2月24日 八代市
昨日は、第二志望の合格発表だった。俺は、八幡と電話を切った後、急遽、八代市に向かうことに決めた。あの時は、本当に何も考えていなかった。向こうに行って、何かあるわけではなかったが、、、、。
ここから、八代市まで行くには、約4時間ほどかかる。俺は、新幹線に揺られながら向かった。乗っている時は、ずっと野球部のみんなのことを考えていた。聖徳高校野球部は、今の3年生で15人。今年の夏も惜しいところまでいったが、甲子園は、まだまだ。
投手では、橘と竹田がいた。エースの橘は、ストレートが微妙に曲がることもあり打たせてとるピッチングだった。打線には、1番の侑大、3番の橋本、4番の川中を中心に市内では一番の強力打線だった。
そんな野球部の中で、俺は、八幡、佐伯、侑大、健太郎と連むことが多かった。八幡とは、小学校から同じ野球クラブで一緒に野球をしていた。1番八幡、2番俺。それは、中学3年生まで続いた。高校に入ると、俺のポジションは、侑大に取られてしまって、ベンチにいることが多かった。
そんな侑大とも仲がいい。2年の頃から、同じ理系のクラス。クラスでは、ずっと、ふざけながらお笑いのネタなどをしていた。2年の体育祭では、俺が応援団長で宝来や仲原、そして侑大たちと応援合戦を考え、3年生を抑えて最優秀賞をとったのはいい思い出だった。
その侑大の親友が健太郎。健太郎は、俺がベンチにいる時にいつも喋るヤツだ。努力家で真面目。春の大会までは、ほとんどスタメンで出ていたが、健太郎が守るセカンドは、熾烈なポジション争いが行われていた。同学年の飯田、2年の長井、1年の田中の3人もおり、引っ越す前までは、とても苦労していた。最後の夏の大会は、結果しか見ていないので、健太郎がどんな状況なのかわからなかったのは寂しかった。
健太郎や侑大と仲が悪いのが佐伯だ。なかなか空気が読めないので集団行動を乱しがち。そのため、サッカー部や女子から少し嫌われているという噂も聞いたことがある。ただ、野球はうまいし、面白いやつではあった。佐伯とは、高校1年生の時に同じクラスになり、休みの日に一緒に釣りをしに行っていた。今は、集団行動を乱していないか?少し気になっていた。
そんなことを考えていると、スマホに連絡が入った。母からだ。スマホをスクロールして、確認した。第二志望の合格発表通知が郵便で届いたという内容だった。"合格発表"。俺にとって、少しトラウマの言葉だった。