4月8日 記録
薄暗い会議室に、今市、坂本、槙田、佐山、村上たち先輩がいつもより緊張した面持ちで着席していた。『営業四課』での売り上げ会議に新人の俺と髙橋は、どうしたらいいかわからなかった。
今市「じゃあ、今から会議します」
一斉に今市の方を見つめた。
今市「今期の決算では営業課の中ではあまりいい成績を残せなかった」
今市の声は低く、落胆しているようにも思えた。今市の補佐役である坂本が声を上げた。
坂本「俺たちは、営業すら相手を間違えているんじゃないかと分析しています。競合他社の動向を気にせず動き過ぎた。そこが反省です」
昨年までいなかったので、それが本当かどうかなんて俺にはわからなかった。すると、今回の会議での資料作りをしていた槙田続けた。「資料を作っていて感じるのは、やっぱりアグレッシブさがなかったかなと思います。一昨年はそれができていたけど、今はそうじゃない。そう思います」
今市「それだけ、みんなが思えたら、次結果を出すしかない。俺は、そう思います」
これ以上、ネガティブな方向にもっていかなかいように歯止めをかけたように感じた。
坂本「そうですね。ここから、新しい四課のスタートでしょ」
今市「そうだな。髙橋、遠山!」
急に呼ばれた俺たちは、慌てて今市の方を見つめる。
今市「お前たちは、今期どんなことを頑張りたい?」
尋ねられた俺は一瞬戸惑ってしまった。しかし、コイツは違った。
髙橋「僕は、早く外回りに行きたいです」
今市「いいね。早く売り上げ立てて欲しいな」
髙橋「任してください。昨年の村上さんの記録を抜きます」
村上「おいおい!!」
一斉に笑いへと変わった。でも、髙橋だけは愛想笑いをしている様だった。コイツは、ホントに狙ってるんだ。昨年の村上さんの記録を。どれだけ凄い記録なのかわからないけど、髙橋ならやりそうだ。
今市「遠藤は、何かないか?」
髙橋の話に夢中になっていて何も考えていなかった。どうしよう?
俺 「髙橋が村上さんの記録なら、僕は、佐山さんの記録を抜きます」
すると、再び大きな声が聞こえた。
佐山「おい、遠藤。俺も巻き込むなよ」
俺 「すいません」
笑いながら返答したのだった。この後、俺は、昨年の村上さんと佐山さんの記録を見て思った。絶対俺には無理だと。あんな大口を叩いた自分が恥ずかしかった。




