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2日目朝の会議

ステファンは落ち着いた様子で、まるでそれが当然という風に言った。

「理由は、真由さんが昨日誰よりも怪しかったからだ。靖の白先は久美子さんと健の二人でその二人は確かに雄吾に入れていないが、霊媒師を見抜いた司令塔が囲った一人と囲うつもりの一人が共に同じ所に投票することを許すとは思えない。目立ち過ぎると思うからだ。それから正希だが確かに莉子さんに白を打っているが、今朝は忠司ではなく浩平に白を打っている。狼なら今朝真司から黒が出るのが分かっているのだから、忠司が白くなるのを知っていたはず。だったら無駄な占いとして忠司に白を打っておいたら良かったと私は思う。まあ、ここまではこじつけと言われても仕方がない私の個人の感想のようなものだ。が、残りの博正の白先が問題だ。真由さんは、もし狼だったなら一番白を打つ価値のある場所であると思ったのだ。真由さんは昨日あまり意見を落とすことができず、議論外で他の子達の情に訴えて要の心象を落としている。その上、確定狼の雄吾に投票しておらず、もし今朝この結果が無ければ吊られる筆頭位置となっただろう。同じように雄吾に投票していない、完全グレーの中に残る他を見てみるといい。博正が真司を占っていたら、真由さんはグレーに残って早希さん、洋子さんとの三択に挙げられていただだろう。そうなった時、君は皆がどこへ入れると思う?」

要は問われて、思った。

昨日を引きずっている以上、余程真由が良い意見を言わない限り、真由に投票するだろう。

「…昨日の事がありますからね。多分、真由さんだったと思う。」

博正が、息をついた。

「オレは真由さんが白だって知ってるからその意見には納得できないが、その気持ちは分かる。もしオレが真司を占ってて真由さんがグレーだったら、多分真由さんに入れてたからな。だが、オレが狼だったらそんなバレるようなヤバイ囲い方はしない。むしろ黒でも打って霊媒師に見せて自分の真目を上げるのに利用したと思うぞ。オレは狐まであると思って真由さんを占ったんだ。それでも、呪殺も出ないし黒でもなかった。だから、真由さんは白だ。お前らがそう推理するのは勝手だが、確証はねぇだろう。」

確かに、これは推測の域を出ない。

が、そういったものを積み重ねて村に問い、固めて行くのがこのゲームだ。

要は、冷めてしまったスープをまた、レンジで温めるためにスイッチを押した。

「…後で。後で考えよう。ここで話していても、何も進まない。みんなで考えないと。もしここに人外だらけだったら、誘導されてるってまた言われる。」

こんなキッチンで、話すことではなかった。

要は、黙ってレンジを見つめた。

誰を信じたら良いのか、分からなくなって来ていた。


みんな言われた通りに定刻にリビングへと集まって来た。

雄吾と浩平の席が空いてしまっているのが、ホワイトボードの横に立つと嫌でも目に入る。

要は、それを無視してホワイトボードに占い結果を書いた。

「昨日は、妙さんが倫子白、博正が真由さん白、靖が健白、正希が浩平白。これに何か意見は?」

敦が、言った。

「正希の浩平白が、なんかそこを襲撃したから白にした狼にも見える。でも、昨日は真っぽいと思ってた博正が真由さんに白というのも何だか庇ってる占い先みたいに見えて…狼なら怪しまれるからもう一つの指定先の真司さんを占ってお茶を濁しそうだから、狂信者が狼を庇ってるようにも見えてる。印象的にはそうかな。」

確かに狂信者は狼を知っているので、庇おうと白を打ったと考えてもおかしくない。

倫子が、言った。

「でも、昨日吊った雄吾さんは狼だったんでしょ?博正さんが狂信者なら、投票してるのはおかしくない?こうして怪しまれるのが分かってるのに、わざわざ怪しまれてた位置に白を打つなんて、だったら昨日雄吾さんに入れない方が良かったわよ。だって、結構接戦だったわ。」

久美子も、頷いた。

「私もそう思う。狂信者でも狼でも、怪しまれてた位置に白を打つのはリスク高いものね。まして、昨日雄吾さんで一人吊られてしまってるんだもの。慎重に行くと思うけどな。」

