私のエッセイ~第百十七弾:多言語学習雑記(その11)~アイスランド語~ 化石のごとき、世界一難しい言語!!
皆さん、こんにちは! ご機嫌いかがですか・・・?
本日は、私の大好きな『現代アイスランド語』の紹介です。
この言語の「古典語」にあたる、『古アイスランド語』につきましては、文法的にはほぼいっしょですので、特に詳しい解説はいたしません。
さて・・・この言語なんですが、これまでの語学エッセイの中で、私がちょこちょこ触れてはきましたが、なかなか・・・といいますか、非常に骨のある言語でしてね。
一筋縄ではいかない「難しさ」がありますね・・・。
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アイスランドは、北大西洋に浮かぶ、絶海の孤島です。
北極圏に位置し、真夏でも肌寒いくらいで、島全体が噴出した溶岩で出来ている、火山の島です。
また、多くの滝や氷河もありますので、そういった観点から、よく『火と氷の島』などとも形容されますね。
アイスランドは、島の北端が北極園スレスレに位置しておりますが・・・南方から流れてくる、暖かいメキシコ湾流が島全体を取り囲むため、人の住む海岸近くの地域は気温の年較差が小さく、比較的「温暖」といえます。
ちなみに、首都『レイキャヴィーク』の7月の平均気温は11℃、1月の平均気温は0℃ほどです。
私は、まだアイスランド旅行したことがないのですが・・・話によると、ここを旅行するときには、厚手のウインドブレーカーが必須らしいですヨ。
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5月下旬から8月上旬にかけて、夜が真っ暗になることがない、いわゆる『白夜』の世界一色になり・・・一年でもっともおだやかな季節になります。
逆に、12月のクリスマスの時期には、日照時間が、たった3時間程度になるそうです。
そして秋から春にかけて、天気が良い日には、首都『レイキャヴィーク』でも、オーロラを見ることが出来ます。
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歴史的に見た、アイスランドの話を、ここで簡単にしたいと思います。
9世紀後半、この島に、『インゴルヴル・アルトナルソン』というノルウェー人が、一族郎党を引き連れて、移住したのが、国づくりの始まりといわれておりますね。
首都『レイキャヴィーク』の東方100kmほどのところに、『スィングヴェトリル』(= 「集いが原」の意)と呼ばれる渓谷があり、ここで昔、『民会』が開催され、全土から人が集まってきたのだそうです。
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さて・・・この孤島「アイスランド」で話されている、アイスランド語なのですが・・・言語学的な観点から見ても、大変興味深い言葉となっておりますね。
ヨーロッパの他の言語が、古代から中世にかけて、時の荒波をくぐりぬけてくる間に現代との「脈絡」というものが、ほとんど補足出来ないくらいに変化してしまったのに対し、ひとりアイスランド語だけは、10世紀頃の『古アイスランド語』を、ほとんどそのままの形で現代に伝えているからです。
そういった意味で、『化石言語』とも称されるわけですね。
12~13世紀ごろにアイスランドで記録された、北欧神話の『エッダ』や、物語風土記の『サガ』がありますが・・・このサガにつきましては、『赤毛のエリクのサガ』が、特に有名ですね。
文法的に、中世からほとんど姿を変えていないということもあり、現代のアイスランド人の皆さんは、これらの「古典」「古文書」を、難なくスラスラと読めてしまう、ということらしいです。
日本国内で例えるならば、あの超難解な『源氏物語』を、現代語訳や注釈なしでいきなりスラスラと読めてしまう・・・こんな感覚らしいですヨ(汗)。
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これは、アイスランド語の「発音」についての話なんですが・・・
アイスランド語と、その祖先である『古アイスランド語』の文法的差異はほとんないと書きました。
しかし、その「読み」「発音」というものは、実はかなり変化しておるといわれてますね。
以前の「総論エッセイ」のほうで、古代語の音を再現するのに用いられる、いわゆる『再建音』というものを紹介しました。
しかし実は、これはあくまでも「推測」であり、100%当時の正確無比な音を再現できたものではないんです。
そういった意味で、この、いわば推定音である『再建音』で発話された言語と言うものの「響き」は、幻想・まぼろしといえるかもしれません。
では、アイスランド人が、そういった古典・古文書を読む際にはどうしているのか・・・?
