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2日目夜

要は、部屋に帰る前に、1番から順に部屋を訪ねて少しだけ話を聞く、と皆に言った。

彰が他を警戒しているのもあって、狩人だけを訪ねるのは、確かに危ないと思ったからだ。

なので、部屋に訪ねて来るならと皆が急いで自分の夕食をキッチンから持ち出して部屋へと戻って行き、要自身は後で食べられるようにとサンドイッチを冷蔵庫から引っ張り出して自分の部屋へと放り込み、駆け足で彰の部屋へと向かった。

要は、部屋の扉を少し開いて、声を掛けた。

「彰さん。良いですか?」

彰が、部屋のテーブルの前の椅子に座ってこちらを向いた。

「要。良いぞ、入って来い。」

要は、頷いて中へと入ると、扉を閉じた。

そして、彰に歩み寄った。

「すみません、急がせて。今夜はお弁当ですか?」

彰は、頷いた。

「そう。本来私はこんなものは食べないのだが、しかしこれは必要なことだと思ったのでね。」と、声を落とした。「狩人を透けさせずにおこうとこんなことをしているのだろう?」

要は、つられて声を落とした。

「はい。あの、彰さんが言う通り、昨日は霊媒師の一人がやられてしまいました。分かっていたのは浩平でしたか?」

彰は、頷いた。

「その通りだ。浩平は霊媒師について言及し過ぎた。他の人が霊媒師の事にあまり触れなかったのに、二回も触れていたからな。少し鋭い者なら、あれでもしかしてと思うものだ。隠したければ、本当に全く触れない方が良いのだよ。無意識であったのかもしれないが。」

でも、あなたが気付いていたと今、オレが知ってしまいましたけどね。

要は、思った。

仮に彰が狼か狂信者だったら、その情報は狼側に渡っているだろう。

だが、今のところ彰の事は信じていた。

何しろ昨日、彰が言った通りに霊媒師を守らせられたら、そこを襲撃できないからだ。

それなのにわざわざその事に言及した彰はとても白いと思っていた。

「今夜は、彰さんには真司さんを守って頂きます。」

彰は、頷いた。

「分かった。必ず真司を守ろう。しかし狩人が二人のレギュレーションだと聞いた時、それでは村が圧倒的ではないかと思ったものだったが、護衛成功が出た時どこで出たのか判断ができない上、狐まで居るのでややこしくなるな。これはこれで複雑で良いのかもしれない。」

良いって何が?

要は思ったが、言った。

「普通にゲームをしているのなら、楽しめたかもしれませんけど。もう三人も目の前で殺されてます。でも、浩平は死んでいないと彰さんとステファンは思ってるんですよね?」

彰は、頷いた。

「その通りだ。どう見ても死んでいるが、死後の変化が全くないことから、そうではないと言うしかない。私達も、見た事がない状態なのだ。つまりは、あのまま復活する可能性がないとは言い切れない。ということだ。」

要は、ため息をついた。

「それで、彰さんはまだステファンを怪しんでいますか?」

彰は、首を傾げた。

「分からない。というのも、ステファンが静か過ぎるのだ。博正はああ言っていたが、確かに合理主義のステファンが、陽介の様子にだけ一言言及したのは不自然だ。が、人外であったなら、あんな風に黙り込んでいるだけでは村を誘導することはできない。今日は一日黙ってステファンを観察していたが、怪しい動きは全くなかった。投票も、私と同じ考え方なのか昨日も今日も私と同じ所に入れていて、違和感がないのだ。それでも、陽介が狐だと言うのなら、確かにステファンは怪しい位置だ。彼が人狼だったなら、妙さんが偽だと言う事になるが…今のところ妙さんも、怪しい動きは見られなかった。まあ、これ以上は君に言っても混乱するだけだろう。もっと確実な情報が欲しいところだ。明日の朝が待ち遠しい心地だよ。」

要は、頷いて時計を見た。

「…9時には部屋に入らないといけないし、あまりゆっくりしていられません。ステファンの所へ行って、彼の話も聞いてみたいし。もう行きますね。」

彰は、答えた。

「しっかり聞いて来てくれ。ステファンは私にも読めない所があって、唯一不安要素なのだ。村を勝たせたいしな。」

要はまた頷いて、彰の部屋を後にした。

そして、ステファンの部屋へと向かったのだった。


「ステファン?」要は、彰と同じように扉を少し開いて声を掛けた。「良いですか?」

ステファンは答えた。

「いいぞ。入ってくれ。」

要は、そこへ入って行った。

ステファンは、サンドイッチを食べていたのかその容器がテーブルの上に転がっている。

要は、言った。

「夕食を急がせてすみません。それで、何か話しておきたい事とかありますか?」

ステファンは、答えた。

「まず座れ。」と、要が座ったのを見てから、続けた。「今のところ、絶対に言っておきたい事はないな。とはいえ、博正が何やら私を怪しみたいようなので、面白くなりそうだと思った。彼に私を占わせても良いかも知れないと思っているよ。」

要は、驚いた顔をした。

「え、博正を疑ってるんですか?でも…呪殺を出したいみたいで必死だったのに。」

ステファンは、フッと笑った。

「彰は何も言っていなかったか?」

要は、首を振った。

「いえ、博正の事については何も。」

ステファンは、言った。

「そうか。ならば気がついていないか、それとも今は言わずにおこうとしているかのどちらかか。それとも、人外であるのかだな。」

要は、え、とステファンを見た。

「あなたはやっぱり彰さんを疑っていますか?」

ステファンは、苦笑した。

「分からない。彰は読めない所があるからな。今日は彰を観察していたが、あれならいくらでも議論誘導できるのに、それをしなかった。人外ならば必要なことのはずだ。とはいえ、私を疑って来ている博正から白が出ているし、微妙なところだな。引き続き、観察する必要があると思っている。」

彰さんと同じようなことを。

要は、思った。

ここはお互いに観察し合っているのだ。

「…そうですか。」と、立ち上がった。「じゃあ、急がないと施錠前に全員回れないので。お邪魔しました。」

ステファンは、頷いた。

「しっかりな。特に役職者達の話をよく聞いておいたら良いと思うぞ。」

要は頷いて、2号室、後にした。

次は3号室の妙だったが、要はもう疲れて来ていたのだった。


妙は、一生懸命考えている様子は覗えたが、かと言って真かというと分からない様子だった。

それから、役職者達の話をしっかり聞いておかないとと順に回っているうちに、健にも護衛先を知らせた。

もちろん、誰が聞いているか分からないので、声を潜めた。

健の護衛先は、忠司だった。

健は同じように小声で分かったと応じて、すぐにそれをメモに取っていた。

要がそこを立ち去ろうとすると、健は言った。

「要、陽介が出たのは驚いたけど、あいつを守らなくていいのか?」

要は、首を振った。

「狩人は3人出てるって言ったじゃないか。陽介が真だとは限らないし、勝手に出てしまった以上ここは噛まれても仕方ないと思ってる。噛まれなかったら吊り位置になってしまうかもな。」

健は、顔をしかめた。

「オレはまだ村目線役職無し扱い?」

要は、頷く。

「うん。襲撃されたくないだろ?大丈夫、偽物の占い師が黒を打って来たら君目線でその占い師は偽物確定だし、戦いやすくなるだろ?狩人精査はまだ先になるかもだから、その時までは頑張ってくれ。」

健は、息をついた。

「…分かった。」

要は、頷いてそこを出て、時計を見た。

ここまで9人話して来たが、そろそろスピードアップしないとまずいかも知れない。

要は急いで靖の部屋へと入って行ったのだった。

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