2月27日 "世代最強一二番"
俺は、深夜バスで揺られていた。もうすぐ、第二志望の合格発表がわかる。不安でいっぱいだった。
ー2月24日ー
俺たちは、もうすぐ中学校へ着こうとしていた。
俺 「大学行っても野球すんの?」
八幡「あぁ。引退すんのは、大学4年になるかな」
俺 「野球好きやなぁ」
八幡「ずっと、やってきたしな。やめられないな」
俺 「他に野球続ける人いるの?」
八幡「たぶん、橘と橋本は続けるんじゃない?」
どちらも、それなり課題がある人物ではあった。
俺 「橋本は、上手いから大学入ってもやっていけそうやな」
八幡「うん。ただ、練習せんからな。そこがな」
俺 「たしかに」
目の前に、中学校の建物が見えてきた。
渡邉「そんなに、橋本くんって野球上手いの?」
俺 「センスの塊やな」
渡邉「それは、すごいね」
俺 「ただ、頭悪いから、ちゃんと就職できるか心配」
橋本は、毎回行われる定期テストで、30点くらいしかとることができず補習を受けていたのを覚えている。
八幡「それは、ある」
俺 「まぁ、なんとかやりそうな気もするけど」
八幡「アイツは、なんとかしそうやな。それより、陵は、これからどうするの?」
俺 「第二志望も落ちたら浪人しようかなって」
渡邉「いいじゃん。もう一回受けれるし、ワンランク高い大学も目指せるじゃん」
浪人する選択肢は、過酷だ。だからこそ、迷う。
俺 「うん。まだ、決めたわけじゃないけど、そっちにしようかなって思ってる」
渡邉「浪人する人も、何人かおるしね」
俺 「だな。健太郎は?」
八幡「アイツもこれからやと思う。受かればええけどな」
俺たちは、中学校に着いた。
渡邉「久しぶりだなぁ」
八幡「ホンマ。あの頃は、よく、グレずに学校行ってたわ」
俺たちは、裏門から入り、部室の方に向かった。
渡邉「ずっと、二人で遊んでたよね」
俺 「たぶん、あそこ、まだ落書き残ってると思うで」
八幡「あぁ、あれか。"世代最強一二番"」
俺 「あれ、残ってたらスゴイな」
当時、俺たちは八代西中学校の野球部だった。部室横にある木材で作られたベンチに彫刻刀で俺たちのスタメンの名前が彫っていた。
1番 遠山 センター
2番 八幡 ショート
3番 佐々木 レフト
4番 真矢 ピッチャー
5番 柴谷 ファースト
6番 田畑 キャッチャー
7番 野田 ライト
8番 山根 サード
9番 佐藤 セカンド