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6日目の朝

要は、ガバと起き上がった。

いくらなんでもそろそろ自分が襲撃されるかも、と思っていたので、彰の事は信用していたが、少し不安を感じながら眠りについたのだ。

…生きてる。

要は、息をついた。

狼からしたら何としても真司を噛みたかっただろうから、護衛が入っているのを承知で噛むなら真司だと思っていたものの、確定村人として何日生き残れば良いのかとため息が出る。

急いでトイレに駆け込んで用を済ませ、扉の前でそれが開くのを、待った。

…みんな無事だと良いけど。

要が思いながらガツンという音に反射的にノブを回して押すと、廊下へ飛び出した。

「…居るか?!」

洋子と久美子、そして遅れて陽介が出て来て、要を見た。

「…居る。この階はこれだけだよな?」

陽介が言うのに、要は頷いた。

「うん。じゃあ下へ行こう。」

要が階段に足を向けると、陽介が言った。

「要、話がある。」要が振り返ると、陽介は言った。「昨日、指定されたけど、オレは妙さんを守りたかった。健は真司さんを守りたいと言うから、護衛を入れ替えたんだ。」

え、と洋子と久美子は驚いた顔をする。

要は、陽介を睨んだ。

「そんな…勝手なことしたら吊るって言ったよな?!もし健が偽だったらどうするんだよ!健にもそれは言っておいたのに!」

陽介は、真面目な顔で言った。

「分かってる。でも、真としてはどうしても噛まれそうだと思ってる所を守りたいじゃないか。健も同じ気持ちだって。だから、入れ替えたんだよ。護衛されてたら良いんだと思ったから。」

要が歯ぎしりして言い返そうとしていると、下から健の声がした。

「要!来てくれ、真司さんが!」

なんてこった…!

要は、陽介を罵倒したかったがそれどころではなく、階段を駆け下りて行ったのだった。


階段を降りて行くと、廊下の端でみんなが集まっていた。

健が、言った。

「…真司さん襲撃だ。だから言ったのに。オレに守らせてくれって。陽介は怪しいところがあっただろうが。自分から露出したり…まあ、オレも文句言える立場じゃないけど。」

要は、健を睨んだ。

「陽介は今、君と護衛を交換したと言ってるぞ。お互いに守りたい位置だったからって。」

健は、え、と陽介を見た。

「なんだって?そんなこと話してない。そもそもオレは一度護衛指定を無視して破綻して疑われてるんだぞ?!なんで要に言わずに勝手にそんなことするんだよ!だいたい昨日は狼視点、真司さん噛みをトライしなきゃならない日だった。縄は増えないし噛めたらラッキーだからだ。そんな真司さんを守るデリケートな問題を、勝手に変えるなんてあり得ないだろう!」と、陽介を見た。「お前が人外だな?!さては真司さんが襲撃されていた時に自分の破綻をオレに押し付けようとして、そんな嘘を要に吹き込んだんだろう!」

陽介は、首を振った。

「違う!オレが妙さんを守りたいって言ったらお前がじゃあ入れ替えようって言ったんじゃないか!」

彰が、真司の部屋から出て来て、言った。

「…真司が襲撃された。で、昨夜は護衛指定はどちらに?」

要は答えた。

「陽介でした。なのに今朝、起きたら陽介が妙さんを守りたいからって、真司さんを守りたい健と護衛位置を入れ替えたとか言い出して。健はそんな事はやってないと言ってる。お互いに押し付け合ってる状況です。」

彰は、息をついた。

「…どちらにしろ真由さんの結果は闇の中だ。もうこれで村が判断できる材料はなくなった。犠牲は一人で、妙さんは呪殺を出せていない。それで、妙さんはどこを占った?」

妙は、苦々しい顔で言った。

「…健さん。」え、と皆が目を丸くすると、妙は続けた。「みんなが狩人に狐が居るって言ってたでしょう?だから呪殺を出すなら健さんしかないと思ったの。破綻してたし…私目線じゃ靖さんを呪殺してると思ってるから、靖さんが狐で、相方を囲っていたと思った。でも、健さんは白で、生きてるわ。だから私目線、健さんはあって狂信者なのよ。」

また狂信者…。

要は、息をついた。

博正目線では彰も陽介もあって狂信者だ。

妙目線では、健があって狂信者だと言う。

健は、言った。

「…当然だ、オレは真狩人なんだよ。真司さんを絶対守れる自信があったから、どうしても守りたかった。でも、要は信じてくれていなかったし、従うことにしていた。一回破綻してるのに、二度もこんな事をするか?あり得ないだろうが!だったら要の所に陽介と二人で訪ねて行って、土下座して頼んでたさ!陽介が嘘をついているんだ!」

