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第十九話 遊牧民的生活 肆

 おのれラビリンス...うっかりやらかしてしまいました、てへぺろ。

 ハイ、大変申し訳ございませんでした、定期更新にしようとした初っ端からやらかしてしまいました。

 二人でイチャイチャするのも良いが、今日はまぁそこそこ天気が良さげだから本格的に移動しようと思った。

「なぁソフィア、今日は少し足を伸ばしてルーロー市まで行かないか?」

 ここからルーロー市までなら多分数時間ぐらいでいけるはずだ。

「え?良いけど私お金持ってきて無いよ?」

「俺は持ってきてる、まぁ高くないモノなら買ってやるから行こうや」

 そう言うと何故かジッと見つめられた。

「つまり、デートって事だよね?」

 まぁ、デートと言えばデートか。

「そうなるな」

「私地味な服しか持ってきて無いんだけど」

「俺も持ってきて無いぞ、ただ買いもんと情報収集がしたいだけだから気にしなくても……」

「気にします~、もう、そう言う所分かってないの良くないと思う」

 何でだよ、ただの買いもんだし良いだろ……。

 仕方ないし一人で行くか。

「ダメだからね?」

 いや、心を読まんでくれ、それとも顔に出ていたか?

「いや、行きたく無いんだろ?」

「ふーん、そう言う意地悪言っちゃうんだ、別に……良いもん」

 拗ねちゃった、拗ねたソフィアは面倒くさいんだよなぁ。

「ごめんて、ほら一緒にルーロー市にまで行きましょう、お嬢さん」

「ムゥ……何しに行くかによる」

「真面目な話しこの辺の纏まった情報とかが欲しい、お金はまぁ念のために持ってきた分しか無いからあんまり多く無いが……まぁ、大丈夫だろ」

 暇でゴロゴロしてて思い立ったからな、用意なんてしてようはずもない。

「なら……許さない事も無いけど今日は狩りがしたい、引きこもってたから動きたい~」

 そうだよなぁ、うん……逆に考えるんだ、肉とか手に入れられたら卸せると。

「なら今日は狩りに行こうか」


――――――――

 

 と言う訳でスノーモービルに載っているのだがなかなかどうして痕跡すらも見つけられん。

 この森は広くて人の手も入ってないし、食べ物が多いから毎年そこそこ動物が居るんだがな。

 川をテントを張った場所付近より更に遡上してみているがうーん。

 一回この辺で降りて周りを調べてみるか。

 何となく目に付いた大岩の隣にスノーモービルを横付けして、エンジンを切って降りる。

「この辺は餌場でも可笑しく無いんだけどな……」

 おかしくないんだがこの前の雪で足跡とかが消えちまってるのが痛い。

「先ずは周りを調べてみよ」

 二人で手分けして探すが、そうなかなか見つからないモノだ。

 そうやって何度目か止まって周りを探し始めるとドンピシャだ。

「大量の足跡だな……」

 一体何匹居るんだ?10は軽く超えているな。

 ソフィアに手を振って呼び寄せる。

 転がってる糞は……そんなに古く無さそうだな、流石に凍ってるから数分以上は経ってるな。

「大当たりだね、カリブーさん達は...西に向かったみたい」

「追うか」

「もちろん」

 楽しい楽しい狩りの時間だ。

 背負っていたライフルを手に握り締めて、まだ血に汚れていないギリーのフードを被る。

 これだけド派手に足跡が有れば追うのは容易いが何時追いつけるかの問題がある。

 だが確実に何時かは追いつけるのと一つ、足跡が割とはっきりしている。

 これはつまり、風とかで崩れていない、つまりは比較的新しいと言う事だ。

 とは言ってもすぐに会える訳でも無し、気合いを入れて追い続けるしかない。

 追跡猟は基本持久戦、体力勝負だ。

 俺はもちろんにしてソフィアもなかなかの体力を持っている。

 マラソンなどの競技的な体力ではない、粘りのあるただ歩き続ける力だ。

 ただそれが未整備の雪山と言う点が道路を歩くとは違うな、町歩きなどよりよっぽど体力を使うと思う。

 さて、気合いを入れて行くかね。


――――――――

 

