2月12日 東京
東京の空は青かった。2月の中旬ということもあり、少しずつ温かくなってきていた。今日は、カフェで英語のリスニング対策を行なっていた。今は、成山大学に受かっており、ここから、第一志望の上将大学、第二志望の大和山大学への試験を受ける予定だ。
私は、引っ越してきてから6ヶ月が経とうとしていた。GWまでは、長野県にある聖徳高校に通っていたが、父の仕事の都合で、東京に来たのだ。
聖徳高校では、野球部に入っており、八幡、橘、橋本、定本たちと仲がよかった。春までは、レギュラーで試合を出ていた。引っ越しが決まった時も、周りの人は知らなかった。知っていたのは、監督と定本だけだった。定本には、練習試合の時に、伝えて、とてもビックリしていたのを覚えていた。
現在は、柏第一学園の3年生。もうすぐに迫った試験に備えて、勉強をしていた。東京は、長野とは異なり、全てにおいてスケールが大きい。特に、私が通っている柏第一学園は、1学年10クラスあった。
部活動も盛んで、バスケットボールとハンドボールは、全国大会出場。水泳や卓球などの個人競技でも、全国1位の選手が複数人いた。学業成績も優秀な人が多く、ここ5年間は、毎年、日本で一番賢い大学と言われる東京の大学に10人以上を輩出しているのだ。
そんなスゴイ人が多くいる中で、私は、ひっそりと生活をしていた。転校してきたということもあり、友だちは、2、3人しかいなかった。しかし、その内の一人とは、親友になり、もう一人とは彼女になれた。そういう意味では、とても恵まれていたのかもしれない。
その親友は、長内恵太。同じ柏第一学園に通う3年生で、クラスが同じということもあり、よく話すようになった。よく話すようになってからは、いろいろなところへ一緒に遊びに行くようになった。
一方、俺の彼女は、歳内菜緒。俺とは、異なるクラスだったが、家が近いということもあり、仲良くなった。そこから、俺から告白して付き合い始めた。菜緒は、八代南小学校で一緒だった野口と知り合いらしい。
俺自身、野口のことはあまり知らなかったが、菜緒は、仲良かったらしい。もともと野口は、東京出身ということを聞いていた。菜緒は、野口と東京の同じ小学校に通っていたらしく、中学校から長野にきたそうだ。そんな寺崎と仲がよかったのが聖徳高校の八幡だ。
八幡は、私が引っ越しするまでずっと仲の良かった奴だ。私は、こうした人たちの運にも恵まれていた。引っ越しはしたものの、祖母の家は、長野県にあるので、彼らと会うことも不可能ではなかった。
もともとは、聖徳高校野球部の夏の大会を見に行くため、7月末に長野県に行く予定だったが、期末テストとかぶったため行くことができなかったのだ。その試合に勝っていれば見に行くこともできていたが負けてしまったため、彼らの試合を見ることはできなかったのだ。
カフェに来て約2時間が経過していた。少し、集中力が切れてしまったため、店を出たのだった。