3月8日 片山治之
少しずつ春の陽気を感じさせる時期になってきていた。肌寒さは、ほとんどなく、息を吐く時も白くなることはない。今日は、白のパーカーにグレーの革ジャンを羽織り、黒のズボンを履いていた。
俺 「おせぇーぞ」
片山「わりぃ、わりぃ」
駅に集合した俺は、片山が到着したため、声をかけた。昨日の夜、朝から会う約束になったのだった。
俺 「何、話って?」
片山「あぁ、そうだな。とりあえず、電車乗ろうぜ」
片山は、改札を出てすぐに、電車に乗り直そうとした。よくわからない俺は、聞き直した。
俺 「えっ、どういうこと?」
片山「今から、病院行くんだよ」
吹いてない風も吹いているように感じた瞬間だった。冗談なのか?俺と片山を改札を抜け、階段を降りていく。
俺 「えっ、お前どっか体調悪りぃの?」
片山「どう見ても、元気だろ。ハハハ」
相変わらず、何が言いたいのかわからない。今日は、昼から出かける用事があったから、いつまででもこいつの遊びには付き合っていられない。ちょうどホームに着いた時、電車がやってきた。
俺 「どういうこと?」
片山「まぁ、あとで説明するからさ」
停車して、電車から大きな音が鳴った。電車の扉が開くと、俺たちは前進した。俺が会いている席を探そうとすると、片山は、俺を制した。
俺 「どこの駅で降りるの?」
片山「次だよ」
次は、高田南駅。あそこには、高田南病院というのが駅近くにあった。片山は、そこに連れて行こうとしているのか?俺たちは、電車が発車するのを待った。
俺 「で、どういうことか教えてもらっていい?」
片山「ああ。そうだな」
俺は、手すりを持ちながら、体が揺れるのを支えた。
俺 「ちなみに、今日って、何時までなの?」
片山「うーん。わかんねぇ」
なんか、俺とかなり温度感があるようだ。
俺 「どういうことだよ」
軽くツッコミを入れても、片山は、なかなか話を始めなかった。話さないのか?話せないのか?少しの時間、外を眺めていた。片山は、いつもより気分が沈んでいるようだった。俺は、無理に話し始めず、スマホに目をやった。そう言えば、昨日の菜緒の電話がなんだったのかが気になった。結局、今日まで折り返すことはしていない。電話しても、何を話したらいいかわからない。もしかしたら、間違い電話かもしれないし。こっちはこっちで解決していなかったので、モヤモヤした気持ちになっていた。




