第7話 『揺れる心、繋がる想い』 (緋人視点)
梓との日々は穏やかに流れた。
研究室での議論、静かなカフェでの会話、そしてたまに交わす無言の視線。
俺たちの距離は確実に縮まっていた。
でも、心の片隅にはまだ「結衣」がいた。
あの無限アレルゲン少女の記憶は、決して消えることはない。
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ある午後、大学の廊下で思わぬ人物に声をかけられた。
「逢坂緋人、久しぶりだな」
声の主は、結衣の古くからの友人であり、かつて彼女を支えた研究者の一人だった。
彼は、俺に一冊のノートを手渡した。
「これは、結衣が最後に書き残したものだ。君に託す」
ノートを開くと、そこには結衣の生の言葉と感情が溢れていた。
喜び、恐怖、愛、そして最後の決意。
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夜、梓にそのノートを見せると、彼女は静かに頷いた。
「彼女の想いは、私たちの道標になる」
俺は手を握った。
「結衣が見た未来を、俺たちでつくろう」
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だがその夜、俺の携帯に一通のメールが届いた。
差出人は不明。
「真実はいつも、隠れている」
それは警告のようだった。
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その数日後、研究所のデータが不正アクセスを受け、重要な治療情報が盗まれた。
背後にいるのは、一体誰なのか?
梓と共に、俺は新たな闘いの予感を感じていた。
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愛と記憶の狭間で揺れ動く心。
そして、二人を取り巻く見えない敵。
未来のために、俺は進み続ける。