第三十一話 平穏ならざる世
ELDEN RING NIGHTREIGNにドハマりしてました...。
翌日、朝から市場に来てみたが、いくぶん人が少ないように見える。
俺たちは僅かな肉と毛皮を携えて来たが、はたして売れるだろうか。
普段なら所狭しとまでは言わないまでも、そこそこの露店が並ぶ市場も今はまばらだった。
「まずは受付に行こ」
「そうだな」
露天市場を管轄する管理事務所に顔を出すと、職員は暇そうにしていた。
「いらっしゃいませ。露市をご利用ですか?」
「あぁ、そう考えていたんだが、えらく寂れてるな」
「はい。この情勢で皆さん外出を控えていらっしゃいます。内市も今は空いておりますので、露天と同じ料金でご利用いただけますが、いかがなさいますか?」
内市(屋内市場)はコミケの小規模版といった雰囲気だが、大きい物は扱いづらい。
「使えるなら内市でいいんじゃない?」
「そうだな。内市でお願いします」
「かしこまりました。こちらの書類にご記入ください」
ここでさらりと線引きがされている。識字者でなければ相手にされないのだ。
もっとも俺もソフィアも読み書きはできるし、妹たちにも教えているから、この程度の書類なら——たぶん書けるだろう。
名前、年齢、滞在場所、職業、売り物などをいつもどおり書き進め、最後に見慣れない項目で手が止まった。
≪検問所で身分照会の有無≫?
「あの、この“身分照会の有無”っていうのは?」
「はい。検問所で受け取った簡易滞在証や、身分を照会できる書類があれば提出してもらっています」
「検問所で渡された、名刺みたいなペラ紙ですね……」
「はい、カイ・ラークソネンさんですね」
奥から眼鏡をかけ少し太り気味の管理職らしき男が立ち上がり、こちらへ来た。
「君、もしかして去年の射撃大会に出ていたカイ・ラークソネンかね?」
「はい。私がそのカイ・ラークソネンです。こちらは妻のソフィア・ラークソネンです」
唐突な上司の登場に受付の女性が慌ててファイルを取り出し、ぱらぱらとめくり始めた。
「そうか。去年の射撃大会で君を見たよ。私も出ていたが——38位だったがね。ともかく前途有望な若者を歓迎するよ。君、早く来たまえ」
イベントが少ないご時世だからか、妙に名が通っている。悪いことではないが、微妙な気分だ。
「ありがとうございます。でも、皆さん私だとわかると持ち上げてくれるので、何とも言えない気分になりますね」
「そりゃそうだとも。新聞にも載ったしラジオにも出ただろう。うちの息子もあの大会に出ていたが、“あんな狙撃手になる”って息巻いていたよ」
記念撮影もあったっけ……写真は家に無事残っているかな。
「部長、書類ができました」
「おぉ、そうか。カイ君、つまらんことで死ぬなよ。今は荒れているが、春になれば良くなるだろうからな」
そんな雑談を挟みつつ、無事に市場で店を構えたが——このまばら具合で売れるのか?
冬が終わるというのに毛皮が売れるのかと思うかもしれないが、意外と売れる。普段なら、だが。
毛皮は毛布や衣服、敷物、椅子の張り地、クッションの表地、ベッドカバーなど用途が広い。
主な顧客は、いわゆる小ブルジョア層だ。
今回は丁寧に仕上げた一枚もののカリブーやクズリの毛皮に加え、妹たちが練習で処理した微妙な品もある。兎の皮は労働者向けだろう。だが労働者は支払いが渋い。
「暇ねぇ」
「暇だな」
安い毛皮はパラパラ売れるが、目玉のカリブーやクズリは動かない。ムース(ヘラジカ)は皮革利用が主らしく、靴屋の丁稚が買っていったが……。
夕方まで粘ってみたが、稼ぎはまずまずといったところ。
とにかくナージャさんに宿代を払えそうでひと安心だ。
明日、買い物を済ませて街を出ようかと話しながら宿に戻ると、チェーンを巻いた車が停まっていた。
「客でも来てるのかな?」
さて、本当にただの客か? 失礼だが、こんな辺鄙な宿に冬場に車で来る客がいるものか。
「さあな。KGBじゃないことを祈るよ」
「かげーべー?」
「秘密警察のことさ」
自衛や復讐で人を殺した身だ。もし来ても驚きはしない。
……もっとも本当に機能しているなら、ここまで治安が悪化しないのだろうが。
あまり気にせず宿へ入ると、正真正銘、警察の制服姿の二人が食堂でお茶を飲んでおり、思わず身構えた。
「えーっと、何かあったんですか?」
戸惑いながら率直に尋ねる。少なくとも逮捕されるわけではあるまい。
「お、君がカイ君だね。スカウトに来たんだよ」
人当たりの良さそうな二十代後半の警官がそう答えた。スカウト?
