#4 俺の放課後も侵食
鈍感主人公ぶりを発揮した前回、今回はどんな姿を見せてくれるのでしょうか?
「えー、樹、カレン、今から職員室に来い」
放課後、突然そんな放送が流れる。
今の声は、菖蒲先生だな? 何かあったか? てか、カレンも呼ばれてるのか……
チラリと横目でクラスの様子をうかがうと、俺の方をみてヒソヒソと話してる奴が何人かいた。
変な噂は、勘弁して欲しいな。
これ以上視線を集めるのも嫌なので、足早に職員室に向かう事にする。
一緒に行こうかと思ったが、カレンの姿は既になかった。
・・・・・・・・・・・・
「おー、きたか、樹。こっちに来い」
職員室に入ると左の奥の席から、菖蒲先生に手招きされる。
「失礼します」、と断りをいれてから、菖蒲先生の前に行く。
菖蒲先生の横には既に、カレンが座っていた。
「来ましたね? サムライマスター」
「カレン、もう来てたんだな」
「ちゃっちゃと座れ、樹」
「すみません」
とりあえず空いていた椅子を引っ張ってきて、カレンのとなりに座る。
「用件は、分かっているよな?」
「もちろんデス」
「分かりません」
二人同時に答える。ん? 今、カレンのやつ、もちろんとか言わなかったか?
「どう言うことだ? 樹?」
菖蒲先生が、不思議そうに聞き返してきた。
「ですから……どうして呼ばれたかは、知らないと答えたのですが……」
目付きの怖さにビクビクしてしまいながら、答える。
「悪い冗談だな!? あんなことを書いておいて!」
書く? 何を? 分からない。頭の中が、? マークで、埋めつくされていく。
「何の事でしょうか……」
あまりの怖さに、声がしりすぼみになってしまった。
「これだ、これ」
机の上におかれた、プリントをつきだして見せてくる。
何々、日本伝統部? 日本のことを知り、おしとやかでエレガンスな女性を目指す、部活動。菖蒲先生も顧問になればモテモテ! バイ、校内一のモテ男、神藤樹……
「俺? え?」
プリントの内容を読み、動揺した声をだしてしまう。
カレン視線を向けてると、小さく親指を立てていた。
「言い分は?」
「カレンが、やったことです」
「ヒドイデス、サムライマスターが書いてるのみたデス!」
涙目で、菖蒲先生に訴えかける。
何、言ってんだ我。
俺は立ち上がり出口に向かって、駆け出す。
「逃がすか! 今日はたっっっっぷり、話しをしような?」
首根っこを捕まれ、地面に倒される。
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「菖蒲先生、部活はOKですか?」
説教の末、放心状態になった俺を無視して、カレンがそうきりだした。
「うーん、真面目な理由なら良いんだがな……」
俺の方をにらんでくる。
「私が、サムライマスターを制御して見せます!」
「まあ、そこまでしたいなら止めないが……顧問はどうするんだ? 後、もう一人いないと部活動は認められないぞ?」
カレンの言葉にあきれたような声で、そう説明してくれた。
「顧問は、菖蒲先生がしてくれないんデス?」
「大和撫子に興味はないしな……後、めんどくさい」
おい、教師。本音が漏れてるぞ。
「う~ん、ボーナス増えたりしないデスか?」
その言葉に、菖蒲先生の目が輝く。
「確かにそうだな! いや、そこまで頼ってくれる生徒の頼みを、無下にできないしな」
金に目が眩んだな。
「もう一人はどうするんだ?」
俺はそうカレンに聞く。
願わくば、部活なんてしたくないんだが……
「私を侮辱した罰だ! 適当に一人名前かいて、後で了承をしてもらえ。どうせ、来なくても問題ないんだし」
菖蒲先生。あんたもう、駄目だ。
圧力に負け、和花の名前を書いておく。
「それじゃぁ、成立だ! 適当に活動を報告してくれてら良いから」
「了解デス! 菖蒲先生、ありがとうございますデス」
カレンは、敬礼のポーズをして、お礼を伝え立ち上がる。
俺もそれに続き、立ち上がって、「失礼します」と、菖蒲先生に伝え、カレンと一緒に職員室を後にした。
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「家に帰ったら、覚悟してろよ?」
俺は横を歩くカレンに、そう話しかける。
「Why? どうしてですか?」
目をそらしながらとぼけた口調で、そう返してきた。
「あんなデタラメを言いやがって、お仕置きしてやる」
「サムライマスター、エッチ~デス」
きゃっと声をだして、俺を追い越して、走り出す。
「あ、待て!」
俺は慌てて、その背中を追いかけていく。
カレンが俺の生活を侵食しているのは、間違えなさそうだ。
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目覚まし時計の音に目を覚ました俺は、からだが動かないことに驚く。
(どうなっているんだ? 金縛りか?)
それにしても、妙に暑い。
そして、どこからか甘い花の匂いのようなものがする。
俺は目を開けて、状況確認を試みた。
理由は、簡単に分かった。
だが、まずい。俺の体を抱き枕のように使い、カレンが横で寝ている。
今起きたら、何を言われるか分かったもんじゃない。
100%カレンが悪いんだけど……
凄く柔らかい……いかん、何考えているんだ。
カレンはロングTシャツしか着てないのか、まくれあがった服の下から白い、パンツが少し見えていた。
戦略的撤退、戦略的撤退、戦略的撤退。
心が警告音を鳴らす。
いや、逃げちゃダメだ! 逃げちゃダメだ! 逃げちゃ……
「サムライマスター、そんなにパンツが見たいのデスか?」
「うぁぁぁぁ!」
寝ていたはずのカレンから、声をかけられて、情けないことに驚いた声をだしてしまった。
「うるさいデスよ? サムライマスター。ふぁぁぁ、どうしてここで寝てたんですかね?」
口を手で被い、あくびをしながらそう訪ねてくる。
「知るか! 勝手に人の部屋にはいるなよ!」
「うーん? まあ、いいやデス。朝食準備しちゃいます」
カレンは延びをしそう言い残して、部屋を出ていった。
(な、なんだかなー)
やるせない思いを抱えたまま、洗顔と歯磨きを済ませて、勉強を始める。
まったく集中できなかったのは、言うまでもないだろう。
さて、部活設立まできましたです!本日の投稿はここまでです! 明日にまた投稿しますので、たくさん読んでもらえると嬉しいです!
次回もよろしくお願いします