2話
読んで下さりありがとうございます!!!!
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第一トンネルに到着して、すぐ。
私は目の前の光景に困惑し、怒りで我を忘れそうになっていた。
そこにはリツの姿はなく、リーダーと、巨大な""がいるのみだった。
血の匂いがした。鉄と腐臭が混ざった、生ぬるい匂い。
それでも私は、まだ希望を捨てきれずにいた。
「やぁ、ミトン。早かったじゃないか」
(…………………)
「繝溘ヨ繝ウ縲√◆縺吶¢縺ヲ縲らァ√r谿コ縺励※縲√♀縺?※縺?°縺ェ縺?〒」
「縺翫>縺ヲ縺?°縺ェ縺?〒」
(...................)
目の前の何かが、""が、奇声を発しながらうごめいている。
""は、その大きさでおおよその強さが決まる。目の前の""は、見たことのないほどの大きさ、およそ全長30メートルほどだろうか、をしていた。
どろのように柔らかく、しかし変な所から腕やら目やらが生えている異形型だ。
「リツを、どこにやった」
状況を理解したくないという気持ちで頭がいっぱいになる。
笑顔でその場に佇むリーダーをにらんで問う。
「あれぇ、僕の心配はしてくれないのかい」
「黙れ」
怒りで目の前が真っ黒になりそうだ。
「ふうん、そうか。薄情だなぁ。1年以上も仲間としてやってきたじゃないか」
「黙れと言っている」
「名演技だったと思わないかい?その証拠にほら、リツもここで僕の味方をしてくれているじゃないか」
リーダーはそう言うと、隣の””に目を向けた。
認めたくなかった。薄々気が付いてはいたのだが、目を背けていた。
「譌ゥ縺城??£縺ヲ」
""から放たれる声は、理解のしがたい言語を発している。
しかしその声色は、少し前まで聞いていたものとそっくりで―――
「なぜ、裏切った」
「んー?」
「いつからだ?一年前、お前と初めて会った時から、既に裏切りを前提としてうごいていたのか?」
「それ僕、答えなきゃいけない?」
舐め腐った笑顔をこちらに向けている。
「じゃあそうだなぁ、ミトンが僕に勝ったら教えてあげる」
「気安く名前を呼ばないで」
リツとは10年前からの親友である。
同じ時期に同じ孤児院に引き取られ、同じくその戦闘能力を買われ、同じ仕事についた。
親の所在も不明で、兄弟もいなかった私にとって、リツは家族同然の存在だった。
『弟がいるんだぁ』
リツはたまに、私に会ったことが無いという弟の話をした。
孤児院に引き取られたとき(まだ4歳ほどの頃だ)、首からぶら下げていたというペンダントには、『2人が元気に育ちますように』と刻印が刻まれていて、一枚の写真が挟まれていたそうだ。
『こっちが私で、こっちが弟。きっと双子だったんだって、孤児院のおばさんがいってた』
お金も家族もやりたいことも無い私とは違い、リツには希望と目標があった。
だからこそ私はリツについていった。
自分の戦闘能力を隠して。リツより昇進しないように、ずっと同じ仕事ができるように。
―――リーダーの不審な行動には薄々気が付いていた。
「確信がないから」「リツは慕っているから」と、後回しにしていた。私の責任だ。もっと早く、リツに声をかけていれば。引き留めていれば。
カラン、カラン。
リーダーが無雑作に、足元のペンダントを蹴飛ばした。
地面に転がり割れたペンダントを見て、理性が吹き飛ぶ。
だからだろうか、幻聴が聞こえてきたのだ。
〈いいねーミトン。さっさと殺そう、ころしちゃえ〉
〈馬鹿言わないの、お兄ちゃん。挑発にのってしまえば相手の思う壺よ。冷静になって、ミトン〉
聞き覚えのある二人組の声だった。確か昔も――いや、なんだっけ、思い出せない。
あぁ――いつから間違えたんだっけ―――
面倒は嫌いだった。殺人などもっての外だった。
「殺してやる」
自分からでたとは思えないほど暗い声が、トンネルに響く。
大丈夫。勝てる。
相手めがけて走り、武器を手に取る。
懐かしく手に取った武器だった。
長い鉄パイプの先に黄色い逆三角形の板がくっついている。!マークのかかれた相棒の鈍器、武器とは言い難いかも知れない、そう、標識だった。
「あはっ♪ そのおもちゃで勝てると思っているのなら、君は自分の実力を見直した方がいい」
リーダーが2本のナイフを両手に構える。双剣だ。
2人の武器が交錯する。
キィィンという金属と金属のぶつかる大きな音がなった。
一瞬で勝負がつくとでも思っていたのか、リーダーは酷く驚いた顔をする。
2対1で、数的には不利。
「おいおい、まだ僕が裏切っていない可能性だってあるじゃあないか。早々に切りかかるなんて、失礼だと思わないかい?」
「今ここに至って何をぬけぬけと」
相手の攻撃する手が速まる。
先程の地震の影響か、地盤が緩んでいるらしい。
あちらこちらからミシミシと嫌な音が聞こえてくる。
(早く戦いを終わらせないと、崩壊するか)
急がないと―――
「縺斐a繧薙↑縺輔>縲らァ√?∝宛蠕。縺ァ縺阪↑縺?シ」
後ろの""から、攻撃が飛んでくる。
自らの体をちぎってこちらに投げているのだ。
ちぎられた箇所から血が噴き出てくる。
おぞましいとしか形容できなかった。
""が加わったことで、防戦一方になってしまう。
必死に避けるも、限界があった。
「縺企。倥>縲√←縺?°騾?£縺ヲ」
「つっ―――、ちぃっ!!!!!!」
相手の攻撃が右腕を掠める。
その瞬間、爆ぜたような衝撃が身体に走った。
その時、また幻聴が聞こえてきた。
〈ねぇねぇ、手伝ってほしい?お姉ちゃんも手伝ってあげようよ〉
〈あんたは早く手伝いなさい、お姉ちゃんは暇じゃないの〉
ああ、喧しい。幻聴がはっきりと聴こえる様になってきた。上手く脳に酸素が行っていないのだろうか。
右腕の傷口が、ズキズキと痛む。
遅効性の毒のようなものが仕込まれていたのだろう。
反応速度が間に合わなくなってきた。
勿論相手がそれを見逃すことも、手加減してくれるはずもなく―――
「そろそろ仕留めてやろう」
リーダーの姿がフッと消える。
(どこに行って―――)
〈後ろ!!!!!〉
またも幻聴が聞こえた。反射的に――いや、全く自覚なく―――いつの間にか後ろを振り返り、私の標識と相手の剣は交錯していた。
(――えっ?)
