2月19日 別れ
今日は、朝から菜緒のことが頭から離れなかった。昨日は、菜緒と久しぶりにデートだった。映画を見てご飯を食べて帰るという流れ。どこかで、これからのことについて、菜緒と深く話す予定だったが、なかなか切り出せなかった。結局、話を切り出したのは、ご飯を食べた後だった。
ご飯を食べた俺たちは、外を出ながら話しを続けた。菜緒は、自分のこれからについて話してくれた。清和大学の近くに引っ越して、バスケットボールも続けることを教えてくれた。俺も一人暮らしをする予定だったので、菜緒とは別れるだろうと思っていた。しかし、俺と別れる気は全くなかった。
菜緒は、俺たちが遠距離恋愛になっても付き合い続けられるように、月1回は、デートすることを決めていた。そして、将来のことも話をしていた。25歳ごろには結婚して、将来は、3人の子どもが欲しいらしい。菜緒との温度差があまりにも、あったので少しビックリした。そんな、菜緒の話を聞きながら、自宅近くの公園に来た。
公園に着くと俺は、「話があるんだ」と切り出した。その様子から菜緒は、ただならぬものを感じとった様子だった。しかし、静かに俺の言葉を待ってくれた。「上将大学か大和山大学に行ったらさ、俺も菜緒と一緒で一人暮らしするんだ。いつまでいるかはわからないし、いつ帰ってこれるかもわからない。」と俺は、伝えた。
すると、菜緒に、「ありえない。なんで?別れるってこと?なんでいかないで!いや!!」と言われた。菜緒は、パニックになると一気にいろいろなことを言ってしまう癖があった。
俺は、何も言わずに、菜緒の顔を見つめた。すると、菜緒は、何度も「いや!」と叫んだ。何度も叫ぶ菜緒を見て、俺は、「無理だよ。俺の事は待たなくていいから、早く新しい恋して」と伝えた。その後も、菜緒は、必死にいろいろ伝えてくれた。しかし、もう何を言っても俺の決心は堅かった。
思い返せば、菜緒と初めて出会ったのは、長内と遊んでいた6月頃のことだった。俺たちがいた図書館に、たまたま菜緒が通りかかった時に仲良くなったのだ。
それから、菜緒と二人で遊ぶことも増え、菜緒は、東京についていろいろ教えてくれた。オススメの場所や流行りの物など、初めての東京生活で戸惑う俺をいろいろサポートしてくれた。父は、ベンチャー企業を立ち上げて、家に帰ってくるかことは、一週間に一回ほどだった。母も仕事をしていたこともあり、なかなか家族と話す時間がなかった。
そんな時に、菜緒がサポートしてくれたのは、本当に心の支えとなった。そんな、菜緒と付き合ったのは、昨年の8月だった。受験勉強の合間をぬって、9月以降も、月1回は、デートを重ねた。
そんな昔のことを思い出していると、菜緒は、落ち着いてきた。涙を浮かべながら「わかった。ごめんね。今までありがと。」と言いながら、俺をぎゅっと抱きしめた。「大好きだよ。離したくない。でも‥‥離さなきゃ」と言って、俺から離れてた。そして、「ありがとう」と一言を呟いて、そのまま一人で家へと帰っていった。
これで、本当によかったのか、朝から自問自答を続けた。スマホを見るも、菜緒から連絡はきていなかった。デート終わりには、必ず連絡してきてくれるのが菜緒だっただけに、別れたんだと少し実感すらしてしまった。そんなことを考えていると、父が帰ってきた。