実は彼らは、『現代アイスランド語』の発音で読み上げるんですヨ。
このことは、日本の「古典」にも当てはまりますね。
日本の中世・中古の古典を私たちが音読するとき、どうしておるのか・・・もちろん、「現代日本語」で読んでおりますよね。発音自体が、かなり変化しちゃってるんですから・・・。
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このアイスランド語ですが・・・欧州言語の特徴でもある、「語形変化の豊かさ」というものを・・・特に、名詞や動詞において、古めかしい変化という形で保っているうえに、不規則変化も非常に多いので、学習が困難な言語ともいえますよね。
さらに、外来語・借用語というものを極力排除してきた言語であり、それらをわざわざ自国語の要素でもって表現しているということもあり・・・それもまた、学習を困難にしている、という裏事情があります。
たとえば、同じ『古ノルド語』を祖先とするノルウェー語で、「電話」すなわち、英語でいうところの「phone」は、「telefon」(= テレフォン)と言いますが・・・
アイスランド語の場合、「電話」という単語は、バイキング時代に『糸』を意味した古語の『sími』を転用していますね。
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ではここで・・・おなじみのYoutube動画にて、アイスランド語の『響き』というものを皆様に紹介してみます。
以下は、可愛い「お子ちゃま」の会話です。
『(Icelandic) fyrstu skrefin kids talking』
→ UP主様は、「learnnordic」様。
→ ほんとに可愛いですねぇ・・・。でもね、こんな難しい言語を、こんなに幼い子たちが話せるとはね・・・。
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以下は、アイスランド人の「ナタリアさん」による、外国人向けの英語説明での、簡単な『アイスランド語講座』です。
ちなみに・・・ノルウェーやデンマーク、スウェーデン、フィンランドなどの北欧では、良く英語が通じるそうです。
アイスランドでも、英語は誰もが話せるらしい・・・。
1.『Common Phrases in Icelandic Language : Number Phrases in Icelandic Language』
→ UP主様は、「ExpertVillage Leaf Group」様。
→ 数字の表現。
2.『Common Phrases in Icelandic Language : Dates & Months in Icelandic Language』
→ UP主様は、「ExpertVillage Leaf Group」様。
→ 日付と月の表現。
『Common Phrases in Icelandic Language : Common Food Phrases in Icelandic Language』→ UP主様は、「ExpertVillage Leaf Group」様。
→ 食物に関する単語集。
『Common Phrases in Icelandic Language : Communications Phrases in Icelandic Language』
→ UP主様は、「ExpertVillage Leaf Group」様。
→ 基本的な挨拶集。
『How to Say Thank You in Icelandic Language』
→ UP主様は、「ExpertVillage Leaf Group」様。
→ お礼の表現。
『Common Phrases in Icelandic Language : Making Invitations in Icelandic Language』
→ UP主様は、「ExpertVillage Leaf Group」様。
→ 紹介の表現。
『Common Phrases in Icelandic Language : Emergency Phrases in Icelandic Language Travel』
→ UP主様は、「ExpertVillage Leaf Group」様。
→ 旅行に関する表現。
『Common Phrases in Icelandic Language : Mail Phrases in Icelandic Language』
→ UP主様は、「ExpertVillage Leaf Group」様。
→ メール関連の表現ですね。
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ここで皆様に、この「アイスランド語」という言語が、いかに難解なものかを物語る、良質で非常によくまとまっているHPがありますので、それを紹介しておこうと思います。
1.『アイスランド語の特徴 ―発音・文法・語彙―』
2.『アイスランド語の動詞の分類』
3.『アイスランド語の動詞の変化・直説法過去形』
4.『アイスランド語の動詞の変化・過去分詞』
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最後に、今現在、私が取り組んでいます、アイスランド語に関する「語学書」を紹介して、この長いエッセイを終わりたいと思います。
今宵も、ここまで読んでくださいまして、ありがとうございました。
m(_ _)m
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まずは、この動画を。
『Resourcess for learning Icelandic』
→ UP主様は、「Die Welt Sprachen」様。
→ これは、洋書でのアイスランド語の学習書の紹介動画ですね。この最初に紹介されております、『Icelandic: Grammar, Text and Glossary』が、私の「アイスランド語学習」の最終目標です。非常に内容が濃く、難解で、ハイレベルな「読み物」満載ですので、いま、じっくりと取り組んでいます。
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1.『CDエクスプレス アイスランド語』:白水社
2.『ニューエクスプレス アイスランド語』:白水社
3.『まずはこれだけ アイスランド語』:国際語学社(絶版)
4.『アイスランド語文法』:大学書林:ただしこれは、ほぼほぼ、『古アイスランド語』の記述。現代アイスランド語の説明も併記されてはおりますが・・・。超難解です。
5.『アイスランド語基礎1500語』:大学書林
6.『古アイスランド語入門―序説・文法・テキスト・訳注・語彙 単行本 – 2006/2/1』:大学書林
→ 日本語解説による、貴重な資料。面白いです! でも、現代語以上に難しい・・・。
7.『Complete Icelandic Beginner to Intermediate Book and Audio Course: Learn to read, write, speak and understand a new language with Teach Yourself (English Edition)』
→ これは、洋書になります。中身は、英語による解説です。そんなに難しい英文ではありませんので、ぜひ・・・。
8.『Colloquial Icelandic: The Complete Course for Beginners (Colloquial Series (Book Only)) ペーパーバック – 2015/7/1』
→ これも、洋書。上記のものより、少し突っ込んだレベルになります。途中から、英語の「対訳」がなくなるのが、このシリーズの最大の欠点であり、不親切なところですね。(実は、上の洋書もそうなんですが・・・。)
9.『Icelandic (Routledge Essential Grammars) ペーパーバック – 2021/12/31』
→ 同じく、洋書。上の2書籍と違い、完全に「文法」に焦点を当てておりますので、「口語表現」を覚えたいという方には、やや不向きかなぁ・・・。
10.『Ævintýri Lísu í Undralandi: Alice's Adventures in Wonderland in Icelandic ペーパーバック – 2013/2/1』
→ これは、「不思議の国のアリス」のアイスランド語版になります。実は、まだ数ページしか読めていません。難解すぎるよぉ・・・。このシリーズ、けっこうマニアックな言語版まで扱っておりますね。値段も、2000円前後で、安いです。
11.『Icelandic: Grammar, Text and Glossary ペーパーバック – イラスト付き, 2001/1/1』
→ 英語で学習できる外国人向けの洋書としては、まさに「最高峰」の傑作。初版が1945年ですので、やや古めかしい表現も散見されますが・・・ここに掲載されている、数々の「現代アイスランド語」で書かれた物語を読めるようにするのが、私個人にとっての、アイスランド語学習の最終目標となりますね・・・。