 あるドイツ人は言った"急がずに、だが休まずに"と、狩りとは正しくそれである。

 絶え間なく歩き続けて獲物を追う。

 ただひたすらに追い続ける、追い続ければやがて獲物達が見えてこようと言うモノ。

 そして数時間歩き続けた俺達にその時が来たと言う事だ。

 非常に大きな群れだ…30匹はいる、もしかしたら50ちかいかもしれない。

 確かに足跡が多いとは思ったが……これは難しい相手だな。

 今は300m以上離れているがあれだけの群れ相手に近づくのは至難の業だぞ。

 あの群が今いるのはちょっとした丘の岩場だ、植生が比較的乏しく、少し周りの森より開けている。

 カリブー達は雪の下の何かを食べている、多分トナカイ苔か何かだろう。

「俺はもう少し近寄る、ソフィアは上手く回り込んで逃げる方向に待ち伏せ」

「分かった」

 分かれてそれぞれ移動を始める。

 カリブーの視線に気をつけながら少し距離を詰める。

 それでも100mぐらいあるがいける、腕を信じる。

 ゆっくりと待つ、無理に詰めようとする必要はない、俺ならやれるし、ソフィアが待ち伏せで仕留めてくれるだろう。

 先ず狙うべきは……一番近い雄だな。

 一応この時期は雄しか狙わない事になってるからな、まぁ待ち伏せで群れて逃げる奴を撃つ時は偶にやらかすが、それは仕方がない事だ。

 別に整備されたルールが有るわけではなく、単純にこの時期のメスは妊娠してる可能性があるから止めとこうねって言うだけの話しだし。

 実際腹切って子供が出てきたらテンションだだ下がりな上あんまり脂肪がのって無かったり痩せてたりするし……マジで極力狩りたくない。

 故に冬は雌は禁猟、飢えてたら別だろうけど、そこまで追い詰められる何て考えたくない。

 それにして一人でなく連結して狩りをするのは何とも心踊る、一人は一人で楽しいのだが、やはり一味違う。

 今の所ソフィアはバレずに移動出来てるみたいだが、一つ思ったが今度ソフィアにも腕時計を買ってプレゼントしよう。

 無線は高いし待ち伏せには使えないから要らないにしても時計で時間合わせでの攻撃とかが出来ないのは不便だ。

 何となく感で息を合わせるしか無いんだからな、難しいもんだ。

 そんなところでさて、そろそろかね。

すぅっ。

 遠いし弾は落ちる、風はあまり吹いてない、この距離なら問題無いかもしれないが弾は自転で少し流れるから少し意識して。

 ダン!

 俺の予想違わず売った弾は雄のカリブを撃ち抜いて少し逃げようとしてすぐに倒れた。

 ガチャン。

 群は逃げ始めたな、ここからじゃ尻しか狙えねぇ。

 ダァン!!

 ソフィアの待ち伏せか。

 ダァン!!

