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日常で世界を変える(遠山編)  作者: mei


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3月3日 断念

 俺たちは、寿司屋で夕食を食べていた。今日ばかりは、仕事のことを忘れて、喜んでくれている様だった。

 

 父 「おめでとう、陵」

 俺 「ありがとう」


 返事をしてすぐにお茶を口に入れた。


 父 「これから、一人暮らしか?」

 俺 「うん、、、、」


 父からの返答に困った。


 父 「どうした?」

 俺 「このまま進学するかどうしようかなって」

 父 「えっ、、、、」

 

 驚いた様子で俺を見てきた。お母さんは、店員にウーロン茶を頼んだ。


 俺 「受かったのは嬉しいんだけど、このまま、受かった大学にいっていいのかな?」

 父 「迷ってんのか?」


 俺の返事に、父は驚かなかった。


 俺 「うん」

 母 「なんで迷ってんの?」

 俺 「自分でもよくわからなくて」


 自分の中に溜め込んだ気持ちがうまく吐き出せない。


 母 「でも、受かったんだから。いったらいいじゃない?」

 俺 「まぁ、そうなんだけど」

 母 「第二志望の大学だから嫌なの?」


 母は、どうしても大学にいってほしいようだ。


 俺 「いや、そんなことないよ。嫌な大学は受けてないし」

 母 「行ってみたい気持ちはないの?」

 俺 「うーん。あんまり」

 母 「そっかぁ、、、」


 母は、どこかテンションが低そうだった。


 父 「大学に行かずに何かやってみたいことはあるのか?」

 俺 「いや、それもなくて」

 母 「だったら、とりあえず大学に行ったらいいじゃないの?したいこととかが見つかったら考えたら」


 母の言う通りだ。


 俺 「うーん。でも、それじゃあ、ダメな気がするんだよ。今、このまま大学に進んでもこの気持ちは変わってしまうと思うんだよ」


 素直に自分の気持ちを伝えた。


 母 「でも、やりたいことはないんでしょ?」

 俺 「‥‥‥」


 返事する言葉が見つからない。その時、父は俺の顔を見ながら話し始めた。


 父 「だったら、俺の会社に来い」


 父が何を言おうとしているのかよくわからない。慌てて、母が話に入ろうとした。


 母 「何言ってんのよ」

 父 「俺の会社だったら、すぐ入れるし、辞めることもできる。今の自分の力を試すにはいい機会じゃないかぁ?」

 

 俺は、とても嬉しい気持ちになった。簡単なことではないが、誰しも挑戦できることではない。力が少しずつ、入っていくのを感じた。

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