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4日目の朝

今夜は彰に守られている。

要は、そう自分に言い聞かせて眠り、夜を越えた。

目が覚めた時に、やっぱり自分は襲撃されなかったと安堵半分、もう何も考えたくないと残念なような気持ち半分で、要は起き上がった。

もう習慣になっているのか、金時計はちょうど6時前を指していた。

もう閂が抜けると急いでトイレに駆け込んで用を済ませると、要は扉の前でその時を待った。

…色…敦の色を知りたい。

ジリジリとしながら待つこと数分、閂がガツンという音を立てて開いた。

要は、ガバッと扉を開いて脱兎のごとく廊下へ飛び出した。

「…みんな、みんな居る?!」

要は中央の階段の目の前だ。

なので、左右を見て誰が生き残っているのか必死に見た。

「…要?」洋子が言う。「久美子さんも居るし、莉子さんも居るし…陽介さんも。」

陽介が、言った。

「…正希だ。」陽介は、自分の部屋の向かい側の正希の部屋の扉に手を掛けた。「正希が居ない。」

…まさか占い師噛み…?!それとも呪殺?!

要が急いで陽介の後を追って正希の部屋へと入って行くと、正希はベッドに横になって青いというか、黄色いような顔をしていた。

言わずもがな、襲撃された時の様子だった。

「…正希がやられた。」陽介は、要を振り返った。「昨日、護衛は?」

要は、首を振った。

「入れてない。昨日、占い師には護衛は入れなかったんだ。」

正希が真なのか…?

要が呆然としていると、二階から階段に向かって叫ぶ声が聴こえた。

「おーい!来てくれ、靖だ!靖がやられた!」

博正の声。

要は、陽介と顔を見合わせた。

…2死体…?!

ということは、呪殺が出たのだ。

「すぐ行く!」

要は叫んで、正希の部屋を飛び出すと、呆然としている洋子達を掻き分けて、二階へと階段を駆け下りた。


二階では、一番端の靖の部屋の前に皆集まっていた。

彰が、ちょうど靖の部屋から出て来るところだった。

「要。靖がやられた。護衛は?」

要は、首を振った。

「占い師には入れていません。」と、彰を見つめた。「彰さん、正希も上で襲撃されてたんです。忠司さんと同じような感じでした。こちらはどうですか?何か変わったことは?」

彰は、首を振った。

「同じだ。特に変わったところは見当たらない。つまり呪殺が出たのだろうが、それがどちらで出たのか分からない状態だ。昨日、靖を占ったのは妙さんだったな。正希は博正が占っていた。」

博正は、答えた。

「そうだ。正希白。だから相方なのかと思っていたが…もしかしたら、呪殺なのか。」

妙が、言った。

「私だって白だったわ!私が靖さんを呪殺したのよ!靖さんが狐だったんだわ!正希さんは博正さんに襲撃されたんじゃないの?呪殺を装うために!」

博正は、妙を睨んだ。

「そっくりそのまま返すと言いたいが、オレはまだ君が相方かもとは思ってたぞ。何しろまだ確定しないんだ。白だったが狂信者だったかも知れねぇし、こうなった以上誰が呪殺だったのか村には判断できねぇ。だが、今ので思った。妙さんが自分の呪殺を装うために靖を噛んだな。オレが呪殺を出すかも知れねぇと焦ったんだろう。靖に占われて黒を出されたらまずいってのもあったんじゃねぇのか?ってことは、靖が真でもしかしたら敦は黒だったんじゃないのか。」

皆が、真司を見た。

真司は、頷いた。

「その通りだ。敦は黒、人狼だった。そこから分かる事もあるだろう。」

ずっと緊張気味にしていた健が、ホッとしたような顔をした。

「ってことは、オレが狼でも狐でもないって分かったってことだな。一昨日やらかしてたから、マジ焦ってたけど、これで証明されたんだ。」

要は、健を睨んだ。

「…まだ狂信者って線もあるけどね。」と、息をついた。「とりあえず、結果が出揃った所で7時半にリビングで会議。みんな、準備して降りて来て。それまで考えをまとめて来てくれよ。」

皆は頷いて、険しい顔でその場を去って行く。

妙はまだ要に何か言いたそうだったが、要はそれを無視して、三階へと上がって行ったのだった。


そのまま、要はキッチンには行かなかった。

あれこれ話を聞いてしまうと、わけが分からなくなるからだ。

なので、部屋に何日か前に持って来ていた菓子パンを齧って朝は済ませ、要は時間まで部屋で過ごした。

誰もそんな要に会いに来ることはなく、粛々と時間は過ぎて行った。


時間になって、要が重い足取りでリビングへと入って行くと、もう全員が揃って待っていた。

皆が自分を見ているのが分かったが、誰とも目を合わせずに要はホワイトボードの横に立った。

そして、言った。

「…今朝正希と靖が追放されて見つかった。占い結果は博正が正希白、妙さんが靖白。霊媒師結果は敦黒。ここまで、雄吾を吊って黒、浩平が襲撃されて、早希さんを吊って白、忠司さんが襲撃された。そして昨日、敦を吊って黒、今朝正希と靖が居なくなった。人数は13人、残りは6縄で狼2人と狐1人処理できたから、4人外残りになった。内訳は狼2人、狐1人、狂信者1人。つまり縄の余裕が増えた。意見を聞こうか。」

