第三十四話 女の子達
街からソフィア義姉だけが帰って来ると、街に引っ越すことになった。
荷物をまとめて、初めて話に聞いていた街――ルーロー市というのに来た。
アマリットは喜んでいるけど、私はあんまり喜べない。
あのパパが住んでる街、私はパパの所には行きたくない。
ソフィア義姉が運転する橇は、少し大きな家に辿り着いた。
ここが新しいお家なんだろうか……リサねぇはどうするのかな。
私達がそんな新しいお家に着いたのはもう夕方で、お腹が空いていた。
すぐに一人のおばさんと、散弾銃を持った女の子が家から出てきた。
「お疲れ様ソフィアちゃん。あらリサちゃんじゃない! 生きてたのね~」
リサねぇもこの人と知り合いみたい。私とアマリットは少し居心地が悪くて、二人で少し距離を置いて寄っていた。
「良かった……と言い切れませんが、一応生きています」
良かったと素直に答えられないのがリサの、ひいてはみんなの現状だった。
今はまだ飢えてない。
でも明日は分からない。言い方は悪いがお荷物にしかならない私達を抱えての生活というのは、僅かな期間であってもとても厳しいものだと思う。
私も思うところはあったし、そうはならないと分かってるけど捨てられても仕方ないとも少し思ってる。アマリットは多分分かってないけど……。
私はアマリットと同じ部屋だった。おにぃはここには居ないみたい。
そもそもここの宿には女の子しか居ない。
踊ったりはまだ分かるけど、刺繍はあんまり面白くない。
みんなで噂話とかいろんな話をしながら、いろんな模様を縫うのは難しい。どうせなら一人で黙々としてる方が良い。
ここでも村の時みたいにあんな事があると思うと、テント暮らしの方が良いと思う。
おにぃに会いたい……沢山撫でてもらって、勉強の続きを教えてほしい。
――――――――
二人がテントを出てからしばらくの私達は、酷く惨めで不安な生活だった。
私達というか私か……二人は養われるのが当然の年回りですし。
ただ木を切ったり少ない食料を節約しようとすることしか出来ない。カイとソフィアの好意に甘えるしか出来ない自分が本当に嫌だった。
二人は家族と言い切れる。でも私は……何なんでしょう? 友達? 同郷? 幼なじみ?
そんな微妙な関係。
だから出来ることはした。薪も割るし荷物だって運ぶし、ご飯だって作る。
でも目減りする食糧を二人に任せ、狩りの成功を祈るしか出来ない……私も狩りを手伝えて良かったと思う日々は最低の日々だった。
ソフィアが帰って来て、街に移動すると言われた時、正直少しホッとした。
街なら私にも出来る仕事がきっとある。助けられっぱなしで無くなると思った。
私は急いで荷物をまとめ、ソフィアの運転するスノーモービルで街に来て荷下ろしをして一息ついた。もう夕方だった。やっぱりまだまだ昼間が短い。
ソフィアとアマリットちゃんとヘルミちゃんとで宿に落ち着き、ソフィアから話を聞いたけど本当に酷い状態。
治安は最悪で住民が武装して身を守ってるって……何て酷い状態。
「昔カイが言っていた言葉を思い出す」
――
「国家は国家を従えるに暴力を用い、警邏は罪人を従えるに暴力を用い、父は妻を従えるに暴力を用い、妻は子を従えるに暴力を用いる。人類が人類であれば争いは無くならぬであろう」
――当時は分からなかったけど、今は良く分かる。
「……暴力、そうだよね……最後は暴力だもんね」
ステゴロか鈍器で殴るか、銃で殺すか。結局どれも暴力に違いは無い。
「暗くて難しい話はまた今度にね? それより今はこれからの話にしよ」
――
「そうね。とにかく私達は今のところみんな仲良くカイに養われてる。さすがにこれは拙いから、私達は私達で仕事を探さないといけない」
「……分かった。私は薪を運んだり、この宿のお手伝いをしようと思う」
「安心して。そんなに難しくないから。私とカイは警察ってところに働きに行くけど、リサは二人を見ててほしいのと、ここのお手伝いをお願い」
「分かった。私は私の出来ることを頑張るから、無理はしないでね」
――――――――
街に来た次の日。
妹のヘルミと一緒に、これからはここで暮らしていくことを教えてもらった。
ヘルミはベッドに潜り込んで丸くなってるけど、今は機嫌が悪いし放っておいた方が良いかな。
ヘルミも私とあのお父さんに引き渡されるか、もしかしたら売られるのを心配してたけど、お兄ちゃんはやっぱり凄いし優しい。
私は太い革用の針を持って縫っていく。
革製の脚絆を今は作ってる。これからの季節ならみんな使うし、多分売れると思う。
さすがにこんな物に刺繍はしないから、ヘルミも作るのを手伝ってくれたら良いのに……今は機嫌が悪いし放っておいた方が良いかな。
カイにぃはどうしてるのかな?
ソフィア義姉が暴走してないから大丈夫だと思うけど少し心配。
おにぃは働き過ぎってお母さんもよく言ってたし、無理してないかな。
閲覧履歴をなんと無しに見てみたら投稿サボるとVPガタ落ちしててびっくりしました。
別に0でもいいっちゃ良いんですが、ここまで綺麗に落ち込むと素直だなと正直感心します。
そんな余談は良いにして、心理描写って苦手ですね、プロの作家さんて凄いと思います。
先4話までは書きだめが出来ているので今月は頑張りまする。
更新は不定期ですが、気長にお付き合いいただけると幸いです。
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