陽介が言った。

「でも、占い理由は?正希は朝結果と一緒に言ってたけど、他の人の理由は聞けてない。なんでそこを占ったのか。」

要は、頷いて妙を見た。

「妙さんは倫子と敦が指定だったよね。どうして倫子にしたの?」

妙は答えた。

「倫子ちゃんとは部屋も隣りだしよく話すの。だから、ここが人外だったら私が怖いなって思って占ったわ。呪殺もされなかったし、村人だからホッとした。」

やっぱり女子は怖いという感情が鍵になるようだ。

要は、博正を見た。

「博正は?」

博正は答えた。

「昨日怪しかったから、単純に人外かもしれねぇと思って占った。狐かも知れないとも思ってたからな。真司はそこまで白くも黒くもなかっただろう。」

莉子が言う。

「それはそうだけど、私は真由さんかあって思ったかな。だって、みんなが怪しんでいたんだから真由さんが狼ならいつでも吊れるし、昨日の時点では、むしろ真司さんの黙ってる感じの方が怖かったことない?結果的に霊媒師だったけど、私なら狼でも吊れるだろうなって位置の真由さんより、吊れなさそうな真司さんの方が怖いから占ったと思うけどなあ。まあ、霊媒師だったから良かったんだけどね。」

そうなのだ。

要は思った。

博正の占い結果を聞いた時の違和感はそれだった。

囲う云々よりも、真司と真由を比べた時に、いつでも吊れそうな真由より真司の方を選択するのが占い師としての行動のような気がする。

博正は、言った。

「オレは呪殺を出したいと思ったから可能性のありそうな真由さんを選択した。真司は黙ってるから、役職かも知れないと思ってたのは確かだ。そうでなかったらそれは占っただろうけど。結局早く結果を出して村に信用してもらいたいって焦ったんだと思う。結果的に村に間違った推理をさせてるのならオレが悪かった。それは謝るよ。」

そう言われてしまうと、何も言えない。

要は、息をついた。

「…次、靖は?」

靖は答えた。

「オレは要に丸投げしてる洋子さんより、あんまり意見が聞けてない健のが占っておきたいと思った。だから占っただけだ。」

まあ、普通かな。

要は、言った。

「…今日はグレーから吊りたいと思ってる。なぜなら昨日狼を吊れていて、まだ二本縄に余裕があるから。でも、狐が居て呪殺が起こるとその縄余裕も無くなるかも知れない。だから、グレーから吊れるのは多分今日が最後だ。明日も占い師達から結果が落ちて、完全グレーはかなり減る予定だ。今は敦、忠司さん、陽介、姉ちゃん、早希さんの5人が完全グレーだ。その中で昨日雄吾に入れていないのは姉ちゃんと早希さん。だから、その二人からと思ってたんだけど…身内切りが発生してる可能性もあるし、囲われてる可能性もある。だって白先の人でも雄吾に入れてない人は居るからね。」と、真司を見た。「真司さんは、どう思う?」

真司は、答えた。

「だったら昨日の投票は気にせず、その5人から今からみんなで精査したらどうだろう。まず、忠司は雄吾を自分諸共吊りに行ったぐらいだからまず真っ白に見えるし除外したい。敦は今いい意見を出してたが、人狼でも言えるだろうから除外するほどではないかな。陽介は昨日、その発言を利用して雄吾が縄数云々の発言をしていたし、人狼同士だからこそ意見を併せて来たのかもとも思えるが、ただ利用しただけにも見える。洋子さんは要に投票を合わせると言っていたが、昨日は忠司に入れているので確かに怪しいかも知れないが、要はどこに入れると言及していなかったので分からない。早希さんは昨日雄吾と陽介を白いと言ったし、忠司に誘導されているような気がすると雄吾に不利になりそうな場面で庇うような意見を最初に出した。なので、発言を思い出すと一番怪しく見えるのは早希さんかな。まあ、だからオレの怪しんでいる濃度から言ったら早希さん、陽介、敦、洋子さんかな。というのも洋子さんは、昨日から見ていても要の事ばかり見てる。今夜は要がここに入れろと言えば、それに従うんじゃないか?」

洋子は、何度も頷いた。

「昨日はほんとに分からなかったの!でも、久美子ちゃんと相談してたら黒塗りされるかもって怖くなって…だから忠司さんに入れただけ。要が言ってたら、そこに入れてた。今夜からは要が言う所に入れる。絶対。」

要は、ため息をついた。

「姉ちゃん、ちょっとは自分で考えないと。こんな事になるんだよ。でも、姉ちゃんが何でもオレに丸投げして生きて来たのは知ってるから、オレも姉ちゃんは怪しいとは思ってない。姉ちゃんなら、新しい司令塔が居たらそっちに必死になって、オレのことなんか気にしなくなるのは分かってるし、未だにオレばっかだから人外じゃないなとは何となく分かるけど、他の人には分からないから。」と、皆を見回した。「じゃあ、真司さんの意見を採用して早希さん、陽介、敦の三択にするよ。明日には全員に色が付くだろうし、今夜は最後のグレー詰めだ。一人ずつ、話を聞いて行こう。」

全員の視線が、その3人の上をウロウロとした。

3人は、俄に緊張した顔になった。

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