驚く暇もなく。そのまま私の体は、勝手に動き出した。
(!?!?!?)
身体を操られているような感覚に陥る。その間、およそ3秒ほど。しかしその短い間で、私の体は相手の間合いに恐るべき速度で入った。
そしてそのあと、またまた突然身体の主導権が私に戻ってきた。
(えっ、えっ、えっ!?)
相手の目と鼻の先である。
混乱しながらも、どうとでもなれの精神で、勢いのまま私は標識を振りかざした。
そしてキィンッと、リーダーの手に持つナイフが砕けた。
「はっ?」
間抜けな声が、憎むべき声が、一年間ずっと共にした元仲間の声が、空間に響く。
驚いたのか、一瞬相手のバランスが崩れた。
先程の減少に混乱はしているが、今は戦闘中であるからして、気を抜いているわけではない。
だからこそ、その隙を見逃すはずもなく。
〈――あはっ♪〉と、幻聴が聴こえたような気がする―――
勿論リーダーはとっさに後ろへとびのいた。
……が、次の瞬間には、両足の膝から下が、バッサリと切られていた。
「ひぃっ⁉」
〈流石だね、ミトン♪〉
喧しい。先程よりも幻聴がはっきりと聞こえてくる。
しかし今は、幻聴なんかに構っている場合ではない。
戦いの最中なのだ。
「もちろん後で殺すし、許すつもりなどないが、お前には後で話をきかなければならない。おとなしくしておいて」
さてさて。
ゴミくずもとい元リーダーさんのことは忘れて、目の前の""に目を向ける。
本部に所属していた頃、聞いたことがあった。
―――""とは、"上"に要らないと判断された物の成れの果てである―――
私達はてっきり、無機物を指すものであるとその時は思っていた。
(生物にも、人間にも適応されるものだったと言うの?)
そもそもリーダーが裏切った理由もまだ分からず仕舞いだ。
しかし、リーダーのせいでリツが今こうなっているのは間違いないだろう。
(人間を""化させるようなものが存在するというの?)
もしも本当なら恐ろしいとしか言いようがない。
(なら、私が今まで戦ってきた""も―――)
背筋の凍る思いだった。
(………っ)
考えないように、考えないようにしよう。
今は目の前の戦いに集中するのだ。
「縺斐a繧薙↑縺輔>縺斐a繧薙↑縺輔>縺斐a繧薙↑縺輔>」
(ああもうっ……)
その声で喋られると、それだけで動揺と攻撃への躊躇いが生まれてしまう。
攻撃は先程から常にワンパターンだ。
分かりやすく単調だが、殺意のこもった攻撃。
身体を千切って投げているのだからサイズだけでも小さくなって欲しいものだが、大気中の汚染を吸収しているのだろう。
かえって大きくなっているようにみえる。
(………)
〈ねぇミトン、この期に及んで助けようだなんて思ってる?〉
(………煩い)
〈甘い考えは捨てる事ね。戦いに置いては邪魔なだけよ〉
(私が1番わかってる!!!)
頭によぎる躊躇いの原因を、気合で振り払う。
""目掛けて大きく振り被った。
「リツごめんね。私、貴方を守ってあげられなかった―――」
大きく息を吸う。目を瞑ろうとして―
「ま 邏? た 據縺?繧 ね邨カ蟇セ邨カ蟇セ縲∫エ?據縺?縺九i縺ュ」
やはり、リツの声だった。
(ああ、やっぱり私は駄目だ――)
一瞬の迷いが生じてしまう。
〈何やってる、この馬鹿!!!!〉
攻撃を途中で止めてしまったのだ。
そのせいで身体のバランスがほんの少しだけ崩れる。
しかしその隙を見逃すほど、相手は温くなかった。
空中にギラリと刃が輝く―――
空中で無理矢理攻撃動作をやめたせいで上手く受け身が取れず、大きく砂埃が舞う。
(……………え)
砂埃が晴れたとき私の目の前にあったのは―
遠くから投げられたであろうリーダーの剣と、私を庇うようにして受け止める""の――いや、リツの姿があった。




