放課後のじわじわ侵食
部活スタートです!
今日は何事もなく放課後になり、後は帰るだけとなった。
「部活デスよ! サムライマスター」
荷物をまとめて立ち上がったところで、カレンに呼び止められる。
「……帰る」
カレンの方を一瞬だけみて、そう呟いて歩きだす。
「逃がさないデ~ス」
俺の腕に飛び付いてきた。
そのせいで、教室に残ったクラスメートの視線が突き刺さる。
「こら、放せ。分かったから」
手をブンブンと降って、離れるように言う。
「良いじゃないデスか~。部室まで、レッツゴーデス!」
腕を絡めて、強引に俺は部室まで連行された。
・・・・・・・・・・・・
「よく、部屋を貸してくれたな」
「菖蒲先生のおかげデス。廃部した茶道部の部屋だそうデス」
なるほど、だから部屋の半分のスペースに、畳が3畳分引いてあるんだな。
「まあ、それはいいとして、これからか何をするんだ?」
「もう一人の部員を招待して、お茶会デス」
「おい、部活はどうしたんだ?」
そう言うと「分かってないデスね~」と、ため息をつかれた。
うん、殴っても良いよね?
「サムライマスター。どうして、拳を震わせているのデスか? これも、部活の一環デースよ?」
「どう言うことだ?」
「私たちの部活は、日本を知るためにありますデス。その文化にお茶会は、はずせません」
いやまて、お茶会はイギリスじゃないの?
「おい、カレン。お茶会は、日本の文化じゃないぞ?」
「え? そんなはずないデスよ? 私見ましたデス。放課後ティータイムと言う、日本独特の文化をデス」
いや、それはバンドの名前……
「それは、片寄った知識だな」
ツッコムとややこしそうなので、流すことにする。
「とにかくするのデス! もう一人連れてきて、バンドの誕生デース」
「アウトだよ! 人数足りない上に、あずにゃんはどうすんだよ! 生半可なコスは、許さんぞ!」
つい、熱くなってしまった。
「流石にその発言は、少し引いてしまいますデス。まあ、冗談はさておき、早く連れてくるデスよ」
カレンが若干距離をとりながら、そう指示をしてくる。
「カレンは来ないのか?」
「私は、準備がありますので」
「? そうか、分かった。行ってくるよ」
少し気まずいので、おとなしく従っておく。
部室を出て、和花のクラスに向かう。
・・・・・・・・・・・・
「あれ、旦那。和花なら、もう帰ってるよ?」
教室行くとちょうど出てきた、関沢さんにそう声をかけられる。
「マジか……ありがとう。教えてくれて」
「良いて、良いって。それよりどうしたん? デートのお誘いかな?」
ニヤニヤとした顔で、聞いてきた。
「いや、部活のお誘い?」
「何で、疑問系なのよ! え? 部活なんて、やってたっけ?」
ツッコミをいれてすぐに、きょとんとした顔で聞かれる。
コロコロと表情が変わって面白い。
「昨日から、カレンが作ったんだよ」
「何? Mなの?」
「どう言うことだよ? 別にMじゃないぞ?」
唐突に何を言い出すんだ。
「いや、ごめん。忘れて? 旦那はそういうやつよね」
優しい目をして、俺の肩を叩いてくる。
なんか、バカにされてるよう?
「分かった? じゃあまた明日」
これ以上ここにいても仕方ないので、関沢さんに手早く別れを告げて、立ち去ることにした。
「ちょ、ちょっとまちなよ」
「うん? 何か用事か?」
「スマホで、学校に残ってないか聞いたげる」
「マジか! それは助かる。ありがとう」
こういう時に、スマホは便利なんだな。
「良いって、良いって」
そう言いながら、手早く取り出したスマホを耳に当てる。
先生に見られたらとか、思わないんだな。
「あ、うん。そうそう。旦那がね……了解~」
「どうだった?」
スマホを耳からはずしたので、そう声をかける。
「すぐ来るって、まだ図書室で本を見てたみたい」
「助かった。これで、カレンが怒ってこないよ」
「そんなに、カレンちゃんの機嫌を取りたいんだ?」
「え? まぁ、後々めんどくさいしな」
家に帰ったら、何を言われるか分かったもんじゃない。
「へぇ~。そっか、そっか。まあ、和花を泣かせないであげてね?」
「何言ってるんだ? 当たり前だろ? 和花を泣かせるやつは、俺がお仕置きしてやる」
「だって、良かったね。和花」
「え?」
その言葉に驚いて、関沢さんが見ている後ろを確認するため、振り向く。
「……」
俺の後ろには、顔を真っ赤に染めた和花がいた。
「ち、違うぞ? 恋人気取りとかそんなんじゃなく、幼なじみとしての……」
勘違い野郎と思われないために、説明をする。
「ふふ、何慌ててるの?」
和花は嬉しそうに目を細めて、口元をてで隠しながら笑った。
「じぁ、後はお若い二人で……」
関沢さんはすごい速度で、そう言い残して去っていく。
「あ、えっと……それで、私を呼んだ理由って?」
顔を赤くしあたふたとした感じで、上目遣いでそう聞いてきた。
何にも説明してなかったな。
「端的に言うぞ」
「ひゃっ、はい」
目を見て真剣な顔でそう言うと、驚いたような声を出して、目を見返してきた。
「その、部活に入ってくれ」
「もちろん、私も……え? 部活?」
何かを言いかけて、キョトンとした顔で聞き返される。
「そう、部活。私もってなんだ?」
「いや、うん。忘れて、部活ね、部活」
和花は手をパタパタとさせて、赤くなった顔を扇ぎながら、話を進めようとしてきた。
「? 部活のお誘いなんだけと、どうだ?」
「どんなことをする、部活なの?」
確かに、それを聞くまで答えづらいだろう。
「俺にも分からん」
そう、カレンの説明だけでは、俺にも理解できていない。
「え? どういう事?」
頭のなかが、? マークだけらなのが分かる表情だ。
「カレンが、部活を作ったんだ。内容は知らんが、楽しい部活だそうだ」
「へ、へ~。そーなんだ~」
何だろう、薄く笑っているのに、空気が怖い。
「ど、ど、ど、どうしたんだ?」
声が上ずってしまう。
「何がかな? もちろん、誘ってくれたから入るよ」
なんか、俺は帰るべきな気がしてきた。
「わ、悪い。俺、冴子さんに用事を頼まれてたんだった。茶道部の部室にいる、カレンに言っといてくれ」
そう言い残し立ち去ろうと、後ろを向く。
「大丈夫じゃないかな? 冴子さんには、メールしておくよ? それより、部室にいくよ~」
凄い力で、肩を捕まれる。
逃げ道がない。
「そ、そうだな。うん、俺の勘違いだったわ」
観念して、和花と一緒に部室に向かう。
移動中の間、和花かの顔を見れなかったのは、言うまでもない。
皆さんここまではどんな感じですかね?
物語の流れは少しは伝わりましたか?
感想くれると嬉しいです