 二発撃ったな。

 俺は立ち上がって自分の仕留めた雄に向かう。

 ソフィアも一匹仕留めたようだな。

 近寄って銃でツンツンしてみるが動かない、死んでるようだな。

 ソフィアの方に行ってみる。

「お、立派な角だな!」

「でしょ、でも一発目はミスっちゃってほら」

 見たら右後ろ足に撃ち抜いた後がある。

「いや、上々だって、動いてるカリブーに当てたんだし二発目で仕留めてる、完璧だって」

「そう?それじゃさっさと血抜きしよっか」

 言葉では素っ気なく、当然みたいな雰囲気を出してるが顔がにやついてやがる。

 全く嬉しいんなら普通に喜べば良いだろうに、なんでそう時折格好を付けたがるのか……。

 さっさと首の気管の左右にある頸動脈を切断する。

 さて血抜きをしてる間に、胸部を割って心臓も切っておくと。

 本当は木に吊せば良いんだろうが、いやそもそも200kgとかあるカリブーをそれだけ引きずるのが無いか。

「ソフィア、そっちはどうだ?」

「うん大丈夫、私は解体の練習がしたいからカイはスノーモービルを取ってきて」

「分かったが、狼とか熊…は多分冬眠してると思うけど冬眠しそびれた奴が居るかもしれんから気ぃ付けろよ」

 血の臭いで寄ってきてもおかしくない、と言っても冬眠しそびれた熊とかって何気に見たこと無いんだよね。

「分かってる」

 この時期に一番怖いのは森林狼だな、彼奴等群れて来るからぶっちゃけ勝てんし逃げれん、徒歩で遭遇したら冗談抜きで殺されかねん。

 まぁ、この場合は獲物を諦めたら逃がしてくれたりするんだけどな。

 逃げ無いなら典型的な斬首作戦が一番有効だと思う、いわゆる群のリーダーを仕留めれば逃げる事も多い。

 後は脅威なのはグズリだろう、彼奴等小さいがやたらと好戦的だし熊よりちっさいから当てにくい。

 でも森林狼は個人的に仕留めたいなぁ、皮が高く売れるんだよ。

 マジで1匹の綺麗に手をかけて加工した毛皮なら1000キャットは固い。

 だから狼狩りは俺のやりたい事リストの割とトップにあるんだが……難しいんだよねぇ。

 

 そんな妄想を広げながら淡々と40分ぐらい歩き続けて来た道を戻ってスノーモービルの元に来た、天気は良いが夕暮れが近いな。

「さて相棒、荷物を運びに行くとしよう」

 軽くスノーモービルの頭を撫でてから跨がってエンジンをかける。

 キュルキュルキュル…ブブッ…(沈黙)

 おいおいおい、マジカヨ。

 キュルキュルキュル…(沈黙)

 寒すぎてエンジンがかからん、たく世話のかかる相棒だな。

 持ってきた斧で近くの木から枝やらを集めて、点火!

 こういう時の為に常にマッチやら乾燥させた木の皮やらは持ち歩いている。

 何かあったら火を点けられるようにしないとな。

 多分寒すぎて電圧が上がらんくて動かんのだろうと先ずはすぐに暖められるバッテリーを取り外して焚き火で暖める。

 温まったバッテリーを再び取り付けて、セルスターターが頑張ってくれる事を祈る。

「頼むから動いてくれよ」

キュルキュル…ボフッ…ボボ…ブボボボ…ブルルルルン…!

 結構苦しげだったが、かかったしヨシ!