「どういうことです?」
「そのままさ。うちの武装警察で狙撃手をやってほしいんだ」
なるほど、勧誘の意味でのスカウト。概念的にはJäger(猟兵)の狙撃兵が欲しいらしい。
「お金次第ですね。妹たちを養わないといけませんし、妻もいます。今の仕事より稼げないと困ります」
偽らざる本音だ。
「もちろん、実力相応の給与は出しますよ。必要なら奥様も雇う用意があります」
横の四十代ほどの上司らしき男が口を挟む。胡散臭い。
「ソフィア、今10倍スコープで敵を観測している。目標の見かけ上サイズはおおよそ6センチ、身長は180センチ。距離は?」
「えっと……180÷6で30、だから……300メートル先に敵がいます」
「一応ソフィアも距離を読めますし、俺もですが、軍や警察で使うミル法は学んでいません。即戦力にはなりませんよ?」
だが二人は少し驚いたようで、目線で意思疎通していた。
「いや、正直驚いた。狩人は皆、勘で測距しているものだと思っていた」
「それも正しいですが、俺は計算式も大事にしています」
ゆったり狙えるなら、数字で裏付けたほうが当たりやすい。
「奥様も同じように狩りを?」
「ええ。ただ妻は生活のための狩りが中心で、得物は散弾銃。狙撃銃は得意ではありません。付け加えると、俺たちは既に人を殺した経験があります。忌避感は薄いですね」
「検問所の記録にもありましたが、村が襲撃されたときに?」
詳しく話すのは面倒だ。嘘ではないし、そういうことにしておこう。
「世の中は残酷です。母は殺され、姉や兄は行方知れず。平和と秩序が戻ることを祈っています」
二人は何とも言えない顔になった。治安担当者として耳が痛いのかもしれない。
「それで、治安維持に協力していただけますか?」
「俺に何を求めるかによります。筒先を敵に向けることも、鬨の声を挙げてナイフを突き立てることもできますが、CQCはからっきし。読み書きはできますが、法律はさっぱりです」
「訓練がありますから何とかなります」
「では、給与はいくらです?」
これが最重要だ。手持ちは一万キャットに届かない。
「武装警察隊は内部昇進が基本なので変則的ですが、最低でも五千キャット。実力次第で上乗せします」
「微妙ですね……」
カリブー一匹が今なら一五〇〇キャットほど。狩猟を控える季節を考えれば……。
「御姉妹を扶養家族に含めれば控除が適用され、手取りは四千キャット程度になります」
「なるほど……妹たちは扶養家族に入りますし、学校にも通えますね」
「学力相応の学年に編入という形になりますが、公共学校への編入も可能です」
都会は税金が高いが、公共福祉がちゃんとあるらしい。少し感動する。
「最後に一つ。なぜ俺をスカウトするんです?」
「理由は二つ。まず、射撃大会で審判をしていたローザを覚えていますか?」
「ええ。女傑って感じの、肩幅のある人ですよね」
「その人です。彼女は武装警察実務部隊のNo.2で、才と未来ある若者が欲しいと常々言っていまして。今年の大会が中止になったものだから“自分でスカウトに行く”と警察部長と殴り合い寸前で大喧嘩を……」
あのおばさん、何やってんだ……。
「もう一つがリスク管理です」
「リスク管理?」
「優れた者を在野に置いておくのは危険です。あなたほどの狙撃手が、金も居場所も失えば、優秀な暗殺者にもなり得る。排除はできない。ならば雇う、というわけです」
実利的でわかりやすい。
「ソフィア、いいか?」
「私はカイの判断を尊重するわ」
「ありがとう」
「それでは、話を受けたいと思います」
友人に誘われて始めたら気が付いたら少ない時間をすべてつぎ込んでました。
最近ゲームは、Rule the Waves 3ぐらいしかして無かったのでダークソウル3以来のフロムのゲームは何とも新鮮で楽しかったです。
私の近状は程々に本題。
この話はいろいろ悩んだのですが、主人公の立ち位置をようやく確立させたお話なんですよね。
30話も書いておきながら主人公の立ち位置を決めてなかったんかいと言われても仕方ありません、プロットを無視して突っ張り出した奴が悪い、つまりは悪いのは私です、反省しています。
軍事オタクのマニアだからそう言う話しを書きたくて仕方ない、でもその為には立場がいるよねって事ですね。
シモヘイヘで終わらせるつもりの軽い話だったんですけど、書いてて私がこの世界を気に入っているので続けます。
戦争もしますし政争のさせたいと思っています、何なら艦隊戦すらさせたいと思っています、夢が広がりますが完結はいつになる事やら...。
友人がエルデで待っているので今日はこの辺で。
それでは、また次回お会いしましょう。
更新は不定期ですが、気長にお付き合いいただけると幸いです。
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