3月20日 ソートミル株式会社
俺は、明日の卒業式をもって、高校生活を終える。卒業まであと1日という中で、就職先を見つけるためにもがき苦しんでいた。昨日、お父さんの会社では働かないと伝えたものの、自分の就職先が決まっているわけではなかった。こうなるんなら、お父さんの会社に入っとけばよかったかな。
俺は、スマホとタブレットを交互に見ながら、どんな仕事に就こうか頭を悩ませていた。とりあえず、求人情報を探しながら、履歴書を作成していた。いいところが見つかればすぐに電話することにした。一番気になったのは「ソートミル株式会社」というところだ。高卒の求人もありながら、そこそこの給料というところに目を惹かれていた。
他にも有名な大手企業と面接を受け、内定をもらうという選択もあったが時期が時期なだけに無駄な労力を使いたくなかった。やっぱり、特定の何社かを狙い撃ちするのが一番手っ取り早いんじゃないかと思った。俺は、その後も、多くの求人情報を検索しては、募集要項を確認する作業を1時間ほど続けた。
最終的に、「ソートミル株式会社」を含めて、3社に絞ることまでできた。今度は、履歴書にどのように書いたらいいかということで手が止まった。これまで、まともに働いたことすらないから、何が正しいのかすらわからない。ネットからそれらしい引用をすることは可能だったが、こんなの賢い面接官なら一発でバレてしまうだろうな。
高校3年生で引っ越しをしてしまったから、部活も途中で辞めてしまっているから野球部であることもなんだか書きにくい。かといって、学力も優秀であったわけではないからそれも書けない。こうなったら、ダメもとで面接勝負にするしかないかな?
どうせ、入った会社で一生を過ごすわけじゃない。だったら、当たって砕ける覚悟で望むしかないんじゃないかと思えてきた。お父さんやお母さんもこうして生活してきたんだと思うとやっぱり自分とは違うことがわかる。大学進学を決めている恵太や菜緒のようにはいかない道を選択したんだ。これは、自分の試練だと思ってやるしかない。
そして、一番行きたい会社であるソートミル株式会社の職種を見ていた。営業中心の会社かぁ。野球部だったんだ。受かれば、俺にとってはある意味チャンスの会社かもしれない。俺だって、ただ野球部で遊んでたわけじゃない。あの2年半耐えてきたんだ。やれるに決まってる。自分を鼓舞するようにお腹に力を入れた。




