3月19日 結論
お父さんとの会話が始まったのは、私が部屋の中でぼんやりしていた時だった。「ちょっと、来ないか?」。その声かけとともに、俺は背筋が凍る感じがした。別に、お父さんに怯えているわけじゃなかったけど、この前の回答を求められていることがわかった。俺は、素直に返事をして、一階のリビングに降りていき、ソファに腰掛けた。
「最近は、どうだ?元気しているのか?」。答えに困った。端的に言えば、答えは決まったのか?ということなのだろう。俺は軽く笑って、そうではないと答えた。お父さんは、どこか納得していないような表情をしていた。
もしかしたら、お父さん自身も、俺の進路以上に話したいことがあるのかもしれないと思った。けど、すぐ様それがないことがわかった。昔から、お父さんは、俺のことをよく気にかけてくれていた。東京に行く時も自分で決めたらいいと決断を委ねてくれた。嬉しい反面、誰のせいにもできないプレッシャーがあった。俺は、お茶を飲み干した後、勇気を出して告げることにした。
一枚の紙を私たち。じっくり見つめるがそこには何も書かれていないのだ。「俺さ、これからどうするか決めたよ」。少し沈黙が続いた。でも、これは、俺が伝えるしかないのだ。勇気を振り絞り続けて話した。「お父さんからもらった売り上げ目標の問題だけど、あれは、白紙で出すよ」。それでも、口をわることはしなかった。
「将来のことを考えると不安になってしまうけど、このまま、お父さんの会社に入っても仕方がないと思うんだ。だったら、俺は別のことをすることに決めたよ。いつか、お父さんの方からスカウトくるくらい大物になるよ」。無言で俺の方を見つめていた。
お父さんは、俺言葉をじっくり聞いた後、口を開いた。そして、低く深い声で笑った。「その答えを待っていたよ。お前なら、その決断をしてくれるとな」。どういうことだろうか?もしかしたら、俺にその決断をしてくれるまで待っていたのだろうか?
「もし、何らかの答えを出してきたら、どうするんだ?」。お父さんは、笑いながら「それは、会社に入れたんじゃないか。ハハハハ」。「大事なのは、自分で適切に答えを出すことだ。それが間違いだったら、その時に自分で再スタートを切ればいい」。お父さんの言葉には妙に説得力があった。俺は、よくわからないお父さんの言葉を信じることにしたのだった。これが、この先の人生にどんな影響を与えるとしても。