4日目昼
よく考えたら、自分も真司も昼ご飯を食べていない。
時間は、午後1時を過ぎていた。
パラパラと人は集まって来ていたが、そんな中で要は急いで真司と2人でキッチンへと飛び込んで、サッサとサンドイッチを口に押し込み、リビングへと出て来た。
もう、全員座って待っていたが、博正が振り返って言った。
「慌てなくても良かったのに。真司と話し込んでたんだろ?こっちはこっちで話してたからさ。」
要は、ホワイトボードの横に立ちながら、言った。
「何を話してたの?」
博正は答えた。
「どこが黒いかってさ。彰はオレの白だし怪しみたくないが、偽偽言いやがってって狂信者っぽく見えてるぞってな。」
彰が言った。
「だから確信はないぞ?ただ、狼陣営のやり方が、博正が司令塔ならしっくり来るなと思っただけだ。ステファンはあまり君を知らないからな。それともステファンも仲間かと言っていたところだ。」
ステファンが答えた。
「私は可能性を言っていただけだ。何も博正が真だと言い切っているわけではない。まだわからないと言っているのだよ。」
博正は、ウーッと唸った。
「オレが狼だったら、彰もステファンも敵ならさっさと噛んでる。ヤバいの知ってるからな。特に彰に白なんか打ったら、後で吊りもできないし面倒じゃねぇか。知ってるからこそ、オレは一切そんなヘマはやらねぇよ。」
確かに彰は生きている。
それは、要も思った。
博正があれだけ面倒だと言っているのだから、さっさと噛めば良いのだ。
それとも、初日に出た護衛成功は彰なのか…?
要が思っていると、真司が言った。
「要、大丈夫か?オレが進行やるか。どっちでも良いぞ。」
要は、ハッとして、真司を見た。
「うん、大丈夫。オレがやります。」と、皆を見た。「今夜は、グレランにします。」
彰が言った。
「それは、全員のグレーということか?」
要は、頷いた。
「はい。」と、ホワイトボードを見た。「ここにある、片白はもう忘れてください。生き残っている役職以外のグレー、彰さん、ステファン、倫子、真由さん、久美子さん、姉ちゃん、莉子さんの7人の中に、2人ないし3人の人外が潜んでいます。つまりは、狩人の露出していない一人が人外だった場合は3人になりますね。潜伏している狩人と健と陽介の三人から選ぶ場合、人外に当たる確率は三分の一ですけど、7人中2、3人だったらそっちの方が確率が良いように思って。もちろん、人外達の票が村人に集まってしまうだろうから、村人が吊れてしまう危険は高いですが、真司さんは恐らく明日も生き残る。だから、色を見て白だった場合そこへ投票している中から怪しんで行くことができると思います。それも情報になると思うんです。狐はもう1人ですからそう脅威でもありませんが、狼はまだ2人、狂信者は1人残っていると思われます。でも、狼もあと6縄の今、身内切りはできないと思うんです。そこを上手く利用して情報を得ようと思っています。」
倫子が、言った。
「じゃあ…私達も話した方が良いってことね?でも…何を話したらいいの?私は昨日、敦さんから怪しまれてるけど、それじゃあ白い理由にならないのかな。」
久美子が、拗ねたような顔をしながら言った。
「私だって、昨日敦さんにめっちゃ責められたけど、それが逆に怪しいとか言われたわ。別の白要素を探して言わなきゃならないと思うけどな。私は、彰さんとステファンさんの話を聞いたけど、それでも妙さんが偽物で、靖さんが真だったと思っているわよ。妙さんの朝一番の言動は明らかにおかしいじゃない。博正さんは攻撃しようとしていなかったのに、一方的に自分が呪殺を出したから博正さんが偽、みたいな言い方してて。初日から考えてみてよ、全然考察が伸びてなかったしこれが真占い師だったら大変だなって思っていたのに、なんか昨日ぐらいから必死になって来たみたいに思う。多分、占い師同士の相互占いが始まるから、それで焦って来たんじゃないかって思ったの。そもそも昨日から、博正さんを疑う声が出ているでしょ?噛まれなかったからって。妙さんが朝から必死に博正さんを偽だって言うのも、その流れに乗ってると思うのよね。」
久美子は靖が真だと思っているので、そういう考えになる。
そしてそれは、間違っているようには聞こえなかった。
洋子が言った。
「私も話した方が良いだろうから意見を言うね。今の話を聞いていて、久美子さんって言うほど怪しくないように思えたかな。っていうのも、仮に久美子さんが人外だったとしたら、妙さんが真だったとしてこんなに攻撃しないと思うのよ。だって占われるじゃない。狐だったら死活問題だし、狼でも黒を出されるわ。まだ縄が2つ余裕あるんだし、黒が出たらまず吊られるよね。本当にそう思ってるから言ってると思うの。健さんは破綻してて怪しいけど、だからさっきの意見は合ってると思う。狼からは、靖さんが真か偽かわからなかったから一昨日襲撃されなかったんじゃない?だって久美子さんの言う通り、妙さんの今朝の様子はおかしいわよ。博正さんはわけが分かってないみたいだった。考えてて始め黙ってて、妙さんの剣幕に面食らってる感じだったもの。だから、彰さんももっともらしい事をいってるけど、怪しいと思ったかな。まあ、博正さんの白だし、あって狂信者だろうから今日は吊り位置じゃないとは思うけど。」