 一応少し暖機させて、その間に火の片付けをしておく。

 雪に埋めてしまえば終わりで、すぐに跨がってソフィアの下に向かうとするか。

 ある程度吹かすがやはり森林では速度は出せない、と言うか雪がガタガタで速度を出したら転けそうだ。

 それでも徒歩よりかは遥かに早く、多分10分ぐらいで帰って来れた。

「おそーい!」

「すまんな、エンジンがかからんで暖めてたら時間がかかった」

 焚き火の比較的近くにスノーモービルを停めて、少し迷ったがエンジンを止めた。

「寒いからね、とにかく私の仕留めたのは内臓は捨てたし血抜きも終わってる、この子も後もう少し」

「分かった何か手伝えるか?」

「大丈夫、コレでお腹の中は空っぽ」

 そう言って血塗れになった手袋を軽く雪で綺麗にしているが気になるのはやっぱり血塗れになっているギリー。

 まぁ、汚れるのはしゃーないんだけど洗うのが面倒そうだ。

「それは重畳、さっさと橇に獲物を載せちまおう」

「そうだね、急がないと夜になっちゃう」

 あぁ、流石に夜に森をスノーモービルで走るのは恐ろしいよ。

「そうだな、急ごう」

 スノーモービルのエンジンをかけ直して橇をカリブーの隣に置けるようにする。

「そっち持って」

「おう」

 カリブーの前足を持ってソフィアは後ろ足だな。

「いち、にの、さん!」

「ん!!」

 二人で一瞬少しだけカリブーを持ち上げて橇の上に載せた。

「コレもう一匹乗るか?」

 何かこいつ一匹で橇が占有されてるんだが。

「えーっと……どうしよう?」

 まぁ、俺の経験上載せられん事は無いが……。

「しゃーない、頭を落とそう、邪魔過ぎる」

 ハンティングトロフィーとして白骨化させたかったが、背に腹は帰られない。

「えぇ、もったいないよ」

 もったいないつたって売れる角は取れるだろうし。

「しゃーない、首を切ってくれ脊髄は斧で叩き切る」

 伐採用に持ってきていた斧を振り下ろして脊髄を叩き切った。

「うぇ」

 いい感じに脊髄の間に入ったのか、思ったよりぬるんと切れて気持ち悪い感覚だな。

「うわぁ、処刑人」

「俺も思った、すまんが首の皮は切ってくれ」

 ソフィアに残った首の皮は切って貰って文字通りカリブーの首が転がった訳だが何か申し訳ないな。

「コレどうする、ん!?」

 転がったカリブーの角を掴んだら頭から角が取れて再び頭が地面にコロコロと転がった。

「脱角の時期だしな、それより舌をちゃんと回収しておけよ」

「はーい」

 そう言うと嬉々として下顎をもぎ取って中からカリブーのタンを回収しだした。

 何だろう、前世の俺なら猟奇的と思ったかもしれんな。

 しかし猟奇的……狩猟の猟に奇っ怪の奇、何となくその言葉の流れを感じられるな。

 多分普通の農耕民からしたらマタギの解体作業などはグロテスクな行為で、それを指す言葉だったんだろうか?

 考察が捗るが今となっては調べる事も出来ないか……。

「じゃーん!昨日の晩御飯!!」

 切り出したタンを嬉々として見せつけてくるのとか、多分そう言う感性が事前に無かったら確かにやべー奴だもんな、うん。

「旨そうだな、他にも沢山お肉を食べて丸々と肥ると良い」

「何、私食べられるの?」

 その反応は予想外、とは言えニコニコしながらの言葉だからおふざけなのは明確なのだが。

「性的に」

「うーん……確かに体力は使うし沢山食べた方が良いのかな?」

 あの、悪ふざけに対して真面目に考え込まないで? 

 そんな会話をしながら、カリブーを載せたスノーモービルを今度はソフィアが仕留めたカリブーまで動かした。

「この子も首を落とすの?」

「そうだな、頭を無くすだけで10kg以上は軽くなるしその方が良いな」

 何せただでさえ重いってのに、多分頭を落とさんでも牽引は出来るだろうが、かなり吹かさないとキツいはず。

 できる限り軽くしたいと言うのが本音だ。

「そうだよね、ごめんよカリブー君頭コロコロしちゃうけどちゃんと食べるから許してね」

 個人的には慢性消耗病とかを防げるから頭は落とす方が安全で良いと思う、ただトロフィーとしてコレクションしたり出来ないのが一番の難点だな。

「それでソフィアが首を叩き切る?それとも俺がやろうか?」

「出来るかな?」

「薪を割るのと変わらんよ」

「分かった、やってみる」

 そう言うとソフィアが斧を受けとって、狙いを定めてから振り下ろした。

「うわぁ、確かに処刑人としか言えねぇ」

 他の見方をしても、血の付いた斧から想像出来るのは……ノルドのバイキング。

「でしょ?どう見ても民衆の見る中斬首台で斧を振り下ろす処刑人にしか見えないでしょ?」

 そこまで具体的な想像は出来んかったけど確かにと同意しておきながら、ソフィアの切断した脊髄の辺りから首の皮を切ってしまう。

「はや」

「そりゃ本職何で」

 そのまま顎を外して、タンをいただきだ。

「豪勢!見てるだけでお腹が空いてくる、そのままかぶりつきたい!」

「いや、止めてね?腹壊すだけなら良いけど病気になったら普通に困る、そっち持って」

 今度は俺が前足を持ってソフィアが後ろ足を持つスタイルだ。

「冗談だよじょーだん、それじゃいくね、いち、にっさん!」

「よっと!」

 何とかカリブー二匹を橇に載せておく。

「さて、遅いし少し急いで帰ろうか」

 そう言いながらソフィア一緒にスノーモービルに跨がる。

「うん、でも気をつけてね」

「当たり前だ」

 軽快とは言い難いが走り出したスノーモービルで来た道をそのままに引き返す。

 今日は久しぶりに気持ち良く外で動けたからか、やたらと短い気がするな。

 さて、明日こそは街に行くぞ。

 金曜日はちゃんと更新しますのでどうかお許しを。

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