#2 俺の家も侵食
主人公の凄さがみれる!?そんなお話です笑
「ふぇ? 私は、冴子じゃないデスよ? お帰りなさい、サムライマスター」
振り返った先にいたのは、いるはずのない、カレンだった。
「な、な、何で、ここに居るんだ? てか、ズボンをはけよ」
カレンは何故かロングTシャツしか着ておらず、パンツは見えないもののすらりとした白い足が丸見えで、太ももが動く度に、パンツが見えそうで目のやり場に困る。
「何でって、今日からここで住むからデスよ? 聞いてないのですか?」
カレンは俺のすぐとなりまで歩いてきて、俺にそう教えてくれた。
カレンから漂うシャンプーの香りに、気恥ずかしさが込み上げてくる。
「聞いてない! 少し待ってろ!」
俺は部屋を飛び出して、一階に置いてある固定電話のもとに行く。
「はい。仕事でしたら、もう受けておりません」
電話をかけて3コールめで、目的の相手につながる。
『俺だ、仕事じゃない。樹だ』
『あ、いっ君。どったの?』
電話の相手は勿論、叔母の冴子さんだ。
仕事モードの口調から、普段のラフな口調に変わる。
『どうしたじゃない。何であいつが、家に住むんだよ!!!』
『あー、言ってなかったけ? その子、友人の娘さんなんだけど、日本の高校に行きたいらしいんだよ』
『じゃなくて、何で家なの? 男いるよ?』
自分で言うのもあれだが、俺も健全な男の子だ。
恋愛には興味ないが、万が一が起こる可能性もゼロじゃない。
『大丈夫、大丈夫。なんかいっ君の名前言ったら、むしろよろしくだって』
凄く楽しそうな声だ。
『そんな馬鹿な……』
『友達がね、いっ君のこと昔よく娘と遊んでくれてた子だって、言ってたよ? 凄い偶然だね』
最後に、キャッとか聞こえた。
遊んでいるな――
まあ、カレンの母親? から聞かされているなら、俺に逃げ道はないか……
『そうだな、凄い偶然だな……』
『私、仕事中だから切るね! 頑張んなよ』
その言葉を最後に、電話が切れる。
仕方ない、普通に、普通に接しよう。
・・・・・・・・・・・・
「あ、サムライマスター。お帰りデス」
部屋に戻るとカレンが俺のベッドの上に寝転び、勝手に棚においてある漫画を読んでいた。
「えらい、くつろぎようだな?」
「ふふ、郷に入れば郷にしたがえですよ?」
うん、意味が違うな。
「あ、その本はダメだ」
カレンが読んでいる漫画の表紙を見て、慌てて、奪いにいく。
「Why? どうしてですか?」
答え、エッチなシーンが多いから。
勿論それ目的で買ったわけではないが、女子に見られるのは恥ずかしい。
「うぉっ」
床に置かれたタオルを踏んでしまい、バランスを崩す。
「キャッ」
俺は、カレンの上にダイブしてしまう。
「すまん、カレン。大丈夫か?」
ベッドに手をついて、直撃は免れた。
「は、はい。大丈夫デス……」
カレンは顔を赤らめて、目をそらしながらそう答えてくれる。
落ち着け、落ち着け。
「あの、優しくしてください……」
何をだーーー!!!
