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日常で世界を変える(遠山編)  作者: mei


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3月21日 卒業式

 俺が通っていたこの柏第一学園も今日が最後と思うとどこか切なくなっていた。雨が降りしきる中、学校の入り口には黒いスーツの男女が次々とやって来てはお辞儀をしていた。きちんと練習をしたんだなという感じが終始伝わってくる。

 3年生は、柏第一学園に通ったこの3年間をとても誇りに思っている生徒が多いみたいだ。3年間を共に過ごしてきた仲間たちと最後の別れを惜しむためかみんな胸をはって行進をしている。式が始まる前までは、着飾った女子生徒たちや、あどけなさが残る男子生徒たちもたくさんいるけど、いざ始まるとこんなにも真面目だとは思いもしなかった。

 校長先生の挨拶で場内は静まり返る。俺は、退屈そうに周りを見渡していた。卒業生たちは座り、その場に留まることしか許されない。俺は、こうした環境が苦手だ。早く動きたい、動かしてくれ。心の叫びが漏れそうになっていた。

 校長先生の話が終わると、卒業証書授与が始まった。これも始まったら中々終わらない。それは、当たり前なのだけど、わかっていても耐えれない。俺の番がくることはないけど、順番に名前が呼ばれるのを待つことすらしんどかった。

 卒業証書授与で前に取りに行ったのは、俺の友だちで恵太であった。いつの間にあんな大役を任されていたのだろうか?受け取るために、ステージに上がっていく恵太の姿を見るとどこか誇らしい自分がいたことに驚いていた。式典が進行するにつれ、周りの生徒たちも嬉しさや切なさが彼らの顔に浮かび上がっていく。特に、俺の前の組では、先生達が彼らの名前を読み上げる度に、彼らの周りでは小さな拍手や歓声が響き渡っていた。

 そして、最後の人たちが証書を手にしていた。時刻は、もう11時半。俺たちの卒業式はいよいよ終盤に差し掛かっていた。舞台上にいた校長が、その卒業生たちに向けて、熱い言葉を贈り始めた。さっきの言葉で終わりじゃないのか。ツッコミそうになった。橘や橋本たちがいたら、キレられるぞと、今いない二人を考えてしまっていた。

 今日が終わると、俺たちはそれぞれ、新しい道を歩み出す。さっき校長先生の言葉じゃないけど、いいことばかりではない。むしろ苦しいことしかないんじゃないかと思う。それでも、俺たちは新しい出会いや挑戦が待っている先で頑張るしかないんじゃないかと思っていた。卒業式のフィナーレを飾るように合唱が始まろうとした俺は、体育館の天井を見つめた。

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