真実はどこに
ステファンは、続けた。
「私も一昨日の忠司襲撃がずっと腑に落ちなかった。もし私なら、必ず占い師を襲撃したからだ。その場合、博正ではなく他の真だと思われる位置。一昨日は博正が陽介を占いたいと言っていたから、護衛がもしかしたら入っている可能性があった。なので博正が襲撃されなかったのは、彰とは違って特に私は怪しんでいなかったのだが、今朝。靖と正希が居なくなり2死体出て呪殺が確定した。霊媒結果は黒。そこから彰と同じように、忠司噛みの時になぜに敦は靖を襲撃しておかなかったと疑問に思った。そうしたら怪しまれはしても、黒とは確定できず、破綻した狩人の健吊りになった可能性はあった。黒が出たから先に吊られたのだ。そこから、今朝のことを考えた。仮に靖が狐で妙さんが呪殺を出していた時、妙さんでなく正希を噛んだのはなぜか。正希ではなく妙さんを噛んでいたらどうなっていたのか。」皆は、講義を聞く生徒よろしくじっとステファンの話に耳を傾けている。ステファンは続けた。「妙さんが呪殺を出したのか、靖が呪殺を出したのか分からない状況は今朝と同じだ。若干靖の黒が当たっていたことから、靖が有利にはなるだろうが、分からない。残りの占い師達は、お互いに色を付けていただろう。それにより、黒であろうが白であろうが相手は偽物なのだと確定する。なぜなら、必ず妙さんと靖に真占い師が居るからだ。」
要は、頷いた。
「…お互いに怪しむことになりますね。となると、先に呪殺を出すか、黒を出した方が有利でしょう。」
ステファンは、頷いた。
「真司はまだ生き残る。狩人が3人居て2人露出しているが、狼は処理できていない。狼にはこれ以上身内を差し出す事はできない。仮にもう既に残りの狼を囲っていたら、それすらできない。真占い師が黒を打ち、縄に余裕がある今そこを吊って色を見たら、自ずと真占い師が透けて来る。もう片方は偽として吊られ、その白先はグレーに戻る。仮に占い師に出ているのが狂信者だとしても、そのルートではかなりきつい戦いになる。ならば正希を噛んでお茶を濁し、先に進む方が良かったのだろう。だからといって、博正が偽とは思っていない。狼には選択肢があった。靖狐で正希が狂信者だった場合、昨日から引き続き博正を疑わせようと思ってこういう噛みにした可能性はある。博正が最初に言ったように、妙さん真でも博正目線ではまだ、あり得るのだ。狂信者を噛むメリットはある。もし、その白先に狼が居た場合、襲撃することで正希真も追わせる事もできるだろう。そうして妙さん目線でおかしな事になるので、妙さんをも疑わせる事ができるわけだ。」
要は、言った。
「つまり…彰さんとステファンは、靖が一昨日噛まれなかったから狐だろうと思っているんですね。だから妙さんが呪殺を出していると見て、状況的に妙さんを真だと思っている。」
久美子が言った。
「でも、それなら狐が狼を当てて来たことになるわ!靖さんは賭けに勝っただけなの?」
倫子は、言った。
「分からないわ。でも、言われてみたらそうなのよ。みんなに色がついて来ていて、靖さんが狼に白を出してる可能性もある。そこから靖さん偽が狼に透けていて、狂信者でもないから狐だって、噛めなかったと言われたらその通りかもと思えて来る。だって、真なら敦さんに黒が出るのを知ってるのに噛まないなんてないわ。ステファンさんが言うように、昨日は健さんが破綻していたんだから、敦さんはあの黒がなければ吊られなかったはずだもの。確かにそうかもと思えて来た!」
ということは、靖のグレーから吊るのは危険ということなのか。
要は、彰を見た。
「…ということは、だから彰さんはオレの決めた吊り先にあまり同意してなかったんですね。」
彰は、答えた。
「君が決めたのならそれでも良いと思っていた。どの占い師目線でもグレーは広いし、詰めて行く必要がある。まだ縄には余裕があるし、言う通りにしても良いと思っていたのだ。だがとりあえず、居なくなった時のために私の意見は落としておかねばならないだろう。だから言ったのだ。」
ステファンも、頷く。
