3月2日 長内恵太
今日は、恵太と一緒に、図書館に来ていた。恵太が借りたい本を借りた後、俺たちは、駐輪場で話し込んでいた。俺の緑の自転車と恵太の赤の自転車が横に並んでおり、そのほかにもいろいろな色の自転車が並べてあった。
恵太「いやー、よかったな」
俺 「まぁな」
恵太は、俺の合格をとても喜んでくれた。
恵太「これから、どうすんの?」
俺 「一応、親と話してから、一人暮らしの準備するかな」
受かったことは嬉しいけど、第二志望の大学ではあった。
恵太「まだ、話してないの?」
俺 「話はしてんけど、お父さん家帰ってきてないから」
最近、お父さんは、泊まりがけで仕事をしていることが多い。起業というものは、軌道にのるまではそうとうしんどいらしい。
恵太「忙しいんや」
俺 「そうそう。なかなかね」
恵太「いつ帰ってくるの?」
俺 「明日の夜かな」
明日、お父さんが帰ってきたら、合格祝いをかねて、外食をすることになった。その時に、これからのことを話す予定だ。
恵太「お父さん、嬉しいんじゃないの?」
俺 「どうだろう。それどころじゃないと思うけどね」
恵太「俺のお父さんとか、俺に全然興味ないけどね」
最近は、父の会社の従業員が一人辞めて、とても落ち込んだお父さんを見ることがあった。
俺 「そうなの?」
恵太「全く興味ない。とりあえず大学行けっていう感じ」
父は、俺にどういう子に育ってほしいということはなく、"やりたいことをやれ"とよく言われていた。だからこそ、自分の責任を自分でとれるようになっていないといけなかった。
俺 「それでも行けるのがすごい」
恵太「そうか?」
俺 「うん。行きたいところとかあっても行けないし」
恵太「それは、そうだな。でも、俺は公務員になりたいから、別の大学でもなれるけどね」
恵太は、安定の公務員。もっと勉強すれば、もっといい大学にも入れただけにもったいない気持ちもあった。
俺 「そうかな?探せば、他のところでもいいんじゃない?」
恵太「まぁ、この大学じゃないとなんていうことはないんだろうな」
俺 「難しいよな。行く大学によって人生変わるんだから」
恵太「たしかになぁ。俺たちも4年後どうなってるか」
俺たちは、近い未来のことを考えていた。自分がどうなっているかなんて全く想像がつかない。