3月23日 就職面接2
昨日の面接の合否は、明日わかることになっていた。
ー3月22日ー
面接官の中村はうなずきながら、次の質問に移った。「野球で学んだことは具体的にどういったことになりますか?」俺は、首を掴まれたようになった感覚だった。それでも、必死に考えを振り絞った。「一番は、努力することです」。真剣だったこともあってか、中村は笑みを浮かべてくれた。努力することの大事さを共感してくれた。
「私たちの企業で働くことになったら、どのような目標を設定しますか?」。さっきの質問同様、少し考えてから、決意を込めて答えた。「私は、少しずつでも自分の成長を感じられるような環境で働きたいと思っています。それは、野球でも同じでした。最初は、なかなか試合に出るチャンスがありませんでしたが、諦めずに努力しているとそうしたチャンスがめぐってくることに気がつきました。自分自身がより社会に貢献するために、専門性を高め、責任ある仕事をこなしていきたいと思っています。」
中村は、俺の答えを真剣に聞き入り、納得した様子で次の質問に進んだみたいだった。では、今までに経験した中で、最も難しい状況は何でしたか?どうやって解決しましたか?」。面接での定番のような質問の気がした。これは、野球しかない。「一番は、進路選択です。御社を応募する前、大学に進学するかどうかとても悩みました。親も含めて周りは、大学に進むと思っていましたから。でも、なんとなく大学に行くのではなく、自分の力を発揮して働きたく方が自分らしいのではないかと思いました。
中村は、何度も相槌をうち、共感の姿勢を示してくれた。俺が質問に一生懸命答えたことに好感をもってくれたのだろうか?少し考えた後、中村がクライアントとの問題に苦戦した経験を説明してくれた。たしかに、俺がこの会社に入ったら、そういう経験はするんだろうな。けど、今はその話が入ってこない。俺は自分のない中でのスキルを使って、相手の信頼を得ることが理想であることだと理解した。
この後も何度か質問に対して回答し、約20分間の面接が終了となった。中村は、俺の答えを聞き終え、細心の注意を払うようにお辞儀をしてくれた。そして、ニッコリ微笑みながら、声をかけた。「遠山さんの経歴やスキルは非常に良かったですし、人間性にも感銘を受けました。合格するかどうかはわかりませんが、これからの活躍をお祈りいたします」と告げられた。