表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/44

カレンのいない夜――侵食者は和花?

おまたせしました。少し和花との過去の話、夜の一幕です

 和花とカレン作ってくれたハンバーグを食べて、少し談笑を重ねるうちに和花に笑みが戻ったことに安心した。


 二人がご飯を作ってくれている間に風呂の準備をしていた俺は、夕食の後にすぐに風呂に入り、今は自室で勉強をしている。


 和花が泊まるのは初めての事ではないが、告白されたせいか緊張してしまっていた。


 カレンはなんかあんな感じだから、最初こそ女子との生活に緊張を待ったが、今では普通に暮らせている。


 二人は仲がいいし、カレンが和花を泊めることになっても嫌がるなんてこともなく、和花が心配しすぎなのは言うまでもない。


「さて、この問題はどうするか……」


 国語の問題文に目を落として、そう声を漏らす


 先ほどの親父さんとの問題は俺のせいでもあるし、どうにか仲直りをさせたいな。


 いや、心配しすぎか? とりあえず俺にできるのは期末でいい点を見せて、それで納得してもらう事か……


 俺は身を引き締めて、問題を解いていく。


 ・・・・・・・・・・


「う~、こんなもんか」


 五教科全ての予習と問題集を解いて、体を伸ばす。


 今何時だ? もう、深夜一時か。


 早く寝ないと、俺はトイレに行って眠ることにする。


「うぉ! 和花?」


 ドアを開けると、部屋の前に和花が立っていた。


「ひゃぁ、ごめんなさい。夜中に……」


 申し訳なさそうに、うつむく。


 ノックをするのか迷っていたのか、和花も驚いた声を出したな。


「それはいいけど? どうしたんだ」


 カレンの服を借りているのだろうが、和花が着ればダサいコンソメと書かれたシャツも不思議と可愛く見える。


「その、寝れなくて……一緒に眠れるまでいてくれないかな?」


 目を潤ませて、上目づかいでそう聞いてきた。


 それは不味くないか? いやしかし……


「分かった。少し、トイレにだけ行かせてくれ」


 不安げな顔の和花を一人にできなくて、了承してしまう。


「うん。部屋で待たせてもらうね」


 ・・・・・・・・・・


「……」


 トイレから戻ったものの、眠気がひどい。


 ベットに腰掛けていると、うとうとしてしまう。


「ふふ、寝転んでいいよ? 勉強お疲れ様」


 俺の様子に椅子に座った和花が、置きぱっなしの問題集を見ながらそう言ってくれる。


「ありがと。和花が寝るまでは起きてるからな」


 言葉に甘えて寝転ぶ。


「ありがとう。横にお邪魔するね」


 え? 何を言っているんだと停止気味の脳が理解するよりも先に、柔らかい感触がピタリとくっついてくる。


 和花が俺の横に寝転んだのだ。


「……」


 俺は壁側に向き直って少し丸くなる。


「少し狭いね……でも、あったかい」


 俺の背中に和花が頭を当てて、そう言ってきた。


「そうだな。臭くないか?」


「なにそれ? そんなことないよ! 何だか、樹君の匂いって落ち着く」


 ぼ~とした頭でつい聞いてしまったが、予想外の回答に心音が速くなってしまう。


 和花は頭をこすりつけるように動かし、手を俺の肩まわして、抱きつくような体勢になった。


「喋りにくくないか?」


「なんかね、こうしてると寝れそうなの」


「そうか、じゃあいいけど」


 もしかして、寂しかったのか? 人肌が恋しい的な?


「あのね、樹君……」


「おう」


「私、好きだから。カレンちゃんに負けないくらい、樹君の事」


「……ありがと」


 どう返事をしていいか分からなかったので、お礼だけ言っておく。


「あのね、初めて会った日の事覚えてる?」


「確か、和花がイジメられていたな」


「うん、あの時、助けてくれて、手を引いてくれた時から好きになっていったんだと思う」


「そうなのか……」


 転校数日目で、和花が女子の集団にイジメをうけている現場に居合わせた俺は、和花の手を引いて助けたことは覚えている。


 だけどどうやったのかは、憶えていない。


 だけどあの時から間違いなく、和花との生活は始まったんだ。


「手を引かれたときにね。ふわふわして、ドキドキってして、嬉しかったの。でもまさか、お隣さんだったなんて」


「玄関であった時は、驚いたな」


 昔のことを思い出して、笑ってしまう。


「もう、それは忘れてよ」


 和花を助けた次の日、俺と和花の登校時間がかぶって玄関先で顔を合わせた。


 その時、俺の顔を見た和花はよく分からない奇声を出して、走っていってしまったのだ。


「あれから、あっという間だったな」


「うん、本当に……毎日が楽しい」


「それならよかった。親父さんの事、ごめんな? 勝手に約束したりして」


「ううん、嬉しかった。もしかしたら……」


 そこまで言って、和花が強く抱きついてくる。


「もしかしたら?」


「なんでもない。このまま、寝てもいい?」


「……カレンが起きるまでは、良いんじゃないか?」


 背を向けたままそう言って、襲い来る眠気に身をゆだねていく。


「カレンちゃんか……」


 和花のもらしたその声は、聞き取れなかった。






















和花の気持ちとカレンの気持ち――樹が見出す答えとは?物語が加速する!


さて、次回は樹が土下座します(笑)


本当に書きたいものが多くあるので、書籍化出来たら、もっと書きたいな(笑)


なろう版と勝手に称して、書き上げますので、楽しんでもらえたら嬉しいです! 最後まで読んでいただきありがとうございます。 次回もお会いしましょう~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