和花も侵食?
先ほどの続きです。ぜひ一つ前から読んでもらえると嬉しです
「戻ったぞ、カレン」
部室のドアを開きながら、声をかけてなかに入る。
「サムライマスター、お待ちしてましたデス」
ドアを開けるとカレンが駆け寄ってきて、俺の手をつかんでなかに引っ張っていく。
「おい、ちょっと……」
強引に奥の椅子まで運ばれる。
当然のように、俺の右隣にカレンが座る。
「あの、えっと、入っていいのかな?」
和花が、部屋の入り口からそう聞いてきた。
「イエス、もちろんデス! ささ、座ってください」
俺達の向かいの席を手で指し示して、催促する。
「ようこそデス! 今、お茶をいれマース」
「あ、ありがとう」
カレンは座るのを見届けて、部屋のすみに移動した。
ここからは見えないように、衝立がされている。
「あ、絶対に立たないで下さいデス」
カレンが衝立の向こうから、そう言ってきた。
「どうしてだ?」
手伝おうかと立ち上がり掛けたタイミングだったので、中腰のまま聞く。
「内緒デ~ス」
疑問に思いながらも、おとなしく座っておくことにする。
「カレンちゃんって、元気だよね?」
「そうだな、少し落ち着いて欲しいが……」
和花の質問にそう答えて、ため息を漏らす。
「ふふ、疲れてるの?」
「いや、あいつがいると、落ち着かなくてな」
「どうして?」
「俺の予想を超えてくるんだ。今も何が起こるか、ヒヤヒヤだ」
「ふふ、でも、楽しそうだよ?」
そんな馬鹿な!?
「いやいや、そんなはず……」
「お待ーたせ、しましたよデス」
後から聞こえた声に、首だけ振り返る。
「な……」
「カレンちゃん、可愛い……」
振り返った視線の先には、メイド服すがたのカレンがいた。
「どうデス? 可愛いデスか?」
クルリとその場で、回って見せてくる。
舞い上がるスカートと、カレンの笑顔に少し見とれてしまう。
「……まあまあだな」
視線をそらして、そう言っておく。
「ぶー、デス! 素直じゃないサムライマスターは、可愛くないです!」
ほほを膨らませキッとした目で、俺をにらんでくる。
別に俺は、可愛くなくても良いんだけどな。
「わ、私は可愛いと思うよ」
和花がそうカレンに声をかける。
「ありがとうございます! さ、次は和花の番ですよ~」
「え? どういうこと?」
「一名様、ご案内デース」
和花の肩を掴んで、立つように促し、今度は二人で衝立の向こうに消えていった。
・・・・・・・・・・・・
「ふぁ~」
二人が消えて五分程経過し、暇すぎてアクビがでてしまう。
「ちょ、カレンちゃん」
「ふふ、良いではないか~デス」
先程から妙な声が聞こえてくる。
「和花、強く生きろよ……」
俺は窓のそとを見つめて、そう呟く。
そろそろ、英単語帳でも読もうかな?
そんなことを考えながら、運動部の掛け声を聞いていると……
「お待たせしましたデース」
後からカレンが声をかけてきた。
「何やってたんだ?」
そう言いながら振り返る。
カレンは居るのだが、和花の姿が見えない。
「あれ? 和花は?」
後に隠れているのかと、首を動かして探すも、見当たらない。
「まったく、そんなに見たいんデスか?」
カレンは機嫌が悪そうに、あきれた声でそう言ってくる。
「そりゃ、和花のメイド姿なんて、今日しか拝めないだろうし」
「私と反応、違いすぎデス……」
ぼそりと何かを言ったが、聞き取れなかった。
「カレンちゃん~、本当に見せないとダメ?」
衝立の向こうか、顔だけだして、和花は涙目で訴えかける。
「もちろんデス! サムライマスターが首を長くして、待ってるデスよ」
「いや、そんなに嫌なら、無理するなよ?」
「う、樹君のためなら、私だって~」
恐る恐るといった様子で、和花がこちらに歩いてくる。
太ももギリギリのスカートと丈に、強調するように盛り上がった胸。
ヤバい、メッサ可愛い。
おどおどした姿も、保護欲を掻き立てる。
「可愛いぞ、和花」
あと少しで俺の前に来るタイミングで、そう声をかけた。
「本当? うぅ、恥ずかしけど……ひゃにゃ?」
もじもじとしていたせいか、足をもつれさせて、和花は転けてしまう。
スカートが捲れて、熊さんがプリントされたパンツが顔を出す。
「わぉ、和花、大丈夫ですか?」
「あたたぁ、ふぇ? あ、うん、大丈夫」
カレンの視線に気がついて、あわてて和花は床に座り直す。
怪我がなくて良かった。
もちろん、俺は窓の外を見ている。
「それは、良かったデス!」
「怪我がなくて、良かったな」
それとなく会話に混ざる。
「うん、それで似合ってるかな?」
立ち上がって俺の前まで来て、和花は聞いてきた。
もじもじとスカートをしたに引っ張る動作や、恥ずかしそうに上目使いで聞いてくる仕草は、破壊力抜群だ。
「あ、ああ。可愛いよ」
つい、本音が漏れてしまう。
「ひゃぅぅ。あ、ありがとう」
顔を真っ赤に染めて、湯気がでそうだ。
どうしたんだろう? 感想を聞かれたから、答えただけなんだか?
「ぶー、ぶー、私と反応が違いすぎデス それに、和花のパンツを見ました! これは、浮気デス!」
初めて、口でぶー、ぶー言ってるやつを見たな。
てか、浮気ってなんだよ?
「え? 見たの?」
「えっと、その、和花さん。少しだけ……見えたかな?」
傷つけないように、丁寧に伝える。
「あ~、誤魔化したデス」
「私は、樹君にならいいよ……」
和花はコスプレの影響か、変なことを言い出す。
「これは、まずいデス。パンツを見た、バツゲームもかねて、サムライマスターもコスプレさせてもらうデスよ!」
カレンが強引に俺の腕を掴んで立たせる。
コスプレなんか、俺はしたくないんだが 。
そのまま、衝立の向こうに強引に連れ去られていく。
和花はその様子を見えているのか見えていないのか、何かをぶつぶつと言って、立ったままフリーズしてしまっている。
その後、人生初の腹切りショーを、させられたのだった。
メイド服よきですよね
そして、プロローグへと戻る終わり方です(笑) え?ってなった方、良ければプロローグをもう一度読んでみてくださいませ
次回も読んでもらえたら嬉しいです