真司が、言った。

「結局は正希と靖、どちらが呪殺だったかということだ。2死体出たから必ず片方は呪殺だが、それがどちらなのか分からない。どちらも呪殺を主張すると思うが、オレの結果を聞く前に自分が呪殺で博正が呪殺を装うために正希を噛んだと主張した、妙さんがより黒くは見えているがな。」

倫子が、頷いた。

「私もそう思いました。博正さんの方が、一歩下がって考えてるように見えたし。」

久美子が頷く。

「そもそも靖さんが狼を見つけて正しい結果を言っていたのに、狐だって言う方がおかしいと思うわ。もし靖さんが狐だったとして、昨日の時点で狼の位置を正確に当てるなんて無理だったと思う。それとも、狐目線では透けていたの?」

彰が、それには答えた。

「狐目線では、自分の相方に白を出していたらそれが偽物だと分かるだろうが、昨日の時点でグレーのどこが黒かは分からなかっただろうな。まして、敦は雄吾に入れていたし、賭けだったと言えるだろう。もちろん、私は狐ではないから分からないがね。」

真司は、言った。

「初日の投票はあてにならないと昨日要と話していたところなんだ。何しろ、占い師は全員雄吾に入れていて、絶対に身内切りが発生している状況だった。占い師に狐が二人とかあれば別だが、そんなレアケースは追わない。必ず霊媒師が生き残る状況だから、敦が黒でもおかしくないと思っていたが、やはり敦はそうやって白を稼ごうとしていた事になるな。」

彰は、言った。

「占い師達はでは、お互いに自分が占った所以外が自分の相方だと主張するのだな?つまりは、博正は靖が、妙さんは正希が相方だったと。」

妙が、頷く。

「はい。博正さんは狼だと思います。襲撃されたのは正希さんで、こうして分からなくしてしまうためにやったんだと思う。」

博正が、言った。

「オレは、二人死体が出たと知った時、さっきも言ったように妙さんが相方でもおかしくはないと思ったんだ。だが、妙さんが有無を言わさぬ勢いでオレを攻撃し始めたので、自分がそういうつもりで襲撃したから、先に攻撃して来ているんだなと思った。だから、恐らく妙さんが狼だと思う。昨日敦はオレに追及されてオレが怪しいと言い出すまで、妙さんが偽だとか根拠もなく言っていただろう。やっぱり今日真司が生き残って必ず自分の色を見られることを知っていたから、そんな風に言っていたんじゃないかな。オレは妙さんが人狼だと思う。もちろん、こうやってオレを攻撃して来なかったら、オレだって妙さん真を一応追ったんだ。靖が狐なら、妙さんが呪殺してそれを誤魔化すために正希を噛んだのかってな。だが、妙さんのこの様子だと違うだろう。妙さんの白先に、ラストウルフが囲われていると考えたらしっくり来るかな。つまり、ステファン、倫子さんのうちどっちかってことか。」

洋子が、言った。

「ステファンさんは全然発言してないから分からないわ。でも、倫子は確かに昨日、私と二人で部屋にいる時は敦さんが実は白いんじゃないかって投票を渋るような事を言っていたわね。」

倫子は、洋子を睨んだ。

「でも、結局は私は敦さんから怪しいとか言われて、その考えを撤回してるわよ?久美子さんもめっちゃ敦さんとやり合ってたし、私から見たら白い。靖さんが真で噛まれたのなら、正希さんの白先だって怪しくなるわ。博正さんが呪殺したなら、正希さんは狐だけど、知らずに狼を囲ってた線もあるわよね。だから莉子さんと洋子も怪しい位置になって来るわ。」

真司が言った。

「だが、分からないのは正希も靖も自分が占われるのに全く構えてなかったことだ。正希は真っぽいと初日から皆に言われていた博正に占われるのにどこでも良いとか落ち着いていたし、靖に至っては妙さんが良い占い位置だとか言って余裕だった。どっちかが呪殺なのは分かっているが、狐らしくない。それとも狐目線、もう偽者が分かっていて指定されたのがその、偽者だったからとかではないよな。」

博正が顔をしかめた。

「オレが偽物だって?狐目線で?つまり、オレの白先に狐が居るってことなのか?オレの白先は、彰、真由さん、陽介だぞ。一番怪しまれるとしたら陽介だろうが、オレが狼だったらわざわざ囲いに行ってるって事になるぞ。吊れないのに。」

真司は答えた。

「逆も然りだ。妙さんが偽物に見えているとしたら、ステファン、倫子さんの中に狐が居る事になるよな。」と、じっと黙って聞いているだけの、要を見た。「今夜はどうする?どこを吊る?占い師達は少なくとも一人は真だから、残していいと思ってる。2縄余裕があるから、狩人から詰めるか?」

要は、じっと考えた。

どこを詰めたらいいのか、本当に分からなくなっていた。

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