3月5日 プリント
スマホと小さい財布をポケットに入れた俺は、寒さに耐えながら歩いていた。見慣れた駅までの道のりもどこか、いつもと違う気がする。大学進学を考えていた頃は、寂しい気持ちもあったが、今は、また違った感覚になっていた。昨日に続いて、今日も電車で移動する予定があった。
あれから、いろいろ考えた結果、大学進学は断念することにした。その代わり、お父さんの会社に就職しようとしていた。しかし、お父さんの会社に就職するには、この試験を解いてからだと伝えられた。まさか、そんな返事がお父さんからくるなんて思いも知らなかった。てっきり、二つ返事で入社させてくれるもんだと思っていた。
俺は、外食した時との違いに困惑していた。お父さんから、出題された入社試験は、プリント1枚。お父さんがプリントを渡す時、中途半端な答えを出すなよと言われた。この言葉が意味を指すのはどういうことか?おそらく、テキトウなことをするなよというお父さんからのメッセージだと思った。同時に、ここで入社できなかったら、これからの人生ヤバいなと焦りも感じた。
そこには、「売り上げ目標の達成方法を考えなさい」と書かれていた。売り上げ目標なんて言われてもな、、、。そもそも、会社がどういう状態かすらわかっていなし、社会人を経験したことのない俺にとって、この手の問題は全くわからなかった。
これまでやってきた勉強が社会では、役にたたないことがなんとなくわかった。あれだけ頑張ってきた受験勉強はなんだったんだろうか?俺は、後輩に伝えたくなってきた。勉強しても意味ないぞ。なんてことが頭の中をめぐっていた。
俺は、駅に着くと、ホームに立ちながらカバンの中にある資料をとった。お父さんの会社は、まだ、5人くらいの授業員しかいないので、入社するという大袈裟なものではない。この前、お父さんからもらった会社の資料からヒントをもらおうと思い、資料をめくるもヒントらしいものは見つからない。こんな中で、どうやったら答えがでるのだろうか?
お父さんから回答の期限は言い渡されていなかった。でも、今のままだと一生答えが出ないのはなんとなくわかる気がした。やみくもになんか答えを出すのも違う。こんな時、あいつらなら、どうするだろうか?ふと聖徳高校野球部のみんなが浮かんできた。橘なら簡単に決めてしまうだろう。反対に八幡だったら、ギリギリまで悩むだろうな。自分なら、、、、。




