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みんなのグレー

正希が、言った。

「…占い師全員目線で、黒があるのは敦だけだ。他は誰かの白先で、そこを吊るのはその占い師の真を切る事になるし、それはまだ早いだろう。オレ目線じゃまだ靖が相方の可能性があるから、敦を吊って色を見てもらうのが一番良いと思う。健は明日生き残っていたら考える。それでどうだろう。」

博正も、頷いた。

「その意見には賛成だ。確かにオレ目線でも、敦は黒の可能性がある。靖が相方かもしれねぇ。だから吊って色を見て、白なら靖の偽は確定するんだしそれで良いと思う。」

妙が言った。

「待って、占い師の内2人は人外なのよ?私もそれで良いと言おうとしてたけど、靖さん、正希さん、博正さんが敦さん吊りって言ってるってことは、私目線では偽物2人がこの中に居て、その人達が敦さんを吊ろうとしてることになるわ。だから簡単には飲めないわよ。博正さんと正希さんは違うの?自分が真なら残りの3人の内2人は偽物なのよ?」

久美子が言った。

「そうね、私もおかしいと思った。正希さんは良いわ、一人目の意見だから他の2人の意見は聞いてなかった時の発言だし。でも博正さんは?靖さんが相方だったら、正希さんは人外なのよ?その正希さんが推してるのに、どうして同意できるの?」

博正は、答えた。

「そんなもの、オレは占い師の内訳は真真狼狐だと思ってるからだ。靖が相方だとしても、正希が狐の可能性がある。狐は狼であろうと村人であろうと、生き残ってれば良いんだから吊り推すだろう。だから自分が思ってる事を言っただけ。オレから見たら妙さんが、耳障りの良いことを言って狼を庇ってるように見えてる。だから、余計に今夜は敦を吊って良いかと思ってるけどな。」

どちらも言っている事はおかしくはない。

久美子がさっきから靖を庇っているように見えるのが、要は気になった。

「…久美子さんはなんかさっきからやたらと靖を庇うような意見を出すよね。それはなぜ?」

久美子は、驚いた顔をしたが、答えた。

「…そうかしら。でも、多分私は靖さんの白先だから、自分の白を知ってるし信じてしまってるのかも知れないわ。少なくとも嘘は言っていないもの。」

敦が、反論した。

「嘘だらけだぞ。オレは黒じゃない。全員のグレーだからと吊られるわけには行かない!オレからしたら、久美子さんが靖に囲われた狼なんじゃないかと思う!おかしいだろ、いくら初日の白先だからって、意見らしい意見も言っていなかった久美子さんが残って、偽物に黒を打たれたオレが吊られるなんて。みんな気付いてないか?久美子さんは今日になってやたらと発言しているだろ。ずっと黙っていたのに、おかしいじゃないか。オレを吊ろうと必死だ!」

久美子は、首を振った。

「別に思った事があったから言っただけよ!あなたを吊ろうと必死になってるわけじゃないわ!みんなの意見に合わせるつもりだった!でも、あなたがそんなに私を攻撃して来るなら、やっぱりあなたが黒なんじゃないの?!」

要は、ため息を付いた。

「ストップ。とりあえず、縄はまだ一本余裕がある。仮に敦が白であっても、それが情報になるから敦を吊りたいとオレは思う。で、今夜は占い師同士で相互占いしてもらって、お互いに色を見るんだ。」

莉子が言った。

「その場合、縄は大丈夫なの?ほら、呪殺が出るかも知れないでしょう。占い師に狐が出ているとみんな思ってるんじゃないの?」

彰が、言った。

「…今夜敦を吊って明日、狼の襲撃が通って尚且つ呪殺が出た場合、一気に13人、縄は6だ。仮に呪殺が出なかった場合、14人で縄は6、変わらない。なので敦が白で呪殺が出てもまだ大丈夫だが…明日からは間違えられなくなる。呪殺さえ出たら人外が5人になるので引き続き冒険はできるがね。」