素数でも、数えながら、起き上がろう。
「樹君? なんか凄い、音がしたけどどうしたの?」
部屋のドアが開き、和花が入ってきた。
あ、ヤバい。
「今晩は、和花。晩御飯食べに来たのか?」
俺達を見て固まった和花に、俺は悟りを開き、カレンに覆いかぶさったまま冷静な挨拶をする。
「ご、ごめんなさい。わ、わ、私、邪魔したみたいだね? ごめん」
そう捲し立てて、俺の部屋から飛び出していく。
「ち、違うんだ……」
その言葉に和花の返事はなく、玄関のドアが激しくしまる音が聞こえた。
「サムライマスター?」
俺が立ち上がると、カレンが不思議そうな声を出す。
「はぁ、晩御飯作るから、自分の部屋でも片付けてろ」
俺は肩を落として、リビングへと重い足を向ける。
「? 了解デース」
・・・・・・・・・・・・
コンコン。
カレンと書かれた表札ドアを2回ノックした。
それにしても、俺の部屋の向かいに部屋を用意するなんて。
「あ、サムライマスター。どうしましたか?」
少ししてドアが開き、カレンが嬉しそうにニコニコと出迎えてくれる。
「晩御飯できたから、食べながら話さないか?」
「サムライマスターは、料理もできるのですね! もちろん、いただきます!」
まずは、俺の事をどこまで覚えているかの、確認をしないとだな。
鼻歌を歌いながら、カレンは陽気に俺の後ろについてくる。
リビングに入り、先に座っておくように促す。
「はい、お待たせ」
俺はインスタントのコンソメスープと、ミートソーススパゲッティをカレンの前に運ぶ。
「わぉ、これまた美味しそうデス!」
運ばれてきた料理を見て、無邪気にはしゃぐカレンの様子に、俺は嬉しくなる。
「スープは、インスタントだけどな」
カレンの向かい側に座り、照れくさくなって、そう言っておく。
「それでも、嬉しいデス! いただきマース」
手を合わせてそう言ったカレンが、可笑しくてつい笑ってしまった。
「うん、このインスタト。当たりだな」
「ちょうどよい、濃さデスね! このミートソースも、凄く美味しいデス!! サムライマスターはお料理上手なのですね」
「そんなことないと思うぞ? 自然と覚えただけだし」
素直に誉められると、照れくさい。
確かに今日のミートソースは脂身が少ない分、牛肉の旨味とトマトの酸味が丁度良くて、かなり旨いと思うできだった。
「なあ、カレン?」
「どうしたですか?」
「何で、ここに引っ越して来たんだ?」
「私が、日本に残りたかったからデス! パパもママもイギリスでお仕事になってしまって、その時たまたま目に入ったこの高校に受験することにしたら、受かりましたデス。一人暮らしは早いとのことで、こちらにご厄介になることにしたデス」
なるほど……凄い偶然だな。
「俺のことは、覚えていたんだな」
「当たり前デス! 一目見たら、サムライマスターだって分かりましたデス」
「どうして、そんな呼び方をするんだ?」
俺は、ずっと気になっていたことを聞く。
「忘れたのですか? 中学生の頃、私を助けたサムライマスターが、自分で言ったじゃないですか?」
当時の俺は、本当に何言ってんだ。
「悪い、覚えていない」
「はわぁ。では、ダークストリームブラックの戦いは?」
驚いたように口元を押さえて、身を乗り出して、聞いてきた。
黒が、重複してる。誰だそんな痛いことを言ったヤツ、俺なんだろうけど。
「中2病はもう、治ったんだ。俺は、普通の高校生だ」
そう断って、スープを一口飲む。
「サムライマスターは、中2病なんかじゃありません。本物でしたデス」
カレンはパスタの残りを食べきり、心外だと言わんばかりな、表情をする。
「本物ってなんだよ? この世界には、バルハラもダークストリームブラックもないんだよ! 俺は普通に勉強して、大学に行って、普通の暮らしを謳歌するんだよ」
「そんなの……デッカイつまらないです!!!」
俺の言葉を、つまらないとぶったぎる。
「つまらなくて結構、俺の人生だ!」
これ以上誰かに、俺の人生を左右されてたまるか。
「む~。もう良いです! なら、サムライマスターの人生を私が面白くして見せるデス!」
「分からないのか? ほっとけって言ってんだが」
少し冷たい言い方で、釘を刺しておく。
「関係ありません! 私の人生デス」
言い返してやったと、言わんばかりのドヤ顔だ。
もう、好きにしてくれ。
何でここまで、俺に固執するんだ?
「分かった、もう何も言わない――」
食べ終わった食器をまとめて、流しに運ぶ。
「俺は、俺の暮らしをさせてもらうからな!? とりあえず、晩御飯とかの当番を決めるぞ」
それから話し合った結果、掃除と料理は日ごとの交代になり、洗濯は下着だけは各自で洗うことに決めた。
カレンが不思議そうに「効率が悪いのですよ? エコロジー大切デス」と言ってきた。パンツを見られるんだよ? 触られるんだよ? と思いながらも何とか落ち着いて、各自で洗う大切さを教え込んだ。
こうして、カレンとの共同生活がスタートした。
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