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5日目朝の会議

いつものように時間になり、皆がリビングに集まった。

最初20人居たここに、今は11人しか残っていない。

要は、言った。

「…今朝、博正が襲撃されて11人になった。吊り縄は残り5つ。占い結果、妙さんが真由さん黒。真司さんの霊媒結果は、莉子さん白だ。誰を吊るかなんだけど…みんなはどう思う?」

久美子が、言った。

「こうなったからには、私は確実に人外を落とすために妙さんが良いと思うわ。この襲撃の仕方って、妙さん偽で良いですってことよね。昨日正希さんの白先から吊ったから、正希さん狐で囲いがあるって村の流れで、つまりは妙さんが偽物じゃないかってことよね。だって妙さんは正希さんが相方だったと主張してたから。もう妙さん真は無理だから、せめて真占い師に結果を落とされたくなかった噛みに見えてるわ。」

要は、顔をしかめた。

「それはそうなんだけど。」

博正襲撃があったと聞いた時、要も確かにそう思ったのだ。

だが、そうなると妙の白先に囲われているだろう狼が、危険に晒されることにならないか。

要が思っていると、彰が言った。

「そう思うのは当然なのだが、私はしかしこうも思うのだ。妙さん真を切られたら、恐らく囲われているだろう狼すらグレーに戻って疑われる対象になる。それなのに博正を噛んで来たのはなぜか?…何やら、妙さんを陥れようとしているようにも感じられてならないのだよ。」

ステファンが、言った。

「私もそのように。博正が狼だと皆思っていたようだが、仮に狂信者であったなら。絶好の襲撃機会だった。囲われた先は白で残り、妙さんの結果はおざなりにされる。例え黒を見つけてもな。」

倫子が言う。

「でも、昨日は博正さん真の流れだったのに。もし今朝博正さんが生き残っていてどこかに黒を打ってたら、そこを吊ろうとしたでしょう。狂信者だったらせっかく真を取っていたのに、噛むなんて…せめて明日じゃないですか?」

彰が、答えた。

「明日では、真司が生き残って黒先が黒ではなかったと知らされた時に全て露呈することになるだろう。もし博正が狂信者だったなら、今朝が一番効果的だったのだ。なので、妙さんが真という線も、私はまだ追っているのだがね。だがそれは裏の推理で、真っ当に推理するとやはり真を取れなかった仲間を切って、これ以上黒位置を特定されないために、博正を襲撃したのだと見えるのだがな。」

どちらが本当なのか。

要は、黙って推移を見ている妙を見た。

もし、妙が陥れられている真占い師ならば、今夜吊ってしまうと無駄になる。

そうさせるために狼が博正を噛んでいるように見えるからだ。

が、真由が黒だと妙は言う。

博正は真由に白を出していて、二人の結果が違うことから、今朝完全にこの二人が敵対陣営だと判明した。

そして、その前日に呪殺が出ていることから、必ず一人は真占い師だ。

妙が人外で博正を噛むことが分かっていたなら、そもそも違う結果を出すのだろうか…?

同じ結果にして、両方真を追わせた方が、生き残りやすかったのではないだろうか。

要は、言った。

「…彰さんの言う事ももっともですよね。そもそも、妙さんと博正が敵対陣営だと分かったのは真由さんの結果が白黒パンダになったから。妙さん目線では、狼だったら博正を襲撃することを決めた時から、両方真を追わせる方が生き残りやすかったはずじゃないですか。なのに、わざわざ真由さんに黒を出して、今朝敵だと村に知らせているわけですよ。そう考えると…今夜妙さんを吊るのは性急かもしれません。真由さんの色を見て、どちらが真なのかを判断するのが一番良いと思います。その上で、妙さんの占い結果がもう一つ落ちるわけでしょう。真だったらラッキーです。狩人が生き残っているから、まだ占える。偽だったら明日は妙さんを吊って、博正視点でのグレーから詰めたら良いんですよ。そしたら勝てるかも知れない。」

彰は、頷いた。

「ではそれで。真司をなんとか生き残らせて、なんなら二人共真司を守らせたらどうだ?必ずどちらかが真だろう。」

そうか、その手があった。

要が顔を明るくさせると、真司が言った。

「ダメだ。もし両方真だったら、要が襲撃されるぞ。なんのための狩人2人なんだよ。」

要は、言った。

「でも、オレは生きてても何の結果も残せないけど、真司さんさえ生きててくれたら結果が落ちて村に情報が落ちるんです。噛まれて偽狩人が分かるなら良いと思う。」

真司は、それでも首を振った。

「ダメだ!お前は生き残らないと!」と、彰を見た。「彰、分かってるんだろう?要はまだ襲撃されてはいけないんだ。狼にも狂信者でなければ誰が偽物なのか分かってないはずだ。要を今、襲撃させるわけにはいかない。」

彰は、じっと真司を見つめていたが、頷いた。

「…私は要は噛まれないと思っているが、そう言うのなら君は自分を誰に守らせるのか自分で決めろ。要に負担を掛けるんじゃない。分かったな。」

真司は、ホッとしたように頷いた。

「分かった。自分で決める。」と、要を見た。「要、大丈夫だ。オレのことはオレが決める。とにかく要は生き残ることを考えろ。君は生き残ってやらねばならないことがある。君が思っている以上に、オレは期待しているんだ。」

そんなに期待されても。

要は、逆に重いと思ったが、仕方なく頷いた。 

ステファンが、言った。

「…では、今夜は真由さん吊りで。君は情報のために吊られるのであって、村人なら安心するといい。村に貴重な情報を落とせるのだから。他の人達を見ているから怖いだろうが、私と彰が見ていても、彼らは死んではいない。眠って待っていて欲しい。」

真由は、顔色を青くした。

「そんな…黒を打たれたからって。狼の気まぐれで吊られてしまうの?そんなの…そんなの理不尽です!」

真由は、泣きながらその場を飛び出して行った。

皆は、それを困ったような顔で見送ったのだった。


もう吊り先は決まったので、次は6時半だと要は宣告し、皆は重い足取りでリビングを出て行った。

残された真司は、ステファンと彰が部屋に戻らずに窓際のソファへと移動して行くのについて歩きながら、言った。

「…ジョン。あと少しなんだよ。要はかなり思い出しそうになってる。昨日もジョンのことをまるで知っているようにスラスラ語ってて、自分でも驚いていた。あいつは、間違いなく覚えてるんだ。あと一息で思い出しそうなのに、ここで寝ちまったらそれで終わりだぞ。それともクリスに強制的に薬で記憶を暴かせるのか?」

彰は、真司を見た。

「分かっている。紫貴の料理を食べて涙を流した時に、要の中に記憶があるのは分かっていたからな。クリスに薬を使わせるつもりはない。まだ要は若すぎるのだ。何か障害が残ったらどうするのだ。こんなことをしている意味がなくなるだろう。」

ステファンが、言った。

「だから本気でこのゲームをやり切らねばならないのだろう?だから私も付き合っているのだ。この中に狼が居たら、まあつまりは私かジョンだが、意図して噛まないという選択はできるがね。」

彰は、ステファンを睨んだ。

「…敢えて何も言わずにおこう。とはいえ、今夜は私は要を守れるのだ。言っているだろう、私は狩人なのだ。」

真司は、顔をしかめた。

それが本当に狩人だから言っているのか、それとも人外で皆を騙しているのか、全く分からない。

が、ここはゲーム中なのだからと真司は頷いて、そうしてその場を離れて要の部屋へと向かったのだった。


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