ステファンが言う。

「仮に今夜呪殺も出ず狩人が護衛に成功したら、15人で縄は7のままだ。つまり増えるのだ。そこまで悲観するような縄数ではないな。」

莉子は、ホッと息をついた。

「それなら良かった。でも、狐は2人居るんですよね。こうなったら、占い師に頑張ってもらうよりないかも。」

同感だ。

要は、思った。

真司は言った。

「まあ…今夜はオレは恐らく残る。健か陽介がオレを守ることになるんだろう。それで出てないもう一人が明後日守る。今夜もしオレが噛まれたら、さすがにその狩人は吊ってくれ。頼んだぞ、要。」

まだ午前なのに、次々と明日以降の事が話し合われている。

敦は、諦めたように息をついた。

「…分かった。もう今夜はオレ確定なんだな?でもオレは村人なんだぞ。だから最後まで意見は落とす。それで良いな?」

要は、ハッとして頷いた。

「うん。君の色で占い師の真贋も決まって来るし、それでお願い。大丈夫、必ず勝つから。」

倫子が、言った。

「…ってことは、敦さんは狩人ではないし、共有者でもないってことよね。バレちゃいけないから、要はみんなの意見を聞いて白黒見てるかもって思ってたんだけど、だとしたら、靖さんって白くない?だって、まだ共有者と狩人が潜伏してるのに黒を出したのよ。だったら私は、靖さんが真っぽく見えるかなあ。」

倫子が、思ったより考えている。

要は驚いて、倫子を見た。

「そうか、村人目線そうなんだな。」

しかし、真司が言う。

「昨日敦と早希さんがあれほど接戦を演じているのに、要は敦に入れてるじゃないか。敦が役職なら、要がそんな危ない事はしないと思うぞ。だから靖が真だとはオレはまだ思っていないかな。フラットだ。」

倫子は、あ、と口を押さえた。

「そうか、要は昨日敦さん投票か。だったら人外だとしても黒を打ちやすい場所だったわけね。ごめんなさい、抜けてました。」

要が、言った。

「じゃあ、とりあえず後は夕方に。吊り先は決まってるから。投票30分前にここに来て欲しい。投票までの時間は敦にあげて、敦目線の話を聞こう。占い師同士の相互占い先は、また真司と相方と話し合って決めて来るよ。」

久美子が言う。

「まだ共有者のもう一人は出さないの?」

要は、首を振った。

「まだ出さないよ。占い師の真贋がまだ分かっていないしね。このまま潜伏してもらった方が、騙りの占い師も黒を打ちづらいと思うから。じゃあ、解散して夕方まで自由行動で。またそれぞれ話を聞きに行くかも知れないから、その時意見を聞かせてもらえるように、自分の意見をまとめておいて。」

皆は頷いて、力を抜いた。

そして、それぞれ立ち上がって隣りの人と話しながら、あちこち出て行く。

要は、敦吊りが確定したことで、もう誰に誰を占わせようかと考えていたのだった。


真司の部屋を訪ねると、真司は言った。

「待ってた。」と、声を落とした。「座れ。声は極力落としてくれ。囁く程度がいい。」

要は、小さな声で言った。

「え、なんで?」

真司は、答えた。

「なぜなら隣りが博正だからだ。あいつは今部屋に居る。オレにそれが分かるのと同じように、あいつにもそれが分かってる。なぜならオレ達は、薬の副作用で耳が異常に良いんだ。」

それは、忠司も言っていた。

「…そんなに聴こえるんですか?」

真司は、頷く。

「その気になれば、結構クリアにな。あいつの真贋が分かっていない以上、オレ達の話を聞かせるわけにはいかない。真なら良いがな。」

要は、落ち着かない様子で博正の部屋の方向の壁を見た。

「だったら、オレの部屋に行きます?両隣りは忠司さんと陽介だし。前は階段だし。」

真司は、頷いて立ち上がった。

「じゃあ行こう。」と、歩き出した。「これからもオレからお前の部屋に行くことにしよう。オレが生きてる間だけどな。もしオレが死んだら、覚えておけ。ステファンと博正は、扉が閉じてても廊下の声では聴こえる。隣りの部屋の声もな。白が確定するまで、この2人は警戒しろ。」

要は、また厄介な副作用だなと顔をしかめながら頷いた。

博正は、きっと要と真司が部屋を出て移動して行くのも気取っているのだろう。

真だと良いんだが、と、要は心底思っていたのだった。

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