックス完璧、仕事も早くて確実、身のこなしや口調も丁寧、それゆえファンも多い。逆に反感を買うこともあるが、あまりに欠点がなくつつけない。女嫌いだということくらいだろう。そんな、向かうところ敵なしという「王子の鑑」だ。

 だけどドクターが現れた瞬間、それが仮面だったと気づかされる。口調も市井の男と変わらないし、一人称までがらっと変わった。物腰も繊細さが身を潜め、「王子様」という表現が吹っ飛んでしまいそうになるほどだ。

「…フリーズしてるわね。マルス、いつもの猫かぶりしてたの?」

「営業スマイルと言ってくれ」

「あんたのそれは営業じゃなくて、もはや詐欺よ」

ドクター、言いえて妙。

「あのね、団長、ルナータくん」

苦笑いを見せるドクターに、オレと親父は呆然としたまま視線を向けた。

「こいつ、猫っかぶりなの。普段は王子様らしく振舞ってるけど、素の時はけっこう粗野なところがあるから、気をつけてね」

「粗野って…」

王子に一番似合わない言葉が、まさか出てくるとは。どうしよう、オレ、受け入れるのに時間がかかるかも。

「だからさっさと猫かぶるのやめたらって、言ってるのにねぇ」

「突然できるわけないだろ、団長やルナータとは城でも会ってるんだから」

「あら、じゃあオアシスに入った途端、仮面を捨てたのはなぜかしら?」

「団長たちに素を知られるより、ミラに営業スマイル見られるほうが数倍ヤダ」

「残念ねえ、久しぶりにマルスの王子様が見られると思ったのに」

王子とドクターの掛け合いを見ながら、オレは少しずつ、落ち着きを取り戻していた。

 ドクターに会ってから、王子の口数は一気に増えた。気を許しているのは明らかだ。…こうしてみると、王子も普通の人なんだな。何だか少し、王子との距離が縮まった気がして、嬉しかった。

「…うん、さすが。剣の調子は良さそうだな」

ふとその声で我に返ると、王子は鞘から剣を抜き、刃の部分を確かめていた。それをまた鞘に戻すと、自分の腰のベルトに鞘ごと剣を差し込んだ。

「まったくもう、人には大事にしろって言うくせに自分は乱暴なんだから。前ほどでなくても今回だって、刃こぼれがひどいってぼやかれたのよ」

「へーへー」

剣を左の腰にセットしながら、王子は面倒くさそうに答えた。お母さんに叱られる思春期の息子みたいだ…とても口には出せないけど。

「…それで、マルス。さっきのキメラたちなんだけど」

ずっと軽口を叩いていたドクターの声から明るさが抜け、ふたりの雰囲気が急に重くなる。王子はちらりとドクターを振り向く。それだけで、ドクターには伝わったらしい。深いため息をつく。

「効かなかったのね…『眠り』の術。やっぱりあいつらが関わってるのね」

「そ…、そうです、王子!」

キメラの話題で我に返った親父が、王子に詰め寄った。

「なぜあそこで、私を止めたのですか!」

親父が言っているのはさっき、キメラに襲われたとき。王子が変な術で親父を動けなくさせたことだ。

「何度も申し上げておりますが、王子をお守りするのは私の役目です!」

「団長。…あのキメラの正体を、知っていますか?」

異常なくらい落ち着いた、王子の声に。親父も思わず、勢いを引っ込めた。

「正体…ですか?」

「知らぬ方がいいのです。あれを倒してしまったらきっと、あとで罪の意識に苛まれることになりますから」

・・・?

 王子の言っている意味が分からず、俺と親父は顔を見合わせる。それからドクターを見るが、知っているであろう彼女は肩をすくめるだけで語らなかった。



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