ステファンが、ため息をついた。

「…まあ、見たところ健は真っ当な事を言っている。護衛位置を変えたとか、先に言って来ていたところが陽介の偽目を上げているように思うな。真司が噛まれるかも知れない、だが、自分は守れない、ならば一度やらかしている健に押し付けたら良いんじゃないかと。襲撃されなかったらそれでも構わない。が、襲撃されたら自分が破綻すると考えた策のようには見える。」

陽介は、反論した。

「違う!オレは本当に護衛を入れ替えたんだよ!妙さんが噛まれると本気で思ってた!」

要は、陽介を睨んだ。

「でも、そこまで妙さん真を追うのになんで昨日は妙さん投票?」要は、眉を寄せて続けた。「健は真由さん投票だった。真司を生き残らせて結果を見たい投票だ。でも君は妙さん真を切る投票。」

陽介は、言い澱んだ。

「それは…昨日言ったじゃないか、話を聞いてみたら真かも知れないって思ったって!」

彰が言う。

「突然降って湧いたように妙さんを信じて守りたくなったと?こうして怪しまれるかも知れないのに。そもそも君目線では、投票も違えていたし破綻もしている健と護衛を入れ替えるなど自殺行為ではないか?しかも要に話さずに。こうなることは、分かっていたはずだ。健の時とは違う、あの時確かに忠司が襲撃されるとは、私でも意外な位置だったから。他が噛まれるとそちらへ護衛を変えたならまだ理解しようと努力はできるが、今回は真司守りだ。唯一の生き残りの霊媒師の生死が掛かっていたのに、あまりにもお粗末。真だとしてもあり得ない。ここまで来たら、残して先に進める事は危険だ。とはいえ…どうする?要。」

要は、助けを求めるように彰を見た。

「どうするって…彰さん、もう縄に余裕がありません。確実に人外を処理して行く必要があるのに、一番欲しかった今朝の霊媒結果が落ちなかったんです。こうなったら、占い師を全て吊りきってここで確実に2人外落ちた事を確定させ、敦、雄吾で2人外、合計4人外落として明日に向かうしかない。そうしたら、残り多くて3人外でしょう。明日3縄、まだ大丈夫と分かるんです。もしかしたら吊った白の中に狐が居たかも知れない。とにかく、霊媒結果が落ちなかった今、今夜は妙さん吊りしかありません。」

彰は、頷いた。

「君がそうしたいのならそれでいい。」

ステファンは、頷いた。

「私もそのように。ただ、恐らく彰も思っているのだろうが、この噛みと妙さんの結果から、どうにも偽狩人と妙さんが連携していないように見える。」

彰は、頷く。

「その通りだ。仮に陽介が狂信者でその守り先を襲撃できると知った時、狼は恐らく狂信者に明日の朝はこのように嘘をつけ、という風に指示を出しているはず。その上で、妙さんが健に黒を打ったら、信憑性はあった。健は一度破綻していて、心象はすこぶる悪い。真司を守りたいと言っていた事は皆に知られているし、またやらかしてもおかしくはない。陽介と妙さんが両方生き残る可能性が残る。が、妙さんは健に白を打ち、狐でもないと陽介が疑われる方に結果を出している。狐ならば狼とは連携しないが、陽介は博正に占われていて妙さん狼ならば陽介が生き残っている説明がつかない。つまり、妙さんと陽介は同じ陣営ではない。」

要は、それを聞いて確かに、と思った。

妙と陽介は同じ陣営ではない。

「…だったら健と妙さんが同じ陣営、つまり狼と狂信者だったなら…陽介真で本当に交換していたことになるんですか。」

彰は、頷いた。

「そうなるだろうな。が、それならここまで狼が狩人に噛みを入れていないことの説明にはならない。私なら、さっさと陽介を噛む。が、噛んでいないことから、やはり狩人には狐が出ている事を狼が知ってるのではと考えている。だとしたら、博正がどうかと思うかな。博正目線では靖が真で健に白。そして…もうここで言おう。博正目線、陽介と私に白で、この二人には狼も狐も居ない。そして私が、残りの狩人だ。つまり博正目線では、狩人には狂信者が出ているしかあり得ない事になるのだ。私から見たら、更に博正が疑わしいと思わざるを得ないのは、そういった推理からなのだよ。」

皆が、息を飲む。

もう残り9人だから、彰さんは潜伏は無意味と判断したのか…!

要は、呆然としていた。

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