エピローグ
要の父母の説得には、忠司が説明に出向いたりして、そこそこの時間は掛かった。
が、結局父親は折れて、要は来年から寮に入り、予備校に通う事になった。
というのは建前で、実際は一度彰の持ちマンションに引っ越してから、必要な物だけ持って彰の家に向かう事になっていた。
合宿は好評で、きちんと手を回してあった予備校の方へと皆を勧誘し、今はそこの短期集中コースで頑張っている人が多いらしい。
倫子と洋子は遠いし学費が高いので、結局通うのは断念した。
そして、時は流れて引っ越しの際に、一度両親と洋子は一緒にマンションへとやって来たが、そこがあまりにも広いので、本当に寮なのかと驚いていた。
ここしか空いてなかったみたいとか、要は苦しい言い訳をして、なんとかお茶を濁した。
洋子は都心にもアクセスの良いそこに興味深々で、イベントの時とか泊まりに来ても良いかと聞いていた。
母親はそれを聞いて、自分も時々泊まりに来たいとか言い出して、要は辟易した。
結局父親に交通費が馬鹿にならないんだからと釘を刺されて、二人は残念そうにしていた。
しょっちゅう来られたら大変だと要は思っていたので、財布の紐が固い父親に、この時ばかりは感謝した。
そうして、要は彰の家へと、やっと入ることができた。
「いらっしゃい。」紫貴が出迎えてくれて、言った。「要さんの部屋はもう二階に準備してあるわ。お洗濯は、一階のランドリーに置いておいてくれたら、メイドさん達がしてくれるから。食事は朝は7時から、でもお好きな時に出て来て食べてくださったら良いのよ。昼は12時から、夜は彰さん次第なの。でも大体、6時から7時ぐらいだわ。お風呂はお部屋についてる所にしたから、いつでもお好きな時に入ってね。」
メイドの一人が、要の荷物を手に二階に行こうとする。
要は、慌てて言った。
「あ、大丈夫。自分で持てます。」
メイドは、微笑んだ。
「いえ、軽いので。お気になさらず。ご案内します。」
その表情が、何やら子供に向ける優しさに見える。
よく考えたら、自分はまだほんの子供なのだ。
ふと上を見ると、百乃が階段の上から手を振っていた。
「こっち!要さん、早く!」
よく見ると、その後ろには宗太が隠れてこちらを見ていて、穂波と新、葵も居る。
紫貴は、微笑んだ。
「要さんが来ると聞いて、みんな喜んでいたのよ。特に百乃は、歳が近いから話が合うかもしれないって、とっても楽しみにしていたの。あの子は今年、13歳になるから。生物の勉強をしているの。植物学者になりたいのですって。」
そうか、オレは今年16になるから。とは言ってもまだ15だけど。
要は、頷いて階段を上がった。
そして、彰の子達と合流して囲まれながら、これからここが居場所になるのだと、とても新しく清々しい気持ちになりながら、そこでの生活をスタートさせたのたった。
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人狼 雄吾 敦 真由 久美子
狂信者 博正
妖狐 靖 陽介
共有者 要 忠司
占い師 正希 妙
霊媒師 浩平 真司
狩人 彰 健
村人 勝喜 倫子 洋子 莉子 早希
次は少しスピンオフを書いて、その後また人狼ゲームを書いて行こうと思っています。ここまでお付き合い頂きまして、ありがとうございました。R6/4/5




