4月5日 個人面談
今市「どうだ、慣れたか?」
俺 「いえ、まだまだです」
俺と今市さんに個室の面談部屋にいた。
今市「高卒だと、まだしんどいだろ?」
俺 「しんどいというより、周りの凄さに圧倒されてます」
この部屋は、外に音が漏れないのがよかった。
今市「そうなのか?」
俺 「はい」
今市「たしか、野球部だったよな?」
俺 「はい」
この人は、よく覚えているな。もしかしたら、書類見てるんだろか?
今市「俺も野球部なんだよ」
俺 「そうなんですね」
たしかに野球部と言えば野球部だな。
今市「ようやく野球の話ができて嬉しいよ」
俺 「いえいえ、そんなにできないですよ」
研修が終わって初めての面談だった。
今市「ホントか?」
俺 「はい、全然ですよ」
今市「そういう風には見えないぞ」
面談時間は、開始してから10分ほど経っていた。
俺 「まぁ、スポーツしてるようには言われるんですよね」
今市「どこ守ってたんだ?」
俺 「僕は外野ですね。今市さんはどこですか?」
今市「俺は、ショートだな」
俺は、パソコンを持って、今市の様子を見ていた。
俺 「カッコいいですね」
今市「この会社で野球部作ろうか」
俺 「野球部ですか?」
驚きだった。会社で野球なんて。もしかしたら、野球サークル的なことだろうか?
今市「ああ。また、やりたくないか?」
俺 「最後、やりきれてないからしたいですね」
俺の野球人生は本当に途中だ。こんなところでは終われなかった。
今市「たしか、長野から東京に来たんだよな?」
俺 「そうです」
今市「もう慣れたか?東京は」
目線が親だった。俺がちゃんとやれそうか心配なのだろうな。
俺 「まだ、1年経ってないからなんとも言えないですね」
今市「そうか。今度、キャッチボールしようか」
俺 「いいですね、お願いしたいです」
キャッチボールなんて、全然してないな。もっと体も動かさないとな。
今市「キャッチボールでお前の実力見ないとな」
俺 「そんなに上手くないんで期待しないでください」
俺が配属されたのは、営業四課。昨年創設された部署だった。メンバーは、全員で6人。この部署の責任者が、今市。先輩に坂本、槙田、佐山、村上。そして、同じ新人に髙橋逸平がいたのだ。