莉子が、言った。
「私も話す。私は彰さんの話は的を射ていたと思うわ。確かに妙さんは今日になって決め付けてるところが怪しいかもしれないけど、真占い師だったら自分にしか見えない事があるんだと思うんだ。だから、一方的に聞こえたんじゃないかな。盤面的には襲撃されなかった靖さんは怪しいじゃない。狐かもしれないけど、真だったら困るんだから、昨日じゃなくて一昨日ワンチャン噛んでみても良かったと思うよ?狐だったら護衛成功になってしまうけどさあ…その場合、縄って増えたんだっけ。」
真司が、答えた。
「昨日の時点じゃ、忠司が噛まれて16人になってたんだから、前日17人で終わってたって事だよな。だから、そのままだったら縄は増えてたな。」
莉子は、それを聞いて顔をしかめた。
「うーん、だったらワンチャン噛むのも怖かったってこと?狼目線で狐だって分かってたんなら久美子さんが黒で囲われてたってことだよね。やっぱり久美子さんが怪しいのかな。そこのところを検証するためにも、久美子さんを吊ってみてもいいんじゃない?」
久美子が、言った。
「あなたも私なの?昨日の敦さんと一緒じゃないの。ってことは、博正さんが真で正希さんを呪殺したから、狐に囲われた狼って自分の事なんじゃないの?莉子さん。よく考えたら初日から、あんまり意見を聞けてないよね。莉子さんって初日、雄吾さんに入れてないのよね。私も分からなかったからそうだけど、私の場合は黒塗りされるのが怖いってきちんと理由があったわ。そう発言もしてる。莉子さんは分からないって言ってただけだったよね。」
莉子は、ムッとした顔をした。
「私だってその意見に流されたのよ!今考えたらあなたに誘導されて雄吾さんに入れられなかったんだわ!」
洋子が、困惑したように言った。
「そこはお互い様じゃない?だって、それは久美子さんの意見に流されたんじゃなくて、雄吾さんがそう脅したことに流されてしまっただけなのよ。村人だってあの中には絶対居た。私もそうだったし。」
倫子が、頷く。
「それに、誰かが初日の投票はあてにならないって言ってたじゃないの。そもそも、敦さんだって黒だったけど雄吾さんに入れていたわ。早希さんも白結果だったけど雄吾さんに入れてなかった。真司さんが生きてる間は、狼だって保身に走るわよ。」
要は、ずっとオロオロとそんな様子を見ている真由を見た。
「真由さんは?どっちの意見が正解だと思う?」
真由は、おそるおそる要を見た。
「私は…みんなのように積極的には話せないけど。そんなに頭が良い方じゃないから。おかしなことを言うかもしれないけど、いい?黒塗りしたりしない?」
要は、頷いた。
「思った事を言ってくれたらいいだけだよ。」
真由は、頷いて思い切ったように口を開いた。
「聞いていたらやっぱり妙さんが怪しいかな…。だって、あの、靖さんが狐だったら、どうやって敦さんが黒だって分かったの?グレーはいっぱい居たわ。もしかしたら全部囲われてしまっていたかもしれない。それなのに、次の日真司さんが生き残るのが分かっていたのに黒を打つなんて、そんな危ない橋を渡るのかな…。あの、おかしな事言ってたらごめんなさい。だって、狐だったら相方を囲ってる可能性が高いでしょう?その相方すら危険に晒す事になるのよ?私なら強すぎて無理だし、もし仲間がそんな事をするって言ったら全力で止めちゃう。今朝靖さんが生き残っていたら、敦さん黒が分かって真目が上がってたでしょう。妙さんを占う事になっていたんだし、靖さんは今朝も妙さんの色を出したはずよ。それが黒だった時、縄に余裕があれば吊って色を見ようってならない?だって真司さんは、明日も生き残るんだもの。それが怖かった狼なんじゃないかって、私は思えたかな。だから、博正さんが真で、正希さんが狐で…その白先の莉子さんと洋子さんの色が怖いよね。今の感じだと、莉子さんが結構黒濃厚かなって思っちゃった…。」
初日にあれだけ怪しいと思ったのに、なんかまともに考えてて落ち着いてるな。
要は、思った。
もちろん、どこか自信はなさ気で、いちいちみんなの顔色を伺いながら話してはいたが、きちんと考えているのは伝わって来た。
他の人達もそう思ったようで、意外だなという顔をして聞いていた。
…今夜は、莉子さんと久美子さんがやり玉にあがりそうだな。
要は、思っていたのだった。




