夜の会話、侵食されていく日々
家庭訪問を無事に終えた、樹。その夜、リビングの明かりに誘われて……
夜、トイレで目を覚ました俺は部屋に戻るときに、リビングにの明かりがついていることに気が付いて、リビングに向かう。
「あれ、いっ君。どうしたの?」
リビングに入ると、テーブルの前に座っていた冴子さんが声をかけてきた。
「少しトイレで目を覚ましたんですが……冴子さんはどうしたんですか?」
「そうなんだ。私は、仕事だよ~」
冴子さんはそう言って、ノートパソコンを見せてくる。
「うぁ、遅くまでお疲れ様です。邪魔しちゃいましたか?」
日本の社畜文化は、ここまで進化しているのか。
「うんにゃ、もう終わったから平気~。それより少し喋らない?」
「え? ああ、はい。コーヒーいれますね」
「ありがと」
俺は流しの前に移動し、ケトルに水をいれる。
インスタントもいいが、冴子さんもいるので本格的なコーヒーをいれることにした。
お湯が沸くまでの間にろ紙とコーヒーポットを用意して、ろ紙の上にひいたコーヒー豆を入れる。
お湯が沸いたので、三回に分けて注いでいく。
コーヒーの良い香りが部屋に広がる。
「お待たせしました」
コーヒーの入ったマグカップとミルクポット、それと砂糖をテーブルに運ぶ。
「おぉ、上等なコーヒーだね」
「意外と安いんですよ。テスト前とか和花が来た時に飲むだけですが」
「そうなんだ」
そう言いながら、冴子さんは砂糖を三杯もいれる。
勿論ミルクも並々注ぐ。
「そ、それで話って……」
その行動に若干引きながら、俺は一口飲む。
花のような香りと、後から来る微かな酸味と苦みが特徴の美味しいコーヒーだ。
「最近の話だよ~。いっ君って、モテるのにどうしてそこまでかたくなに付き合わないの?」
「え? モテませんよ! 確かにカレンには告白されましたが、それくらいですよ」
「本当に、心配になる鈍感さだよね? まあ、いいや。それで返事は?」
「? 付き合うつもりは、ないですよ。今は、勉強に集中したいので」
「どうして、そこまで勉強する必要があるのかな?」
本当のことを言うのは簡単だが、気を使われるのは嫌だしな……
「自立がしたいんですよ」
「え? 何か困ったことでもあったの?」
冴子さんが前かがみになって、心配そうに見てくる。
「いえ、そういうんじゃないんです……二つ理由があるんですよ」
黙っていても心配をかけるなら、言ってしまったほうが良いな。
「ほうほう。何かな? 何かな?」
座り直して、冴子さんが興味深そうな声を出す。
「詳しくは言えません。ですが、俺は冴子さんを幸せにしてみせます」
「え? えーーー!! それって、私のルートに入るって事かな?」
「え? ルート? どういうことですか?」
「え、でも、私は伯母で、親代わりで、でも、でも……」
ダメだ、自分の世界に入り込んで、ぶつぶつ言っている。
「冴子さん!」
俺は立ち上がって、冴子さんの横に行き肩を掴んで声をかけた。
「ひゃう!? い、いっ君……ど、どうしたの?」
どうして、冴子さんは顔を赤らめているんだ?
「あの……」
「だ、ダメだよ……私は親代わりなんだから」
「何がダメなんですか?」
「え、だって、年だって」
「年? 冴子さんは十分若いじゃないですか?」
こんなこと言えば失礼かもしれないが、三十代はまだ若いような気がする。
「私でいいの?」
「さっきから何を言ってるんですか?」
「え? 私を幸せにするって……」
「はい、ここに暮らさせてもらった恩は、返すつもりです」
「付き合うって事じゃないの?」
「? どこか行きたい場所があるなら、もちろん付き合いますよ?」
何だか、かみ合ってないような気がするな。
「あせった~。もう、いっ君のバカ」
「どういうことですか?」
俺は戸惑ってしまう。
「天然ジゴロ、すけこまし」
なんだか、すごい言われようだな。
「えっと、どうしたんですか?」
「もういいよ、座って――」
冴子さんの気迫に押され、向かいの席に座り直す。
「いいから、恩とか感じなくて」
「でも……」
「でもじゃないの! 私の姉のせいでこうなったんだから、恨みこそしても恩を感じる必要はないよ」
腕を組んでそう言ってくる。
「恨むなんてとんでもないです。本当に感謝してますから」
「ありがと、いっ君は優しいね」
「優しいなんてことはないと思います。正直、母や父に少しは恨みはありますし……」
どうしてこんな目にって、思ったこともあ事もあったが、冴子さんや和花のおかげでグレずにすんでやってこれた。
「それが普通だよ。でも、もう少し言葉には気をつけなよ?」
「え? どこか悪かったですか」
「それは秘密だよ、ジゴロ君――」
冴子さんはにししと笑って、椅子から立ち上がる。
「疲れたから、もう寝るね。コーヒー、ありがと。お休み」
冴子さんはそれだけ言って、リビングから出て行ってしまった。
「ジゴロってどういう意味だっけ……」
俺はポツリとそう言て、天井を見上げる。
考えても答えが出ないので、俺も自室に戻るのだった。
ヤバーーーーーーい(笑)この話、データが消えて、書き直したんですよ(笑)
まあ、何とかなりましたが。
天然ジゴロ、すけこましとまで言われてしまう主人公。でもヒロインは、幼馴染だけそれがこの物語です!
主人公の進学にかける情熱は、そろそろ明かしていくと思います。あと半分を切りましたしね。
そして、誰と結ばれるのか……公募にもチャレンジしたいので、書籍化の際には少し変えると思いますが(できる実力をつけてから言えよ)なろう版のラストはちゃんと用意してますので、ぜひお楽しみにしてください。
それでは最後まで読んでくださりありがとうございますです。ぜひ、次でもお会いしましょう。
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