昼休みを侵食
焼きそばパンを知っていますか? 美味しいのでしょうか? 主人公の樹君は好きなようです。
「いや~、楽しそうだね? 樹」
昼休み、何時ものように将棋部の部室で、芳とご飯を食べながら談笑していた。
昨日の腹切りショーの事を話すと、ひとしきり笑って、そう言ってくる。
「談じて、楽しくない!」
俺は弁当を持ち上げて、掻きこむ。
「うん、うん。で、今日も部活あるの?」
「え? あ~、あるかな?」
弁当箱を机において、曖昧に答える。
何も聞かされていないが、嫌な予感しかしない。
「曖昧だね。まあ、息抜きも大事だから、いいんじゃないの?」
「いや、でも……そう言うことにしておくか……」
俺がそう言うと、なぜか嬉しそうな顔で、紙パックの紅茶を芳は飲みながら聞いていた。
会話が途切れて、弁当を食べ終えるタイミングで、部屋の横開きのドアが開く。
「あ、あの。樹くん来てますか?」
ひょっこりと顔をのぞかせたのは、和花だった。
部屋を見回しながら、そう声をだす。
「どうした? 珍しいな、こんなところまで」
立ち上がって、声をかける。
「あ、良かった。その、カレンちゃんが、探してたの。それで、ここにいるかなって」
なるほど……何回かはここで一緒に昼食べてたからな。まあ、カレンを連れてこなかったのは、正直助かった。
この場所は、知られたくない。
「芳、食べ終わったし行ってくる」
「うん、行ってらっしゃい」
芳の言葉を背に、ドアの方に向かう。
はたして、残りの昼休みはどうなることやら……
・・・・・・・・・・・・
「きたぞ、カレン」
部室のドアを開き、そう声をかけた。
「あ、サムライマスター。待ってたデスよ」
「どうしたんだ?」
椅子に座ったカレンの前に行き、単刀直入に聞くことにする。
「カリーパン買ってこいや~デス」
「はぁ?」
あまりに予想外の言葉に、間抜けな声をだしてしまった。
「え? そのために、樹くんを探してたの?」
俺の後ろに立つ、和花が驚いた声でそう聞く。
「yes。日本伝統の、パシリをして見せてくださいデス」
こいつは何を言ってるんだ?
「やるかボケ! だいたい、パシリと言えば、焼きそばパンだろ!」
怒った声で、そうツッコミをいれる。
「ふぇ? 焼きそばパンって何デスか? 私も食べてみたいデス!」
俺の怒りを完全に無視して、目を輝かせ、前屈みで聞いてきた。
「な、知らないのか?」
「わ、私も食べたことない」
和花もそう話に加わってくる。
「マジか。それは、もったいないな。買ってくるから、二人で食べてくれ」
俺はそう言って、部室を飛び出した。
焼きそばパンを、食べたことないのは人生の損だ。
二人の喜ぶ顔を思い浮かべて、購買へと急ぐのだった。
パシリって、日本文化なんですかね?(笑)樹君はいつの間にか素直に言う事を聞くようになってますね(笑)
侵食されてます
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