「その通りだ。役職には後居て2人外、占い師が両方真ではない限りな。つまり、誰かのグレーに狼がまだ2人、もしくは狂信者1人と狼が1人、または狐と狼が1人ずつ、残っている。それを炙り出すためにも、グレー詰めも良いと思う。」
それでも、靖の白先に狼が居たなら、それも崩れてしまう。
要は、途端に自信がなくなって真司を見た。
「…役職から詰めた方が良いんですか?狩人なら3分の1で人外です。占い師はまだ両方真の可能性があるから詰められない。」
真司は、厳しい顔で答えた。
「その場合、潜伏している狩人も出すことになるぞ。せっかく隠せているのに、今出すのか?それともその1人は共有者権限で置いておいて、陽介と健で村に決めさせるのか。真が吊れたら狼の思うツボだが…仮に陽介が吊られたら健が、健が吊られたら陽介が襲撃される危険性があるがな。」
ステファンが、言った。
「そもそも狩人がここまで残っているのもおかしいのだ。」皆がステファンを見る。ステファンは続けた。「狩人には噛めない理由があるのだろう。靖のようにな。本来何を騙っても正しい結果を落として来る、真司の処理を急ぎたいので、狩人は真っ先に処理したいはずだ。それを、狼は噛まない。靖が噛めないなら、陽介で良かったのに、それをしなかった。博正が呪殺を出すと見て噛まなかったのか分からないがね。しかし、その事から靖が狐だったら自ずと怪しくなる位置があるだろう。」
皆の目が、健に向く。
健は、それを受けて慌てて首を振った。
「オレは違う!狐じゃない!」
真司が言う。
「…でも、確かに狩人が噛まれないのは怪しいし、狐だと考えたら…靖が白を打ってる狩人は、健だけだろ?」
要は、頷く。
「そう。健だけ。だから本当に彰さんやステファンが言うように靖が狐だったら、囲われてる筆頭に見えるのは確かです。」
健は、立ち上がって言った。
「違う!なんでそうなるんだよ!靖は真だ、正希で呪殺が出てるんだよ!昨日はオレが破綻したから…靖には狂信者だって言われてたけど、オレは真狩人なんだ!妙さんが狼で、靖から黒を出されるのを恐れて噛んだんじゃないのか?!ついでに呪殺も装えるから!敦に黒を打たれてそれでやっと靖が真だと知ったとしたら、噛まなかったのも説明がつくじゃないか!狼が知ってたってことは、靖の白先の久美子さんが黒だって事だぞ?!あんなに靖を庇ってた久美子さんが、狼だって言うのか?!」
…確かにそれもある。
要は、迷った。
久美子が狼で靖に囲われていないと、健が狼でない限り狼には靖が偽とは分からない。
健は狼では有りえない、なぜなら狼なら噛み位置を選べるのに、破綻しているからだ。
狂信者ならあり得る。狼が切り捨てでも忠司を噛みたかった場合だ。
狐もあり得る。狼は偽物がどこを守っているなど分からないからだ。
靖が狐で久美子を囲っていた場合、狼である久美子がそこまで狐の靖を庇う必要はない。
むしろ吊って欲しいだろう。
偽が分かった時、共に吊られてしまうことにもなりかねないからだ。
「…どうしよう。」要は、彰を見た。「彰さん、どう思います?」
彰は、答えた。
「私がそれを考えずに今の意見を出したと思うか。私は昨日から久美子さんも怪しいと思っていたよ。靖を庇っての敦とのやり合いも、今日どういう盤面になるのか知っていたからこそだと思えてならない。敦に黒が出て、靖で呪殺が出る。そして正希噛みでどちらがどうだか分からなくなる。敦黒を出した靖はとりあえず真置きされ、今夜吊られない位置に入る。まあ、想像でしかないので分からないがね。君は何を信じるのだ?」
何を信じる…。
要は、苦悩した。
無駄に時間があるので、考え過ぎてわけが分からなくなってしまっている。
彰はやステファンのことを信じたら楽なのだろうが、妙の白先であるステファンが妙を真だと言う話を頭から信じてしまうのは怖い。
彰は一見誰より真狩人だが、上手く潜伏して村を影から誘導する人外だったりしたら…。
責任が重くのし掛かって、もう朝の会議はそこでお開きにし、次は昼にと要は逃げるように部屋へと帰ったのだった。




